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98と97の順番を間違えていた事をお詫びします。

今後も、この様なミスがありましたら、遠慮無く教えてください。

『全ての神の父の左目。時間と正義を司る最初の五神の一柱。この世界の主神の代表にして、最高峰の力を持つ再生の権化。名は【G:3=C-type】』


『正解。だけど、その名前はダサいから、ボクが考えた【カロル】で呼んでよ。』


 クリスマスキャロルネタをまだ引き摺るか。


『ネタの分かる神サマって、素敵でしょ?』


 場合によるが、悪ふざけをしないのなら魅力的だと思う。


『良いね。そんな君に【加護】を授けるよ。面白い機能がいっぱいあるから、試してみて。君の持ってる『鑑定』なら、問題無く障れるはずだよ。』


『【時神の加護】を獲得しました。』


【時神の加護】

再生能力が高まり、欠損も治せるようになる。

肉体年齢を自由に操作できるようになる。


 破格の能力だ。

だが、こんな物を与えて、どうしろと?


『ふふっ、それはあくまでレベル1。君がボクとの親和性を高めることで開花する、大器晩成の神の御業なのさ。』


 親和性。

隠しステータスにあったやつか?

 そういえば、パルエラや包帯男の加護も、時間経過で効果が解放されていったな。


『ところで、君はこういう超常的な能力を嫌っていると聞いたけど?』


 嫌ってはいる。

が、これはあくまでこの世界に存在していた物。

 あの精霊の妨害と砂漠の旅を越えるという難易度の高い試練を越えれば、誰でも受けられる洗礼だ。

 だから問題無い。


『変な所にこだわりがあるんだねぇ。まあいい。それじゃ、試練を始める。』


 ああ。早くしてくれ。


『んん、思ってた反応と違うな。』


 もっと驚いて、えっ!?試練があるの!?って言えば良かったか?


『そうなのだけれど、こういうのも、割とよくあるのかい?』


 いいや。

だが、稀によくある。


◇◆◇


 目にしているのは、過去の光景。


といっても、転生した後ではなく、転生する前。

 まだ俺が####だった頃の記憶。


 第三者視点で見ているのに、灰色な景色なのは、当時の俺にとって、現代社会という檻は、非常に窮屈で、色あせた世界だったのだろう。


『失敗と成功を繰り返して、わりと順調に進んでた人生。それでも、君の心は満たされない。』


 やる気が無いわけじゃないんだ。ただ、効率が悪い人間が多過ぎる。

感情的になるってことが微妙に分からない。

 いや、俺に感情が無いとか、そういう話じゃない。


 ちゃんと感情はある。怒るし笑うし、泣く事もあった。


 けど。

大切な時、重要な事、冷静になって、必要と最適を追及するくらい、誰でもできるよな?


 泣いて煙に巻く女がいた。

怒って殴る男がいた。

 楽しいと言って、アホな事をするガキもいた。

喜んで人を貶めるクズがいた。


 人生は一回しかない、だから楽しもう。

良く聞く言葉だ。

 だけど、俺はそれに対して


『なら、もっと効率的に生きないのか?』


 ずっとそう思っていた。


皆、効率が悪すぎる。

 人をイジメても、効率良くストレスが発散できるわけじゃない。

むしろ、その行為が憎悪を膨らませ、ストレスを募らせるのだから本末転倒だ。


 仲間と馬鹿なことをして有名になっても、名誉なわけじゃない。

むしろ、後ろ指をさされて、惨めな思いをするだけだ。


 面倒な相手よりも、気弱で言いやすい相手に、責任を押し付けるのも非効率。

表情だけで相手の考えを読もうと思うのも非効率。

 相手の足を引っ張って、陥れようとするのも非効率。


 しかも、どんなに効率的に生きようとしても、周りの人間はそれを認めない。


『倫理に反する。』『常識的じゃない。』『コミュニケーションは大事。』『協調性を大切に。』『皆そう言ってる。』『嘘吐き。』『馬鹿にしないで。』『喧嘩売ってんのか?』『なんでアンタはそうなのよ!』『ふざけるな!』『不正よ!』『愚か者!』『ありえない』


 いつからか、そんな言葉も、聞こえない。


段々と心が摩耗して、引っ掛かる角が取れて行く。


 下流にある石の様に、丸くなって、小さく惨めな姿になる。


『じゃあ、君はどうするんだい?』


 待て、今回想の途中だから。


『あ、はい。』


 そんな中、異世界転生という千載一遇のチャンスに恵まれた。

そのチャンスを与えたのは、他でもない、非効率な人間の愚かな行為だったのは、ご愛嬌と妥協しよう。


 銃弾が脳を抉って、意識が失われる時には、少し後悔もしたけど。


『色々やってみて、直ぐに飽きて別のところへ行って。結局、人生も飽きたのかな』


 なんて思いながら、俺は終わったと思った。


だから、次の人生があると知った時、とても嬉しかった。


 死んだ事に取り乱す暇は無い。

時間が無限にあったとしても、今その瞬間は有限だ。


 だから、最高に効率的に生きたいと思った。



それが、俺の今世最初の願い。


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