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「え、えっと?ダンジョンをソロ攻略したけど、君は8年間分の魔力を消費、【無】属性魔法すら使えなくなったと。」

「そういうこと。魔法自体は使えないわけじゃなく、ポンポン使えなくなっただけですけどね。」


 学園長に対して割とフランクに話してはいるが、これは比較的大問題である。

魔技大会を控え、その先に【無】属性の復権と、【無】属性を使う場面は非常に多い。

 それをどうにかしようにも、俺はあと8年は魔法を使えない。

『ストック』から出せる魔力も限られたごく少量のみだ。


「【無】属性魔法の使用を『魔力弾』にのみ絞れば、マキとの協力で周囲から少しずつ増やして、どうにかやりくりできなくはないと思いますよ。そう、そんな事よりも、ダンジョンマスターとの契約、めちゃくちゃ楽しかったんです!あれ、俺の趣味で改造しても良いですか!?」

「そ、そんな事って、魔法が使えなくなったのをそんな事って......。ともかく、契約内容について、多少の裁量権は与えますが、主軸は私の定めた通りにしてください。良いですね?」

「いぇぇす、まむ。」

「で、どういった内容にするつもりなんだ?」


 砕けた口調になったアルテラント学園長に、ダンジョンの設定行為についての詳細と、俺の行った攻略による副産物についての話をした。

 そして、俺が思い付く『ぼくのかんがえたさいきょうのめいきゅう』計画。

それを現在進行形で改造させてもらっている。


 とはいえ、アルテラント学園長の命令『死人を極力出さないダンジョン』『学生レベルでも戦える難易度』『多少の報酬を得られる環境』というものもちゃんと設定した。


 今まではただ、倒した魔物から得られる一部の素材だけしか無かった利益が一気に増える。

まず、難易度の大幅な極端化。

 100階層の直下型だったものを2階層増やして、3つに分離させた。


 つまり、34階層ずつでグループ分けをした。

それにより、初級中級上級で難易度を区分出来、かつ様々な魔物との戦いを経験できる環境が整った。

 人型から獣型、異形型、特殊型まで、多種類の魔物と同じ程度の難易度で戦えるのは非常に有益な環境の筈である。

 そして、死人を出さないようにするため、最初は『強制送還機能』をつけようかと考えた。死んだら入口に戻るアレだ。しかし、そうした場合は死を恐れない愚兵の量産になってしまうと断念、他に良い事があるかと考えた結果、スコア制を導入した等間隔安全地帯システムを設けることにした。


 つまり、重傷を負えば負う程得点に下方修正が入るため、できるだけ傷を負わない様にするのと同時に、怪我を治すための施設を10階置きに設置する。そのスコアが多いほど豪華な報酬を得られるというシステムだ。

 これにより、多少の報酬を得られる環境という条件もクリア。


そして、ここからが俺の為のターン。

 先程述べた初級中級上級の他に作った、亜級階層群を俺の所有とさせてもらった。

そこは、超極端な特殊型ばかりを揃え、難易度を高めた分報酬も豪華なものにしてもらった。

 用は修行場だ。

 また、亜級の中にはとある施設があるんだが、それはまた別の日に。


「全く、仕事自体はそれなりに優秀なのに、変な趣味に走る癖があるから素直に評価できない。が、このスコア制は良かった。意欲向上に貢献してくれるのは非常に良いぞ。」

「あっ、それ実は採点内容弄ってて、属性魔法を使ったら地味に減点するようにしてるんで、気をつけてくださいね。」

「君ホントそういうところあるよな!?」

「敵が【無】属性魔法使うのに、自分が属性魔法とかズルイじゃないですか。それに、ほぼ全部のモンスターは実体があるから十分に剣だけで殺せますよ。」

「それが冗談なのは私にもわかる。君は真剣勝負に卑怯だと糾弾しないタイプだからな。だが、ほぼ全部のモンスターが物理可能なのは信じよう。【無】属性布教活動も、黙認しよう。」


 俺がなにか行動に移さずとも、いつか【無】属性への迫害が帝国全土から無くなるためには、川が年月を経て形を変えるくらい長いゆるやかな変化が必要だ。

 それを行うのが今の所の目標であり、サブクエストであり、暇つぶしになる。


「......マリナ教師を気にかけてやってほしい。彼女の親友とも私は面識があったからな。」

「世代が大分離れていると思いますけど?」

「色々あるんだよ。察せ。」

「自分から振ったクセにィ......」

「ともかく、君は色々と周囲に目を向けるべきだ。類は友を呼ぶ、君が力に執着するように、君に執着する誰かを放置しすぎて、大問題に発展しても知らないからな。」

「はァ?俺を鈍感系主人公と勘違いするなよ。隠しステータスまで見て察せない程の阿呆じゃない。」


 名前は出なかったが、それでも俺の事を好いてくれている人は知っている。

それが誰なのか、今までの人生で行ってきた様々な事から察する事もできる。


「俺はもっと強くなる。世界最強になった時。そん時には全員を両手に抱えて世界一周でもしてやらァ。」

「ふっ、なら、あと10年以内が理想だな。最年長者がよぼよぼになってしまう。」

「歳、か。」


 俺はアルテラント学園長にそれ以上の事は何も言わず、そのまま部屋を出た。

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