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「っしゃぁあああああ!!!」


 目の前に崩れ落ちる真っ赤な塊。

腕二本と足二本、羽二枚を全て失い、角も目も牙も失った頭は、最早ただの丸。

 全身の鱗は剥がれ、元々緑色だった全身は綺麗に紅に染まっている。


 これで13体目。

星竜シリーズは皆殺しにして、属性竜シリーズを倒している。

 風竜とかいう奴に至るまで、かなりの連戦だったし、普通に二週間近く掛かったが、徐々に剥ぎ取りの練度は上がって行っている。


 めっちゃ疲れたが、当初の目的は完了したし、現在進行形で、倒した竜の持ち場は削りつくしている。


『装鉱』の収穫率も良い感じだ。


 しかしながら、こんなにバリバリ削ってるのに、そこまで山全体に影響が無いのは驚きだ。

普通に気候変動とかの影響が出てしまいそうなんだが、割と問題無いらしい。


 よーく目を凝らしてみると、薄い魔力の膜が張ってあり、それが山岳地帯を覆って風を誘導しているのと同時に、徐々に山を再生させているらしい。


 どういう仕組みなんだろうか。


「ってことで、望み通りの成果も集まったし、帰るか。」


『キャァアアアアア!!!』


 うおっ。

なんぞ?

 女の、それもかなり幼い感じの悲鳴。

 

 どういうことだ?


「帰り際だしな。ちょっと見に行くか。」


 声のした方向にダッシュする。

こういう直観は、多分良い事に繋がるはず。

 少なくとも俺は運が悪い方だから、問題無い。


◇◆◇


「キャァアアアア!!」

「喰らえ、エクスカリバースラッシュ!!」


 なんか、よく分かりません。

状況を整理してみる。


 悲鳴を聞いて駆けつけた俺は、何故か十日程前に倒した『ムーンリットドラゴン』の跡地に到着した。

そこには、作業を続けていた俺の分身と、どこから湧いたのか分からない黒い竜、そして幼女となんかのパーティがいた。


 いや、冒険者とかそういうんじゃない。

本当に良く分からないから特徴だけを説明すると


『ガチな日本人』がそこにいた。


 五人全員がどこかの学生服らしきものを着ているので、日本人と断定したわけだが

なんか光ってる剣を持ってる男。

なんかの杖を持ってる女。

なんかの詠唱を唱えてる女。

なんか痛い詠唱を唱えている男。


 そして、全体的に陰鬱とした感じの、どこか達観した目の男がいた。


 黒いドラゴンを『鑑定』してみると、『ブラックホールドラゴン』と出ていたが、星竜シリーズではなさそうだ。

 まだ『スペースドラゴン』とか『ギャラくティカドラゴン』とかに会ってないから、なんとも言えないが、もしかしたら星竜シリーズと呼んでいるドラゴンにも他の種類や、上位種なんかが存在するのかもしれない。


 閑話休題。


ん?というか、幼女の位置的に、ドラゴンが幼女を襲っているのではなく、パーティに襲われている幼女をドラゴンが助けているみたいに見えるな。

 

 丁寧に後ろ脚の後ろ側で守っている様に見えるし、その『ブラックホールドラゴン』......ブラドラも、どこかその幼女を守っているように見える。


 ちょっと見守るか。


「待ってろ、今助ける!」

「やめて来ないで!パパを苛めないで!」

『GYAARRRRRRAAAA!!!!』

「父親を......!この悪魔め!」


 なんか噛み合って無いな。

今の所、光の剣男しか喋って無いが、他の奴らは?


「ふっ、黒竜よ、我の前にひれ伏せ!『パーフェクトライトニングフルバースト』!」

「今助けるからね!『スーパーレイ』!」

「彼の者を打ち払え『滅殺光線』!」

「......なぁ、そのドラゴンって」

「うるさい!人殺しは黙ってろ!」


 唯一マトモそうな陰鬱男が、光の剣男に黙らせられた。

人殺し、の意味は分からないが、この男だけ、どこか仲間感が無いな。


 というか、なんでコイツラ同系統の魔法しか使わねェんだよ。

パーフェ...痛い男のは多分ライトニングの部分だけで良いし推定【光】属性だし

杖女のもレイ(光線)だし。

詠唱女のはそのまま光線って言ってるし、

光の剣男は光の剣だし、すっげぇ統一感。


 このブラドラの黒は闇系の黒じゃなくて、ブラックホールの黒だから、多分光は効かないし。


『......GYAAAAA!!』


 案の定、ブラドラにそれらの魔法は通用せず、その硬そうな皮膚に吸い込まれてしまった。


 んー、あの光の剣男は多分、超苦手なタイプだろうが、まあいい。

こんな所に日本人がいるのも気になるし、ちょっと加勢するか。


もちろんドラゴンにだが。


「『魔力鎖』!」


 一個単位での強度を高めて鎖状に繋いだモノを五本ほど。

パーティ共にぐるぐると括りつけてやる。


「なにこれ!?」

「まさか伏兵か!?」

「くっ、奇襲とは卑怯な!」

「......手が」

「......」


 とりあえず、手を体にぴったりとくっつけさせ、周囲に『クリア』を撒いておく。


「誰だ貴様!」

「君、まさかこのドラゴンの仲間なのか!?」

「やめて!私達は人間の仲間でしょ!」


 痛いのと光の剣男と杖女か。

詠唱女は詠唱と『手が』しか聞いてないし、陰鬱男はなんか、俺を見て固まってるし。


「ブラックホールドラゴン、でいいな?変身しろ、人間の姿で対話してくれるなら、コイツらをどうにかする。してやろう。」


 とりあえず、喚いているコイツらの声は無視して、ブラドラに話しかける。


『それは誠か?』

「誠も誠、嘘はつかねェ。俺は嘘を吐いてまで奇襲しないといけない程弱くねェ。具体的に言おうか?こんな感じだ。」


 そう言って、俺は【竜化:プロミネンスドラゴン】を使った。

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