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 俺が錬金ギルドに入った証であるらしいバッジを貰う。

ゲットだぜ!と言いたい気持ちは抑えて、この銅のバッジをマジマジと見る。


 金床っぽいマークを中心に、ひし形の様な形状。

造形としては、現代日本の鋳造技術に匹敵するレベル。

 凹凸のバランスが絶妙で、本当に小さな金床を張り付けている様だった。


「そちらが下級錬金術師証明です。銅が下級、銀が中級、金が上級で、最上級になった場合は、専用のバッジが支給されます。その場合、素材は宝石を使う事になり、その人のイメージカラーに合うモノとなります。」


 カムならルビー、ハクなら......白い宝石とか知らんな。真珠とかか?

宝石じゃ無くて良いなら、アルミナとか?酸化なんちゃらだけど。


 とりあえず、そうなってくると俺は困る。

真っ黒じゃん。

 これから錬金術についてとかもちゃんと学ぼうと思うし、最上級にもなりたい。

 それなのに、イメージの宝石が黒とか言われて、石炭とかになったらどうしよう。


ちょっと不安だな。


「ということでカム、俺はアンタと別行動になる。今まで」

「私も暇になるから、手伝うよ。一応私も錬金ギルド入ってるし。」


 そう言って取り出したのは金のバッジ。

まさかの上級。


「それも追い抜く。それで、具体的な昇格方法は?」

「月に一度行われる試験で合格すれば、どこに所属していても、誰を師事していても構いません。」


 そりゃ好都合。

コネが全てなんて言われたら本格的に困る所だった。


とはいえ、前世の記憶込みでも俺は正直危うい。

 錬金術ってあれだろ?理科だろ?

 

 理科苦手なんだよな。生物系は多少得意だったけど、化学系が特に無理だった。

化学式とか、めちゃくちゃに間違えるし、唯一好きなのは、元素記号表を見ることくらいだった。


 だから、ある程度なら分かるものの、本当にある程度しか知らない。

ラノベ主人公じゃないんだ、そんな知識チートなんてできるかよ。

 理数系は基本的に赤点ギリギリだったんだから。


「というわけだから、色々頼むぞ。」

「どういう訳か分からないけど、頼まれたよ。」


 そうして、錬金術についての知識を得つつ、装備品も作り、なんなら最上級の錬金術師になってみようかという試みが始まった。


◇◆◇


「基本的に、錬金っていうのは【土】の特殊属性【錬金】を指す。けど、この国においては、【錬金】持ちでなくても、錬金術師になれる。何故だと思う?」

「魔力だけではない、何かしらの要素が絡んでいる、が第一候補。第二は、何らかの装備品の効果で、人為的に【錬金】が使えるようになる。第三に関しては荒唐無稽だが、如何なる人物もこの地でのみ、【錬金】の属性が使えるようになる。」

「第一と第二が殆ど一緒だよ。けど、意味合い的には一番第一が正解かな。誰も彼もが【錬金】を使えるようになる訳じゃない。むしろ、そんな方法希少だよ。」


 そりゃそうだ。

そうでなければ、他国に高値で売り付けたがるだろう。

 量産できない理由か、宗教的な理由でもなければ、出回って無いとおかしい。


「まあ、完結に言えば、魔力を込めるだけで形を変える特別な鉱石がある。『装鉱』っていう白い鉱石を武器や防具の製造時に混ぜ込めば、『装備品』になる。」

「ほーん。で、それを手に入れるにはどうすればいい?」

「掘る。」

「どこで......山岳地帯かぁ。」

「概ね正解。あそこには厳密な領域制度がある。アド王国は、その中で4割近くを占領する事に成功しており、残り6割は、超強力な魔物が牛耳っている。」

「プロミネンスドラゴンが良い例か。」

「そう、だから基本的に冒険者がそれらを討伐した場合、国が金を払ってでもその土地を欲しがる。」


 ああ、独占したいのか。

スペシャルでなければ、ユニークでなければ、オンリーワンでなければ価値は無い。

 技術も資格も完成品も要らない。

 ひたすら、素材のみを独占できれば、鉱石が量産できなければ、それだけで十分な利益となる。



なんとなくだが、気に入らねェな。


 神から聞いた世界の停滞。

それは、地球の現代の比ではなく。

 この世界には一切の発展が存在しない。

  新しいチャレンジが無ければ、発想も無い。


 故に異世界から召喚され、知識を広めて世界を発展させる事が目的であろう地球人が数人いる筈なのに、それらの影は一切無く、この様な国がのさばっている。


 気に入らねェなァ。


「よし、この国で最高の『装備品』は?」

「EX装備品『勇者の剣』かな。上の方に行けばそういう図鑑とかあるかもだけど、めんどくさいよね。」

「ああ、問題無い。」


 クッソダッセェなとか思ってない。

ただ、量産品で+100とかがザラにある以上、EXというランクは、そんな簡単な代物じゃ無い筈。

 

「むしろ【称号】的な倍率強化系だったら良いんだが、それはそれで、【称号】に加算されれば良いんだが。できれば基礎ステータスを上昇させてくれるなら、そっちの方が良いしなぁ。特殊なオプションは正直要らないな。残機+系はワンチャン?ともかく、属性付与系と謎機能は要らない。よし。」


 イメージと目標を決めた。

これで、ある程度はめんどくさい事もできるだろう。


 ふふっ、ふふふふふ。

太陽の山にある『装鉱』全部掘り尽くしてやるぜ。


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