第5話・デートは計画的に〜待ち合わせ編〜
更新が遅くなってしまい、大っ変申し訳ありません!!!このように、何ヵ月も空いてしまったりと、かなーり不定期更新となりますが、必ず完結させるので、どうか暖かい目で見守って下さると幸いです。
穏やかな風が身を包み、上を見れば澄み切った青空が広がっていた。
デート日和ってやつかな。
そんなことぼんやり考えながら、俺は麗華さんの姿を探す。
そう、ここは地元の駅前で俺はまさに、ここで麗華さんと『待ち合わせ』をしているのだ。
どうしてさっきまで一緒にいたのに、待ち合わせをしなければならないのか。――そのことをまず説明しなきゃいけない。 俺の当初の計画としては、自分の車に麗華さんを乗せて行こうと考えていた。しかし、麗華さんに行きたいところを聞くと『駅前をぶらぶらしたい』ということなので、駅前ならば移動手段は徒歩の方が断然楽なわけだが、それでは質問の答えになっていない。じゃあ何故、わざわざ一緒に来ないで待ち合わせをしているのか…。
それは麗華さんがある提案を出したのだ。
――――――
「なあなあ!どーせならちゃんとしたデートっぽく、待ち合わせをしようぜ!!」
「待ち合わせぇ?何でそんな面倒臭いことを。別にいいじゃないですか…。このまま行ってしまっても」
「ったくよお。おまっ…それでも男か?乙女心が分かってねぇつーか…麗華心がわかってねぇつーか」
「なんすか…その『麗華心』って…」
「んあ?だから私の心を掴むつーか、こう…キュンとさせるような――」
「あああ、わかりました。わかりました!んで、話し戻しますけど、なんで待ち合わせがしたいんですか?」
「いや…恥ずかしい話、私デートで待ち合わせってしたことがないのよ。だからさ『ごっめーん。待ったあ?』『いや、今来たとこだよ』って言う待ち合わせに憧れてたりするんだよなー」
麗華さん1人で、カップルの寸劇をやっているのを見て、器用だなーと関心してしまう。
でも…一応『デート』ならば、
麗華さんも、昨日の服のままじゃ嫌だろう。
それに、女の人は男と違っていろいろ準備とかあるだろうし。
「わかりました。さすがに今すぐってのはいくらなんでも急ぎすぎましたね。時間もありますし、一度家に戻ってから出直しましょう」
「ってことは、待ち合わせだな!? うっしゃあ! もちろん、『ごっめーん、待ったあ?』『ううん、今来たとこだよ』って流れは絶対やるからな」
「いや…そうゆうのは狙ってやるもんじゃ…」
「やらなきゃコロス」
―――――――
あの時の麗華さんは、今まで見せたことが無いくらい、恐ろしい表情をしていた。 結果的に何が言いたいのかというと、この待ち合わせは麗華さんの理想なデートを演出するためにやっているのだ。
「おーい、タクナリー!!」
思考が完全に回想に入っていたので、自分を呼ぶ声にハッとする。
声がした方に目を向けると、麗華さんらしき人がこちらに向かって走ってくるのが見えた。
「ハア…ハア。つ、疲れた」
「別に走ってこなくてもいいんですよ?俺逃げませんし」
俺は少し苦笑いしながら、目の前で手を膝に付き息を切らしている麗華さんに言うと、彼女はキッと俺を睨み付け、胸ぐらをつかんだかと思うと、ぼそぼそと話始めた。
「おめえ、バカだろ。待ち合わせっつーのはなあ、遅れた奴が待たせてる相手の名前を呼びながら、走って来るっつーのが、基本だろうが。常識よ?コレ」
「どこの国の常識?」
「るっせーな。細かいこといちいち気にしてんじゃねえよ」
なんだか、どんどん口悪くなってない?君。
ってゆーか…麗華さん、ドラマとかアニメとか見すぎじゃないか?確かに、テレビとかで流れているようなものは、麗華さんの言うとおり『○○ー!!』なんて、走ってくるけど普段ではやらないよ?実際さ、見て。麗華さんが大きな声で、俺の名前なんて呼ぶから、周りの人に注目されてるし…。
なんて言葉が喉まで出かかったが、なんとか飲み込んだ。これでまた変なこと言ったならまた、麗華心がなんちゃらかんちゃらとか、言われるのは目に見えていた。
そんなことを考えていると、いきなり彼女が『そーだっ』なんて言い、首元にある手を離した。
いきなり手を離すので、その反動で少しよろけていると今までに聞いたことがない様な、すごい高い声……つまり物凄いぶりっこをして彼女は言った。
「ごっめーん、遅れちゃって。待ったあ?」
ついでに言うなら、彼女は顔の右側に手を上げて…本当にマンガの待ち合わせシーンで女の子がしそうなポーズをして来たのだ。
「えー…と、取り敢えずそのわざとらしいポーズをやめてくれませんか…」
俺が呆れつつ、彼女の手を無理矢理降ろす。
「は?なんで…?」
「いやいやいや。俺、そのポーズを待ち合わせの場面で、本気で使う人初めて見ました」
「つまり…一般の待ち合わせで、こんなことはしねー。そうゆうことか?」
「まあ…そうゆうこと。」
「なーんだ。せっかくここに来る前に、コンビニで少女マンガ漁りまくって、研究したのによ」
「そんなことしてたんですか…」
俺はもう呆れることしか出来なかった。
「じゃあ気を取り直して、もう一回。―――ごっめーん。遅れちゃっ」
「ストーップ!!そのことで麗華さんにお話があるんですけど。なんでそんなぶりっこな声で言うんですか?」
「こう言ったほうが、タクナリも答えやすいかと…」
「逆に答えづらいです!いいですか?普通に、今までと同じ口調でいいんですよ。じゃないと俺もとっっても言いづらいんです!」
「そう…か。じゃあ、またまた気を取り直して」
そう言うと、麗華さんは軽く咳払いをし、いつものような眩しいくらいのニカッとした笑いを俺に向けた。
「待たしちまって悪ぃな。……待ったか?」
少し顔を赤らめて、言う。あー、ダメですよ麗華さん。その顔は反則です。そんな顔されたら…ねぇ?我慢が出来なくなるじゃないですか。
俺は彼女に向かって、多分、今まで見せたことが無いくらいの笑顔で言った。
「えぇ、とっても」
「テメェ、話が違ぇじゃねーかこの野郎!!」
「イタタタタ!!あのセリフ通り言うとは言ってないじゃないですかあ!!」
「ばっ!おまっ、普通そこはあーゆーようなセリフいう所だろうがよぉ!空気読めよクソ!」
「ごめんなさい!ちょっとからかいたかっただけなんです。悪気はなかったんです。だからお願い、そこはつねらないでぇぇぇ!!!!」
どこを、つねられたかは、みんなの想像に任せる。