ストーカー
するとここで、着信が入って来た。
℡「母は、大丈夫そうなんですか?」
℡「それは私からは何とも言えませんが、お電話したのはもう1つございまして、お支払いの時に保険者証を出されていないんですが、そのご相談をさせていただきたいんですけど。」
お袋の容態より、清算の方が優先か。まあ、もっと重い傷病者を沢山扱って来たのだろうし、病院も資本経営を基本とする事業体、残念ながら人情味の無いところである。
℡「あ、ええ、明日から休暇を取って、そちらに向かうつもりでいますから、私がお持ちするということで宜しいでしょうか?」
# ピロピロピロ ピロピロピロ
また、ここで着信が入った。
℡「そうですか、遠方から大変ですね、後期高齢者医療保険者証ですので宜しくお願いいたします。」
℡「分かりました、それでは当日宜しくお願いいたします。」
救急病院との電話を切った。さすがのお袋も今回ばかりはタクシーで帰るのをすんなりと受け入れたようだ。
# ピロピロピロ ピロピロピロ
『まただ、煩いなあ。』
内容を確認するのを無視しようかと思った。つまりそれは、あのショートメールの着信音だからである。どうせまた、無茶苦茶な言い掛かりを送り付けて来たに違いない。多分、旦那にガツッと言ったことに不満を突き付けるんだろうと。
# ピロピロピロ ピロピロピロ
ほとんどストーカーである。
『ウザイ、もう、普通じゃねえな・・・しかたないか。』
しかし俺は一方で、あのクソ旦那がどのくらい俺の言ったことを聞き受けているかに興味があった。“俺は、この地位になった 、だから正しいんだよ”、ああいう自分の事を他人にひけらかそうとする奴は、明らかに自らに非があったとしても絶対受け入れようとしない。これは、見栄でしか生きていけないクソ人間達の万国共通のふざけた虚栄心なのだ。
取り合えず、最初の文面だけ見て、その後は削除である。携帯電話の画面を操作して、受信フォルダーのアイコンを押すと、画面が表示された。
@ おかしいよ、電話してみても出ないよ、何かあったのかなあ。




