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 プロミネンスドラゴンのいた場所。

『太陽の山』改め『方舟の丘』。

 理由は聞かないでほしい。


「結構ざっくりいったねぇ。」


 山と丘の正式な差は知らない。

が、今ここは、絶対に山と言える様な場所じゃない。


 『魔力拳』と『分身』による超並行作業により、山頂は500M程下がり、隣の山と比べるとやや低くなってしまった。


 『魔力弾』や『魔力砲』で削れば、これの二倍は削ることができただろうが、それでは大切な『装鉱』も削れるかもしれなかったので、手作業で行う事にしたのだ。


 ということで、一気に集まった大量の『装鉱』。

赤、青、緑、黄、様々な色の石だが、これら全て『装鉱』らしい。

 とはいえ、この色が、魔法属性を表しているのかと言えば、そうではなく、ただ単純に作り上げた装備品の色が変わるらしい。


 そうなると、メインを飾るのは白か黒が良いな。

いや、他の色でも良いのだが、無駄な装飾とかは別に要らない。

 休日もシャツ暮らしだったし。


「じゃあ、『分身』にはこのまま作業で、次の工程に移ろう。」

「ん、じゃあ、それに魔力込めて、変形させる。それで大体は完成。」

「......んんん。マジで?」

「そう、マジで。でも、ここからが曲者、基本的には魔力量だけで銀まで上がれるけど、それ以上を目指すのなら、何かしらの素材が必要になる。それは、滅多に手に入らないアイテムや、強力な魔物の体の一部とかじゃないといけない。」


 つまり、必要なのは明確なイメージと、大量の魔力と、優秀な素材。

内二つは揃っている為、素材が欲しい所だが。


「この山岳地帯には、他にドラゴンとかいるか?」

「基本的にはいっぱいいるよ。ジュピタードラゴンとか、ウラノスドラゴンとか。プロミネンスドラゴンよりは弱いけど、それなりに強いし、変身も持ってる。」

「へーぇ。でも、もっと器用にぶっ殺さないといけないんだろ?『竜化』の影響で、ドラゴンは吸収するらしいし。」


 殺す前に素材部分を剥ぎ取る必要がある。

そんな事はできる訳が無い。

 もっと実力差があって、猫の詰め切りくらいの感覚でできるのなら話は別だが、俺からしたら相手はライオン、油断すれば普通に死ぬ。


 難儀な事だが、逆に言えば、更なる力の増強に利用できるという事だ。


「ドラゴンが絶滅危惧種になるくらいに乱獲しまくってやろうか。」


 鱗や角、牙が欲しいなら、腕を切り落として、角を欠いて、牙はへし折れば良い。

ちょいと乱暴だし、効率はちょいと微妙だが、楽しくなってきた。


「ってことで、別に好きじゃない色の『装鉱』はカムにやる。完全自律型の『分身』を置いて行くから、そいつに『装備品』の作り方を教えてやってほしい。」


 あとで元に戻れば、記憶はちゃんとインストールされる。

ちょっと疲れるがな。


 

◇◆◇


 俺の出て行った所を見送ったオレは、カムと顔を合わせる。


「このままこの『分身』君で既成事実とか作れないかな。」

「作れねェよ。オレは精霊だし、ってか、オレにゃ生殖機能はねェよ。ったく、なんでマキ型なんだよ。イム型の方がやり易いだろうがよ。パルエラさんは、無理か。新入り(・・・)は、完全に不定形だからなァ。しょうがねェか。」


 ブツブツと呟きながら、オレは魔力を『装鉱』にぶち込む。

橙色が6つほどあるため、少し逡巡しつつ、イメージを固める。


 オレの同僚的存在であるイムと、パルエラさんが自由になれる為の体。

ゴブリンズの左右共の籠手。

ポストルの靴とキクス用のアレ(・・)


 かかっ、(あのアホ)じゃねェが、ちょっと愉しくなってきた。


 まずはイム用の素材。

アイツは魔物の核に憑依することが可能だから、それを中心にして、胴、腰、腕、脚、頭のパーツを作るか。

 体格は幼女型で良いだろう。

のじゃロリってやつだな。


 球体関節人形みたいな形で、全身に魔力の通る道を作る。

筋繊維と骨での構成でないため、その動作は基本的に一律だが、魔力を流した時のみ力が増強するよう細工する。

 核に憑依しても、その核自体の魔力が無くなればもう意味は無い。

その為、体内にストックできるようにスペースも作っておく。


 ちなみに、これ一体を作る際、オレはカムに指導を受けていない。

俺は持っていない知識をオレが持っているため、聞く必要が無い。


「パルエラさんは、大人型で良いよな。ん、でも、もしもの時の為にもう二体ほど作るか。」


 あの女神だけは、未だによく分からない。

(ノア)を好きだと言い続けるが、加護のレベルも3から上がらないらしいし、身体を持ったらイチャイチャし始めるだろうが、まあそれでも構わないだろう。

 ということで、桃色の『装鉱』を二つ手に取り、並行作業を行う。

橙は通常大人型。桃は幼女型と###型だな。これについてはちょっと(ノア)には黙っておこう。


 次に籠手か。

拳の握り具合を均等にするための棒を突っ込んで、手の甲には硬い板。

 それ以外は、指の可動を阻害しないように柔らかく伸びやすい素材にする。

指抜きにした方が他の部分に回す量も多くできるし、なにより籠手としての役割に近付けるか?

 

 特殊機能系をつけるのも悪くねェな。

パワー凝縮とか、推進力増強とか、オレは良いと思うぜェ。


「自分の為の装備品は作らないの?」

「作らねェな。そりゃ本体の仕事だ。オレは仲間の装備を作る。それをベースに、自分の装備を作る。」


 いわゆる試作品なわけだが、それを捨てたり『ボックス』の肥やしにするのはもったいない。

練習と実益を兼ねた良い策だァ。


「ポストルの靴にゃ、速度上昇は要らねェ。敏捷上昇は基本機能として付与されるが、特殊機能は別要素にしよう。環境適応は安直か?水中を歩ける、空中を歩ける、そんな機能があれば良さそうだが......チッ、ダメだな。それなら飛行系の素材が必要だ。鳥か?いや、本体がドラゴンの羽を持ってきてくれたらそれで良さそうだな。後回しか。こういう待ち時間は好きじゃないな。」


 ということで、中途半端な所でポストル用はやめ、次はキクス用。


随分と難しそうだが、共有している『ボックス』の中身と、本体帰還までの時間を鑑みて、まあ問題無いだろう。



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