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スコット商会②

短めです。

「エリス……アリシア嬢が混乱している。勢いで流すのはやめておけと言っているだろう」

「ヘイルにぃ」


 どう見てもエリスたちと同年代か少し上といった様子のルクスとピリカがエリスたちの育て親と聞いて、理解しきれないのか混乱してしまっているアリシア。それを見て、ルクスたちの後ろからやってきたヘイルが苦笑しながら注意をする。

 どうにも勢い任せに乗り切ろうとしてしまうエリスの性格にヘイルは時たま注意をしているのだが、なかなか改善の兆しはない。ルクスとピリカも力任せなタイプであるから、親のせいかもしれない……などとヘイルが思っていると、ルクスが軽く睨んでくる。


「ヘイル、何か君失礼なこと考えてない?」

「気のせいじゃないか? そんなことよりルクス、ピリカ、こいつはヒューバート。俺の親友だ。……ほらヒューバート、いつまで固まっている」

「え、あ、ああ。ヒューバート・エル・ルウィスと申します。……お二人のお噂はかねがね」


 ヘイルに小突かれてようやく気付いたヒューバート。そこからきちんと挨拶するさまは、やはり優秀な家系であることを端的に表していると言える。


「ヒューバート君か、よろしくね。……んー、ルウィスってどこかで聞いたことがあるなあ。誰だっけ?」

「……確かヘンリーの家名がルウィスだった気がする」

「ああ、ヘンリー君か。彼にはいつも王宮でお世話になってるよ」

「だったら家名くらい覚えといてやれよ」


 当然のツッコミである。

 ピリカにこっそり教えられるまで思い出せなかったルクスは、ヘイルの視線からさっと目をそらすしかなかった。

 それは置いといて、と不利を悟ったルクスが慌てて話題をそらす。


「エリス、必要なものはここで集まったかな?」

「うん、大体はね。あとはお金を払うだけ……あ、ルクス、私が払うからね?」

「……親に払わせてくれてもいいと思うんだけど」

「だめ。ルクスとぴーが家具を担当したんだから、これでいいの」


 この過保護で甘い育て親は、放っておくと勝手に支払っていくから注意が必要なのだ。エリスが大量にお金を貯めていた原因とも言える。本人曰く使っても使い切れないほどにあるから問題ないと言っていたけれど、ここまで甘やかす必要はないとエリスは思っている。

 ルクスとの激しい攻防戦のすえに無事エリスの手で支払いを終え、買った品物はエリスの持つ魔法の鞄(マジックバッグ)に詰め込まれていく。

制服のポケットに入れられるほど薄く折り畳めるその鞄は、広げた形は高さのほとんどない箱に似ている。限られた表面積のほとんどを上部の入口と底面に費やしているため鞄という形状からはかけ離れているが、その容量はほぼ無制限だ。繋がっている別空間には時間停滞の魔術がかけられているため、中のものが劣化することはない。

 鞄の底面に小さく刻まれた赤い鳥の紋章は、ルクスとピリカがエリスのためにと作った特別製の証である。この魔道具には個人専用化(ロック)がかけられているため、エリス以外には用途不明の袋もどきにしかならない。

 一般的に魔法の鞄(マジックバッグ)の容量というものは作成者の技量によって大部分が決定されるという。作成した本人(ルクスとピリカ)は、それに加えて使用者であるエリスの魔力もいくらか使用しているためこのような大容量になったと言っている。エリスとしては、自身の魔力を使わなくても容量的にはさほど違いはないのではないかと思っているのだが。


「なるほど、魔法の鞄(マジックバッグ)持ちとは。父が見たら商人として羨ましがるでしょうね」

「入口が狭いからあまり大きなものは入らないけどね。……そういえばアリシアのお父さんは見てないね。お仕事中なの?」

「……まあ仕事と言われるとある意味ではそうですね。きっとまだ学院の中で貴族の方とお話ししているのではないかしら」


 アリシアは溜息をつきながら言った。どうやら彼女の父親は積極的な人物らしい。このスコット商会のトップでもあるし、商人としては有能そうな人物である。しかしアリシアを放ったままなのは父親としてどうなのだろうか。アリシアの苦悩が窺える。


「……えっと、大変だね? まあこれからもこのお店を使うと思うから、いつか会うこともあるのかな」

「そのときはわたしに声をおかけくださいな。父の魔の手からエリスを守ってみせますわ……!」

「あはは、ありがとうね」




 スコット商会は貴族相手にも商売をしているからか質と品揃えが良く、エリスがルクスたちと王都を見ながら買おうとしていたものは全て揃ってしまった。王都は何度か来たことがあるから観光するほどではないし、どうしようか思っていたのだが、ルクスを見ると何やら考えがあるようだった。


「ルクス、ここからどうするの?」

「グレースに会いにいくよ。金月の間に行かなかったから拗ねてるってヘイルが言ってたからね。……ああ、でも先にハンターギルドに寄ろう」

「ならそろそろ出よう。ヒューバートはアリシア嬢と話し始めたようだし」


 エリスがちらりとアリシアを見れば、確かにヒューバートと会話が弾んでいるようだ。最後にアリシアとヒューバートに別れを告げ、エリスたち一行はスコット商会を後にした。

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