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 いわゆる、壁。

成長限界。


 俺のステータスは、何をやっても伸びなくなっていた。


よくある9999みたいな、カンストには至っておらず、全てが全て、中途半端な状態で止まり、どれだけハードな訓練を積んでも、1つも増えなかった。


 発見したのは、いつもの日課に、ステータスを見てニヤニヤしていた時、ふと、昨日と変わらないという事に気付いた。


 【幼児】の称号が外れるまで待って、ステータスが10倍になった後も、それは変わらず、オッサンやカムとの戦闘を経ても、それは変わらなかった。


 つまり、俺はこれから、【称号】を得る以外に、ステータスを伸ばす方法は無いのか。

正直絶望した。


「ということらしいんで、一回死んでみよう。」

「はぁ!?」


 その事をカムに聞いた所、そんな事を言い出した。

現在、俺はカムとほぼ同棲の様な事をしているが、その時のなんとなく出た話題。

『ステータスを最も効率良く伸ばすにはどうすればいい?』


 その延長で、自分のステータスが伸びなくなっている事を伝えた。


「別に、カンストに届いた訳じゃないよ。ただ、成長限界ではある。」

「それを、カンストって言うんじゃないのか?」

「私は人間で、1億を越えているステータスを見た事がある。」

「おっ......!?」

「その人は残念ながら女の人で、対象外だったからもう会ってないけど、少なくともただの人間だった。」

 

 億。インフレが進んだ少年漫画みたいな数字を、持っている人間が存在する。

だが、俺もそれに届けるのか。ど、どうなんだ......?


「ということで、一回死ぬ思いをして、覚醒してもらうよ。」

「なっ。そんな事したら、本当に少年漫画じゃないか!」

「まあまあ、ちょっとドラゴンと闘うだけだから。」


 ドラゴン。

ドラゴンって言ったら、あの翼の生えてる爬虫類か?

 ファンタジーなら一番強いと定評のあるあの?

ネット小説なら、なんだかんだチートで一発KOされて、周りの人間からスゲーとかツエーとか言われてちやほやされるあのドラゴンか?


負けるつもりはないが、それでも、そんな簡単に戦える相手なのか?


「丁度良く近くの山に伝説のプロミネンスドラゴンが出たらしいから、そいつと戦ってもらうよ。」

「参考までに、どの程度の強さで?」

「私も普通に負ける!」


......

......

ええー。


......ジャイアントキリングって称号あったっけ?


『あるにはあるよ。強敵を倒したら【ジャイアントキリング】。絶対に勝てない敵を倒したら【起死回生】。神級に強い相手を倒したら【神殺し】かな。』


 チッ、ちょっとだけやる気が湧いて来たな。


「早速そこまで行くけど。準備は良い?」

「あの、俺の武器は......?」

「ドラゴン倒すまでお預け。」


 そんな殺生な......


◇◆◇


 アド王国の南部に広がる山岳地帯。

鉱山であるにも関わらず、一切人間がいないのは、そこに棲む大量の魔物が原因だろう。


 麓に大量のスライムが湧いており、まあまあ危険度が高く。

中腹にはオークやオーガの住処が散見され、なんならたまに小さめのドラゴンも出る。

 そして山頂。


山岳地帯というだけあって、様々なエリアに分かれるわけだが、その中でも一番広く、一番高い位置に在り、一番強いドラゴンが棲んでいるという場所。


「そう、ここがまさしく『太陽の山』!」

「道中めちゃくちゃ大変だったのに、全部端折ったなこの女ぁ......」


 スライムは、一匹二匹なら十分無害だが、2桁3桁になると話は別。

連携を取って全身を覆われてしまえば、普通に溶かされて死ぬ。


 オークやオーガなんかも、割とメジャーな魔物だが、知名度と難易度は関係無く、チートなんて持ってない俺には普通に強敵で、3匹に囲まれた時にはカムも加勢しなかったのでかなり命の危険を感じた。


 特にオーガなんかは技も通らないから、魔法オンリーでゴリ押すしかなかったし。


そんな連戦を、このカムとかいう女は、すべて「かくかくしかじか」で済ませやがった。


 まあ、気を取り直す。


 太陽の山というのは、通称らしく、何々のドラゴンがいる場所は○○っている名前で、という具合の決め方らしい。

 というか、プロミネンスは太陽じゃ無くて紅炎だろ。

昔ググったぞ。

 

「で、目の前で怒り狂っている真っ赤なドラゴンが、件のプロミネンスドラゴンでーす。」

「このノリで続いてラスボスだしやがった......」


『GGGGAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!』



 プロミネンスドラゴンの咆哮が、辺りに木霊した。

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