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 あれから色々な店を回った翌日、今日は受験結果の内容が発表される日。

受験につきものの人の波を掻き分け、張り出された結果の方を見る。


『Sクラス

・・・・・・・

 ・109

 ・108

・・・・・・・』


 おっ、Sランクに上がったな。

【無】属性だからと変に減点されなくて良かった。


「ノァと一緒だ!やったな!」

「ああ、そうだな。」


二人で笑い合いながら、これから行われる入学式の準備をする。


 そう、受験の結果が出た当日に入学式があるのだ。

前世では経験しなかったことだが、まあ慌てる事はない。

 こんな日の為に二人分の正装は用意している。


「ちょっとアンタ!」


 二人で校舎内に入ろうと歩いていると、聞き覚えのある声が背後から聞こえる。


「不正はしないように言ったのに!なんでSクラスにアンタの番号があるのよ!」

「なんで俺の番号を知っているのかが気になるんだが......」

「そんな事今は関係ないでしょ!それに、聞いた話じゃあんた【無能】なんでしょ!Sクラスなんて絶対不正よ!」


 ほう、この女はどうやら【無】属性を目の敵にしているという噂の勢力らしいな。

まさか面と向かって言われるとは思わなかったし、これで俺の属性が周囲に聞かれてしまった。

 人波の中には、合格できずに落ち込んだ様子で帰って行っている者もおり、彼らはそれを聞くと、怒りを露わにした様に顔を顰めた。


「なっ......!俺が合格できなかったのに、【無能】がSクラスだと!許せねえ!」

「ふざけないで!こんなに努力したのに、それを踏み躙るなんて!」


 様々な目が俺に向けられる。

それは侮蔑が半分、憎悪が半分といった辺りで、好意的な視線は一切無い。


 しかしまぁ、久々の感覚だな。


『言い返さねぇのか?』


 マキがイラついた様にそう言う。

たしかにそうだろう。俺も人間、怒りが無い訳じゃない。

 しかし、経験から言うと、こういう手合いに正論は火に油。

 俺の様な中身が大人でなければ、精神的な苦痛はどれほどだっただろうか。


「ハク、行くぞ。」

「......うん。」


 明らかに自分以上に怒っている者が隣にいると、そこまで怒る気になれないのは何故だろうか。

罵詈雑言を一身に浴びているのは俺なのに、ハクはその顔に青筋をいくつも立てて怒りを表現している。


 咄嗟にハクの持つ剣を『ボックス』へ収納できたのは良い反応だった。


「あの女、許さない。許さないぞ。」

「あまり物騒なことを言うんじゃない。別に俺は気にして無い。」

「それでも!あいつのせいでこんな!ノァはすごいのに!」


 大衆から受けたストレスも、ハクのお陰で霧散する。

怒髪天を衝くこの子の感情の波が、今は少し心地良い。


 だが、それと同時に、こんなことでハクが嫌な思いをするのが嫌な自分がいる。

こうなったらもう、更なる無茶を重ねるしかない。


 本気の努力だったのは今までだ。

これからは“死ぬ気の全力”にシフトチェンジだ。


◇◆◇


 なんやかんやあって、入学式が終わる。

なんと主席はアレクサンダー君だった。さすがである。


ちなみに次席がハクだった。さすがである。


 教室の場所と、校舎内の詳しい見取り図を確認して、そのまま自分達の教室へ向かった。


なんというか、この新入生として校舎を見て回る時にある謎の感覚。

 慣れてしまうと味わえないこの不思議な高揚感。


 これからの目を背けたくなる様な予想を忘れさせてくれる感覚を胸一杯に味わいながら、俺達は教室へ入った。。


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