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 迷宮攻略から一週間が経過した。

あれから、プロドラスピが指導をしたお陰で、驚くべき事にSクラス全員が覚醒を実現した。

 つまりどういう事かと言うと、俺は失意の中にいる。


 ぶっちゃけた話、スピに対するフラストレーションとストレスがマッハで、暴れたくて仕方ない。


40階層『ミノタウロスゴッド』

50階層『ボスラッシュゼンペン』

60階層『ゴーストゴッド(仮)』

70階層『ドラゴンゴッド(仮)』

80階層『キメラゴッド(仮)』

90階層『ボスラッシュゼンペン』

100階層『ゴッドゴッド(仮)』


「馬鹿なんじゃねェの!!?」


 なんでこんなボキャブラリー貧弱なんだよ。

製作者アホなんじゃねェの?

 なんで50階と90階にボスラッシュゼンペンがあるんだよ。

100階層にラスボス置きたいからってボスラッシュの統一性を無くして適当な場所で置くとかいう横着な事をしやがって。


 それなら50階層と90階層にちゃんと別々のボス用意しとけよ!

でェ、ゴッドゴッドとかいうヤツ!


『こんにちわー。僕だよー』

「包帯男ぉ!なんでここにいるんだお前ェ!」

『HAHAHA、僕は創造神のコピー体さぁ!ほら、神の神(仮)って書いてあるだろ?実は能力値が10000分の1くらいになってるんだよね。』

「なんで10000分の1で俺よりも10倍以上強いんだよ。」

『最高神だからねえ!』


 ケラケラと笑う全身包帯に包まれた男。

神々しさは比べる程でも無いが、威圧感は普通に強い。


「ちィ!『大魔力拳』!」


 俺の等身大の拳を上から叩きつける。

ぶっ潰す気だったんだが、まるで頑丈な釘を上から殴ったみたいに、拳に突き刺さる感触に顔を顰める。

 硬い。


『ダメダメぇ。ただの魔力拳をデカくしただけじゃ通用しないのは分かってるでしょ?』

「『螺旋魔力拳』『5』」

『ふはっはっ、【解】』


 俺の5本の魔力拳が消滅する。

それだけじゃない、周囲に張り巡らせた魔力が完全に消え、残存魔力が半分になった。


『ほらほらぁ、【爆】』

「ごばっ!!?」

『はっはっはっ』


 体が爆弾になってしまったかのように割れて血が噴き出す。

内臓に傷はついていないが、全身にいきわたる裂傷が意識を混濁させる。


「『魔力......』」

『【転】【回】【螺】』


 全身の関節を強制的に捻じられ、そのまま重力がバグったかの様に俺の体が側転した。

そして、それと同時に骨の周りの肉が捻じ切られて行く。


「がっ、がっ!」

『あれー?もうへばっちゃったんだ。んー?』


 ビクビクと痙攣し、白目を剥いて気絶している俺を見下ろして、包帯男はそう呟いた。


「......ッ」

『根性じゃないのかなぁ?んー、期待はずれかなぁ?』

「......ッ!!!」


 クソがっ、俺はまだ諦めてねェ。

魔力で体を動かす。


『んんんー?ちょっと思ってたのと違うなー。本体の考えは分からないけど、コレ(・・)が期待通りだとは思えない。』

「......ふざ、けんな。」

『んはー、こんなちっぽけなコピーに負ける程度のヤツがね。できるわけないんだよ。』


 一人で納得してんじゃねェ。俺は、俺は、俺はァ!!

全身に残っていた魔力が霧散する。


『【刈】』

「ぎっ」


 手足が何かに吹き飛ばされ、俺は胴体と首しか残っていない状態になる。

魔力で繋げようとしても、その魔力が足りない。

 

『ね?根性じゃどうにもならなかっただろ?ほら、もっと効率性を高めるんだよ。当初の君はそういうタイプだっただろ。』

『もう、なんでそうやって堪え性が無いのかなぁ、お父さん(・・・・)

『んー?君は......カロルか。意外だな。パルエラが出てくると思っていたのに。』

『パルエラは所用で出かけてるのさ。ノア君は僕が育ててるんだから、邪魔しないでよね。』

『良いじゃないか。もとはと言えば、この世界に連れてきたのはボクだ。』

『じゃあ、すこし喧嘩でもしようかな。今度は絶対負けないよ。』


 包帯男、全能神の指先が魔力を帯びる。

それは『魔力砲』なんてモノとは比較にならない程の密度を誇っており、完全に俺の体ごと時神を消滅させるつもりだと思った。


『【無】属性だけかと思ったけど、ちょっとだけなら僕の魔力も使えるみたいだね。』

『へー羨ましいな、ボクなんて【言霊】しか使えないのに。』


 雑談の様に見える他愛無い会話。

しかし、その裏で互いの魔力による攻防が行われている。

 時神の属性というのは分からないが、十中八九【固有】属性だろう。


『僕はね、ノア君がお気に入りなんだ。彼の加護に隠れていつも見てきたが、非常に面白い人生を送っていると思っている。』

『ボクの本体もそう思っているよ。手のかかる子供の様だとね。』


 好き勝手言ってくれる。

二人、二柱?面倒だな。二人の攻防には際限が無い。

 俺にはギリギリで見えているが、時神の放つ攻撃は、明らかにスピードが増減したり、規模が拡大されたりしている。逆に、時神に向かう攻撃は、停止したり減速したりと、奇怪な動きを見せている。


 つまるところ、【時間】が固有属性なんだろうな。

だが、その練度は極まっており、相手に加速した時間の部分を利用されて、会心の一撃を与えるチャンスを見せない様、極最小限の範囲での加速減速になっている。


 逆に、自分以外の範囲全体を減速しないのは、全能神の【転】で逆に自分が減速されるか、相手の加速を促してしまう可能性があるからだと。


『そう、子供なんだよ。まだまだ通算しても40歳に届かない程度の子供。そんな未熟な子供に過度な期待をし過ぎているんだ。』

『そう、かな?ボクは生まれた時からこの地上の全ての存在より強い事を期待されていたし、本体なんか、存在した瞬間から世界を回していたよ。』

『できる人間ができない人間に共感できないってのは本当なんだな。これは多種多様な知的生命体を見てきた僕だから共感できて、他の神にはそれが無いからできないということが分かるんだが、そういう点では、お前とノア君は似ている。』


 『混沌螺旋砲』を更に混ぜ込んだ暴力の嵐が吹き荒れる。

範囲攻撃であるその魔法に、減速を付与し、回避を困難にさせる。


『偉そうな口を叩くねぇ。本体でもないちっぽけなコピーが』

『ブーメラン乙www』




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口調が現代っ子すぎる笑笑笑
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