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 邪技『蘆苔(あしごけ)』は初めての魔法と技のコラボ。

つまりは俺のオリジナル。

 だが、練度が低いからか、意識を刈り取り切れなかった。


「引き分け、とは言っても、俺の負け、だろうな。」

「ええ、そうなのだけれど。何故貴方は腕立て伏せをしているの?」

「体がなまるからな。」


 全身骨折はエヴァが治してくれた。

失った血まで再生してくれたのがうれしい。


「貴方は【無】属性だから、あまり教えられる事が無い。それは非常に残念だわ。私は【無】属性が使えないから。貴方のその覚悟について行く事はできない。」

「んんん、俺は一人でも構わないが、そう思うのなら俺の妹を見てやってほしい。」

「?いったい、何故?」

「俺の妹は魔法の天才だ。複数の属性と、常時魔力が増え続けるという特異体質の持ち主。今はキクス......俺のホムンクルスに護衛させている。将来は俺と同じで都の学校に通わせようと思っていたけど、お前ならきっと、ベストの教育を与えてくれると思っている。」


 選民思想ってやつ。

【無能】差別を植え付けられて「お兄ちゃんなんて嫌い」とでも言われた日には、帝国を滅ぼす準備を始めてしまいそうだ。

 だが、【無】属性に理解のあるエヴァなら、安心して預けられる。

問題は、ここが王国で、預ける場合はアスタは故郷を離れなくちゃいけない。

 なんかの本で読んだか、親元を離れてしまったらグレる確率が上がるみたいな事が書いてた気がする。

 

「私も忙しいの。その子の才能って言うのが貴方の身内贔屓の可能性がある以上、二つ返事で了承をすることはできない。」

「......」

「もしかしたら、アド王国は全世界に侵攻するかもしれない。貴方があと二人に勝てば、戦争は止まる。けど、残った四人は正直弱い。『敏捷』と『忍耐』はそうでもないけど、あとの二人は戦闘力がそこまで無い。結果は決まった様な物。」

「......無理を言ってすまなかった。俺じゃ、基礎しか教えられない。魔力の煉り方だけだ。学校に行かせれば、問題無く属性魔法については教えてくれる。ただの我儘で、お節介で、兄馬鹿なだけだからな。」


 自分のシスコン具合に嫌気が差す。

心なしか、腕立ての速度が速くなる。


「もし、戦争が取り止めになったら、一度マグナイトに戻る。その時にお眼鏡に適ったらってことならどう?」

「......それでお願いしたい。」


 その日の夕食は肉の入ったスープと、豪勢なサラダだった。


◇◆◇


 手の内を魔力が回転する。

エヴァは【基本】→【特殊】→【強化】→【変化】→【創造】→【神】と言っていた。

 俺は常に【基本】しか使ってない。

『ボックス』や『ストック』なんかは、もしかしたら【特殊】かもしれないが、これはあくまでも神から知恵を借りて編み出したものだ。

 俺のインスピレーションは、その域に達していない。


というか、まだ俺のステータスの属性欄に【無】しか無いってことは、『ボックス』類もまだ【無】属性なのか?というか、【無】属性以外の属性が発現したら【特殊】なのか?


......もしかしたら、俺は数年先に自分の魔力を渡し続けているから、自分の魔力が成長していないだけなのかもしれない。

 今のも、女王やエヴァのモノを借りているだけだし。


なら、今は能力の幅を広げるだけでも良いかも知れない。


「いや、それでも確証は無いんだ。練習は続けてみよう。」

『練習ねェ。オレはイマイチ分からねェが、精霊(仲間)を見つけるのはどうなんだ?』

「それはもう試しただろ。二年間、どこにもいなかったんだ。あとは公国と北の王国か、未開の地、他の大陸だけだ。」


 他の大陸は、正直な話行きたくない。

この大陸以外、人間が住める土地は無いからだ。

まず、俺達が住んでいるここが第三大陸トリトル。

 大きな四角形、形で言えばひし形の大陸。ここはバンディット大砂海を中心に四大国家で成立している。


 そして、第三と言うからには当然1と2もあるように、

第一大陸『名前の無い国』

 これは大きな人型の大陸で、面積的にはトリトルの5倍ある広大な大陸だ。

そして、人型というのも比喩や「大」の様な形というわけではなく、頭には耳や髪、手や足には、正確な比率の長さで指型の半島が形成されているらしい。

 そして、この大陸の足部分を見ると丁度足首の部分が大きく隆起していることから、この大陸は『巨大な人間型の化物がうつ伏せで眠っている』形なのだと。

 

 それだけなら、特殊な形の大陸だとなるだけで、そこに人が済まない理由にはならない。

『神』が出るのだ。厳密には、神の様に強い魔物達。

 最低でSSSの魔物、EXとかZとか、そういう異常なランクの魔物が大量に発生している。

プロミネンス・ドラゴンがSS

 その内行きたい気もするが、今は絶対に嫌だというのが良く分かるだろう。



第二大陸『イースパング』

 こちらはぶっちゃければ日本。

ファンタジーあるあるみたいな大陸(・・)

 こちらは、トリトルの半分程度の大陸だが、列島なんて小さな規模ではない。

百数個からなる国々が日夜戦争を繰り返している異常な大陸。

 圧倒的戦闘民族。

 こっちはメンタル的に行きたくない。カルチャーショックとか酷そう。


で、トリトル挟んで第四大陸『ヴァスカル』

三つの火山型ダンジョンに囲まれた大陸。

 発見した時点でダンジョンから大量の魔物が溢れ出ており、駆除が不可能。

なお、三つのダンジョン以外にもダンジョンが発生している可能性があるらしい。


 そんな感じで、まずはこの大陸内で強くならなきゃならない。

戦うのは好きだが、死にたいわけじゃないからな。

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