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11階層『オーク』『ゴブリン』
「おおっ!!体が軽いッス!」
「こ、こんな魔法があったなんて。」
「SUGGGEEEEEEEE!!!」
ゴブリン2体とオーク1体が一つの組として出現する。
剣ではなく、『魔獣鎧』の鉤爪で切り殺すのは流石にどうかと思う。
『魔獣鎧』の弊害ではなく、単にコイツらが調子に乗ってるだけか?
12階層『オーク』
「ゴブリンがいなくなったッスね」
「だが、オークの数が増えた。ここからは慎重に行こう。」
「GRRR」
ラルフよ。せめて喋りなさい。
アレクサンダーよ。前の階から慎重だったら満点だったんだがな。
13階層『オーク・パーティ』
「じ、陣形を組んでるオークッス!」
「前衛と後衛がハッキリ別れてるオークだと!?こ、こんなのCランクパーティ並みじゃないか。」
「KOOOOEEEEEE!!!」
『後衛』と叫んだラルフ君は確かに正しい。
明確に接近戦が弱い後衛は、積極的に倒せば有利に事を運べる。
しかし、それを止めるのが前衛の役目。
連携がパーティの要。なんて事を言っても、俺はパーティ組んだ事無いけどね。
14階層『オーク・アーミー』
「ぎゃああああ!!!ヤバいッスヤバいッス!パーティより更に大きな規模になったッス!」
「こ、これは流石に、討伐隊クラスの編成でないと太刀打ちできないのでは?」
「構わない。『魔獣鎧』を使っている状態なら魔力の自動回復も早くなる。魔法も極力使え。」
「JUUUUURYOOOOO!!!!」
ラルフが全体に『重力波』を放ち、動きを阻害する。
その間にヴィルが魔法使い系を倒して、アレクサンダーが注目を集めつつ翻弄している。
粗方魔法使いが処理し切れたら、ラルフがタンク役を『重力柱』で完全封鎖しつつ、そいつらの装備を削って行く。
アレクサンダーは回避から攻撃に転向。
打ち残しの魔法使い系をブッ倒す。
その辺りから存在を忘れられたヴィルが剣士系を背後から刺し殺し、短距離転移で移動する。
「グダグダ言ってたくせに、割と上手く戦ってんじゃねェか。」
『お前より早いんじゃねェかァ?弟子に越される気持ちってのァどうなんだァ?』
「悪くない......次なる目標ってヤツができるからな。」
15階層『オーク・キングダム』
「ぐべぇっ!?ちょっ、なんでこんな大軍が!?」
「さっきまでの感覚だと死ぬぞ!相手はオークの国だ!」
「ふつうは、Bランクソロ級、だぞ。」
ラルフが正気を取り戻しつつ、全員が弱音を吐き始める。
が、肝心のオークキングが見つからない。良くてジェネラル。
レア個体っぽいのも見られるが、やっぱりキングがいない。
キングダムって感じじゃないな。
「チッ、このままじゃ押し潰されるな。『魔獣鎧』強化率3倍。」
と、ついでにオークジェネラル達の足を『魔力弾』でハチの巣にしておく。
これで3人は雑魚狩りに集中できるはずだ。
『過保護な野郎だぜ。』
16階層『オークキング』
「たった一匹で仁王立ちしてるッスね。」
「だが、まだ16階、ヤツはボスではないのだろう。」
「読めた。次はキングパーティだ。」
1匹と思って油断していると痛い目を見るぞ。
オークキングのステータスは平均が20万。
特に筋力や忍耐等が高いが、それでも魔力はコイツらより高い。
つまりだ。
「『GYAAAA』!!」
「なっ、これは魔法!?」
「【無】属性魔法じゃねぇか!」
「難易度爆上がりじゃないッスか!」
形状がかなり歪で、球体というよりは牙っぽい見た目の『魔力弾』だが、その数が問題。
50発程度なら3人で捌く事が可能だが、オークキングが出したのは500発。
消費の少ない『魔力弾』でも、20万程度の魔力でこれだけの数を出すなんて、心境的にできやしない。
『自虐か?』
「いや、別に」
『魔獣鎧』も万能ではない。
特に、魔力で相殺して貫通してくる『魔力弾』なんかは、数を撃たれれば貫通してしまう。
関節部の様な、鎧の覆っていない部分に当たれば、一発でリタイアの可能性もあるんだ。
が、数の暴力は経験済み。
「『重力波』」
「『魔力砲』ッス!」
「『魔力剣』!」
ヴィルは渦を巻く様に『魔力砲』を操作し、ラルフは『重力波』で『魔力弾』を低い位置に下げる。
そこで撃ち漏らしたモノをアレクサンダーが『魔力剣』の遠隔操作で削り取る。
相手が『魔力弾』を動かす前にその判断をして、冷静に連携を取った。
満点だな。
そこからは、持久戦の開始で、大量に『魔力弾』を出し続けるオークキングをどうにか妨害しつづけ、魔力が全て無くなった所をタコ殴りにした。
16階層『オークノーブル』
一階上がっただけで、熱気の量が異常なまでに高まった。
それは、10体程の『オークノーブル』。
数自体はアーミーに比べればそれほどでもないが、実はキング1体と比べると、戦い辛さが高くなる。
劣化版キング10体と言ったところか。
「一人三体で分けるより、一体一体を三人で倒していくぞ!」
「じゃぁああああ!!!」
「コミュニケーションッス!」
ヴィルが他の個体と鬼ごっこしている間、アレクサンダーとラルフが一体一体を叩き、着実に潰していく。
慣れ......恐るべし。