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21階層『オーガ』
赤い肌をした2本の角を持つ鬼がいた。
「『魔力弾』」
脳天ぶち抜いた。
22階層『オーガジェネラル』
全身を鎧で多い、大きな大きな剣を持っている、やや黒くなった紅い色の鬼がいた。
「『魔力砲』」
頭を消し飛ばした。
23階層『オーガアーミー』
綺麗な隊列を組んだ数百体のオーガが、鬼の形相を並べて。
「『魔力弾』『1000』」
脳天ぶち抜きまくった。
24階層『オーガキング』
赤い鬼から青い鬼へ、違いはそれくらいしか見られないが、放つ圧が圧倒的に。
「『螺旋魔力砲』」
とりあえず頭飛ばした。
25階層『オーガエンプレス』『ミリオンオーガ』
屈強で恐れ知らず、それでいて大量に出現し、時間経過と共に増えていくオーガ。
「『混沌螺旋砲』」
全員纏めてぶっ放した。
26階層『オーガエンペラー』『ミリオンオーガ』『オーガアーミー』
屈強な皇帝が前線に立ち、あとに続くオーガ達を指揮している。
その姿は微塵の曇りもなく。
「『混沌螺旋砲』『2』」
数が多いので2本撃ちました。
27階層『オーガエンペラー』『オーガエンプレス』『オーガキング』
一騎当千が3体も集まり、もはや災害とも言うべき戦力が。
「『魔力砲』『3』」
的が纏まって撃ち易くなっただけでした☆
28階層『コピーオーガ』
相手のステータスをその身に反映し、今までの努力が全て自分に帰ってくる。
「闘技『怒髪sy』......ぶべあっ!?」
「アホなのか?」
勝手に自滅技使って自滅しやがった。
29階層『オーガデミゴッド』
背中に羽の生えた。亜神というよりは天使っぽい見た目の鬼。
しかし、オークの時とは違い、その顔は怒りに満ちている。
「すまんな『簡易:魔竜砲』」
だけどやっぱりワンパンで終わらせるわ。
◇◆◇
30階層『オーガゴッド』
世界中の全ての絶望を固めた様な真っ黒な色の右半身。
世界中の全ての希望を固めた様な真っ白な色の左半身。
特徴と言った特徴が無く、その顔には目も口も鼻も耳も無い。
のっぺらぼうの真ん中に、向こう側が見える穴があり、その真下、首にも大きな穴があり、鳩尾、臍にも穴が空いていた。
「さて、コイツを倒す必要があるわけだが、俺は生憎魔力切れだ。助力は望めない。つまり?」
「僕達にやれと......」
「つらいッスね。」
「クッソがぁ」
俺の前に立つ3人の背中は、やや震えている。
そりゃそうだ。オーガゴッドのステータス平均は軽く100万。
俺の総ステータスよりやや低い程度。
つまり、目的の『絶対に勝てない敵』だ。
「『魔力砲』!」
「『重力柱』」
「『魔力大剣』!」
あっあ~。
全員悪手ゥ。
そもそも平均ステータスが100万ということは、知力にも大きな補正が掛かるわけなのだが、ここでわりと良くある勘違い、『魔物は頭が悪い』という初歩的な話になるわけだ。
そもそも、多くの魔物は声帯が発達していない。
その為、人間の様に流暢に喋る事なんてできないが、それを知能の低さと関連付けるアホがたまにいるが、それは違う。
地球にいた動物だって、下手すりゃ人間よりもっと賢かった。
生物的に言えば人間より優秀な動物なんて、探せばいくらでもいた。
それを更にブラッシュアップした魔物なんて、考えるまでも無く高度な頭脳を持っている。
さて、前置きが長くなったが、オーガ種は知力に掛かる補正が少ない。
その為、オーガゴッドも、知力はステータス平均を下回る事になる訳だが、その数値は53万。
ネタキャラかと思うレベルである。
ぶっちゃけた話、3人の知力を足しても届かないレベルだ。
三人寄れば文殊の知恵とは言うが、オーガゴッドには敵わなかったわけだ。
で、この事を前提として、何故三人の魔法が悪手かと言うと。
「なっ!?」
「あっ」
「うそっ」
オーガゴッドはやや後ろに下がる。
すると同時に、重力をかける為に出現した空間の捻じれの様な物が大きな魔力の剣を地面に叩き落す。
少なからず影響を受ける『魔力砲』も、やや細くなったため、顔の穴を素通りした。
偶然ならまだ、希望は持てたかもしれないが、オーガゴッドは故意にこれを起こした。
また、顔や首などの、計5箇所に空いている穴は、全て急所に当たる。
その為、一撃で倒す手段が無い。
さあ、どうする?
「『分身』!」
「『魔力剣』『倍加』!」
「『重力膜』!」
ヴィルは10体に別れ、アレクサンダーは大量の『魔力剣』を展開。
ラルフはオーガゴッドを中心にブラックホールの様な圧力をかける膜を展開。
動きを阻害するか、もしくは数の暴力を試みるが、三人は忘れている。
先程まではそれを自分達がやられる立場であり、自分達が多少苦労しながらだが突破できた状況が、三人以上の力を持つオーガゴッドに通用する訳が無い。
ヴィルは本体を除き全員殺され、アレクサンダーの放った『魔力剣』はラルフの『重力膜』で撃ち落とされた。
そう、遊んでいるのだ。
このクソ鬼は、三人を嬲って遊んでいる。
その証拠に、コイツはまるで攻撃を仕掛けて来ない。
あたかも自分が、ただの防衛装置かの様な振る舞いをして。