表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/310

107

 実家の扉をノックする。

前までは、そんな事をする事もなかったのだが、流石に急な帰省なのだから、ちゃんと確認を取るべきだ。


「はーい。どちら様......ノア!?どうしてここに?もう学校って休みなの?でもイキシアの時は何年も帰って来なかったし。」

「ただいま。イキシア姉さんは忙しくて帰って来られなかっただけだよ。それと、報告。」


 深呼吸を二、三回。

流石に、親に退学を報告するのはどうなのだろう。

 もしかしたら、既に連絡が来ているか?

 今のうちに、作戦変更で別の言い訳を考えた方がいいんじゃないか?


「退学になったので、帰ってきました。」

「―――」

「なので、とりあえず帰省をして、旅に出るつもりです。」

「―――」


 あれ?反応が無い?

言い切ったのをちゃんと確認して、母の顔を見る。


「あれ?白目剥いてる。」


 なんと、ショックのあまり気絶してました。


「いや、今のは母さんには厳しいと思うぞ?ただの冗談か?」

「本当なんだけど。え、そんなにショック?」


 いや、ショックか。

普通、半年前くらいに入学した息子が、こんなポンと退学を報告するなんて思わないだろ。


「ちょっと闘技大会でやらかして、退学くらいました。」

「どんなやらかしだよ。あれか?ノアが強過ぎて、貴族とかに圧力をかけられたのか?」

「大体そんな感じ。」

「マジかよ!」


 学園長が貴族かは知らないが、権力によって退学にされたのは事実だし、闘技大会でやり過ぎたのは事実。

 ただ、それについてはハクも同様で、高等部を倒しているのだから、同じ様なモノだろう。


 むしろ、周りからの評価的には、『生徒会長に善戦した一年』よりも『生徒会役員を倒した一年』の方が印象強いと思うし、無問題。


「ということで、自分探しの旅兼、復学までの期間の修行に出る事にしたから、挨拶に来た。」

「―――ッは!!ノアが退学になった夢を見たわ。」

「バリバリに現実だよ、母さん。」


 どうやら現実逃避ぎみに気絶から目を覚ました母だが、二度目の報告には耐えた。

そこから、かくかくしかじかと事情を説明し、ハクはまだ学園に残っていることと、友達ができたことを報告した。


「まあ!ノアにハクちゃん以外の友達が出来たのね!嬉しいわ!」

「お?女子か?ガールなフレンドできちゃったか?」

「いや、そんな事無いよ。」


 思い浮かぶのは、レオナの顔や、マリナ教師の顔。

まあ、どうなのだろう。


「友達百人はできなかったけど、仲の良いクラスメイトが30人くらいできたよ。」

「我が息子ながら、社交性とフットワークのレベルが高い。」

「女友達は大切にね。男友達はそれなりにぞんざいに扱っても大丈夫よ。」


 息子にどんな知恵を授けてるんですかね。この母は。


「そうだぞー、俺は母さんを大切にし、母さんは俺を結構雑に扱う。それくらいでちょうど良いんだ、男女関係なんて物は。」


 随分偏向な男女関係だが、まあ、それくらいがちょうどいいと親が言うのなら、子の俺にも、それくらいがちょうどいいのだろう。

 が、100%受け入れる訳じゃないぞ。


「とりあえず、そんな感じで、俺は―――」

「おにいちゃん?」


 愛らしい天使の声と共に、俺に背筋には大量の電気が流れる。


これは最早、災害なのではないだろうか。

 

「あ、アスタ~。久しぶりぃ、お兄ちゃんだよぉ~。」


 ご覧の有り様である。

単刀直入に言うと、俺、ノア・オドトンはシスコンである。

 もちろん、性的な目で見る事等絶対に無いが、将来的に、イキシアかアスタ、どちらかが結婚相手を連れて来たら、とりあえず拳で語り合って、不合格なら殴り殺すつもりなくらいのシスコンだ。


 ちなみに、合格ラインは

『嫁(アスタorイキシア)にちゃんと気を配れて、ステータス的にも戦闘的にも俺より強く、家族へのサービスを重視し、仕事と私どっちが大切という質問に、即答で君と答えられて、かつ散財しない性格と、立派な職に就いている事を前提に、そこから20個の質問による採点で、一問5点の100点満点中85点未満は不合格。』


 という簡単なものだ。


「おにいちゃんひさしぶり。アスタいーこにしてたよ。」

「おお!良い子にしてたか!アスタ良い子だから、お兄ちゃんプレゼントあげちゃうぞ!」

「あっ、あんまりアスタを甘やかしちゃ駄目よ。今日はオネショしちゃったじゃない。」

「母さん、オネショは時期でしか治らないので、それは悪い事ではありません。ちゃんとそれを後処理したのなら、アスタは良い子です。」


 ついつい早口になってしまうが、天使(アスタ)を擁護するのにはコレくらい必要だ。


「さ、新しいお洋服に、綺麗なお人形だよ。」

「わあ、ありがとう。おにいちゃんだいすき!」

「俺もぉぉ!!」


 涙で前が見えないが、人形と服を汚さない様に手渡す。


 そういえば、先程からキクスが喋らないな?


「あ、そういえば、この人はキクス、ちょっとした事情で俺が作ったホムンクルス。」

「あ、そうなの。何の説明も無いから戸惑っちゃって、今お茶を出すわね。」

「ホムンクルスって、あの、魔法使いとかが使役してるってやつか?」


 普通はホムンクルスって言ったら錬金術師なんだけど、この世界だと魔法使いなんだよなぁ。

そんな事を思いながら、キクスに目配せするが。


「今は寝てるから、ちょっとベッド借りるね。」

「あら、眠ってるのね。ええ、いくらでもどうぞ。」


 と、許可が下りたので、ベッドに寝かせ、アスタとのお話に戻る。


「アスタは何か、お兄ちゃんに話したいこととかあるかな?」

「うー。アスタのぞくせー!わかったよー!」

「おー!どんな属性だったんだ?」


 アスタもステータスを見れる様になったのか。

しかし、難しい字は読めるのだろうか?心配だ。


「えっとねー、ぜんぶおぼえてないけど、いっぱいあったよー。」

「ほー。アスタはすごいなぁ。」


 いっぱい、ということは、さては基本属性が全て揃ってるのか?

アスタならあり得るな。

 恐らくは、そこに幾つか固有属性が混ざるのもあり得る。


「それって、火とか水とかかな?」

「んーん?無いよ?」

「えっ?」

「なんか、ちゆとか、こおりとかってある。」


 へぁ!?


「ちょ、ちょっと失礼。」


 『鑑定』でステータスを覗き見る。


◇ ◆ ◇


アスタ・オドトン 五歳


HP:10/10

筋力:5

魔力:2105

敏捷:2

忍耐:1

知力:4

幸運:500


適性魔法属性:【固有】『増殖』『無限』『成長』『進化』『魔力』『混沌』

【氷結】【治癒】【錬金】【病気】【影】【神】


加護:【魔神の加護】【魔導神の加護】【魔術神の加護】


称号:【幼児】【魔導の寵児】【天才】【神童】


◇ ◆ ◇


 えー、ゲロ吐きそう。

なんて言うか、え、恐怖。

才能怖。

え、俺って三兄弟の魔法担当みたいなポジションじゃなかったの?

 

 えー、整理に時間掛かりそうなんだけど


「おにいちゃんにまほーをおそわりたいんだけど、だめ?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ