表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

まりか、りじぇねれいと!

悪魔の黄色い粉

作者: めらめら

「ぶぇくしゅっ! ぶぇくしゅっ! どういうことですかぁゆぅいぃー」

 放課後の教室だ。聖痕十文字学園中等部二年、炎浄院(えんじょういん)エナが目を真っ赤にしてティッシュで鼻をかみながら苦悶の呻きを漏らしている。

 春爛漫のここ数日、どういうわけだか急に目がゴロゴロして痒くて堪らず、クシャミと鼻水が止まらないのである。

 去年までこんなこと無かったのに! これでは、次世代ラーメンの開発も儘ならないではないか。


「うぐぐぐぐ……どうしようコータくん……」

 花粉なんて『お化け』と一緒で、信じていなければ全く怖くない……

 これまでそう信じていたエナがツインテールを震わせながら、やり場のない悔しさを必死で訴えるも、


「シッ! シッ! こっち来んなエナ!」

 花粉症は伝染(うつ)ると固く信じ込んでいるクラスメートの時城(ときしろ)コータが、彼にすがるエナを邪険に追い払う。


「そんな~コータくん……」

 涙目のエナに追い打ちをかけるように、


「ほれほれエナちゃん、はやくお掃除手伝ってよー」

 同じくクラスメートの冥条琉詩葉(めいじょうるしは)が燃え立つ紅髪を弾ませて、意地悪く笑いながらエナに近づいてきた。今日は掃除当番なのだ。

 ぽふぽふ……琉詩葉が手元で振ったハタキからモワーンと埃が散って辺りを舞うと……


「べくしっ! べくしっ! べくしっ! くきー! やめなさい冥条さん!」

 弱りめのエナの目と鼻を刺激して、彼女に更なるダメージを与えた。


「どーした? どーしたよエナちゃん? 『自己管理』が出来てないんじゃないのー?」

 普段は風紀委員のエナから遅刻や寝坊を、『自己管理』の出来て無さを散々責め立てられている琉詩葉が、ここぞとばかりにハタキをポフポフ。


「うぐうう琉詩葉! 殺す~!」

 花粉にやられて普段の元気もどこへやら。琉詩葉にいいようにされるエナだったが……!


「くしゅん! くしゅん! ……あえ? あたしも……? うそ!」

 埃を吸いこんで、大きなクシャミをした琉詩葉が、驚きと恐怖に目を見開いた。

 ぎらん! エナが燃える目で琉詩葉を睨んだ。

 がきっ! エナは琉詩葉の喉首を引っ掴み、彼女からハタキをもぎ取ると琉詩葉の顔に押し当てると、


「やってくれたわね冥条さん!」

 モワーン……琉詩葉の眼前で舞い散る埃に、


「どひー! ごめんなさいエナちゃん! べくしっ! べくしっ!」

 チョーシこいていた琉詩葉が、エナに泣きながら詫びを入れる。


「あー……琉詩葉、エナ、俺、先に帰るから……」

 急速に険悪になってきた状況に、逃げ出そうとするコータだったが、


「あなたも、そこで待ってなさい!」

 右手で琉詩葉を絞めあげながら、涙と鼻水をダラダラ垂らしたエナが憤怒の形相でコータに叫んだ。


「ひ、ひいぃ!」

 コータは我が身を竦ませた。


  #


「ふー。スッキリした!」

 それから三時間。ハタキ片手のエナは己がダメージも顧みず、琉詩葉が涙と鼻水を枯らして脱水症状で昏倒するまで彼女を責め立てた後、教室の片隅でブルブル震えてヘタリこんでいる時城コータを、真っ赤に燃える目で見下ろした。

 エナは穏やかな笑顔でコータに言った。


「おまたせコータくん……! さ、今日はどんなラーメンが食べたいぃ?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] やっぱり最後はラーメンなのですね。エナさん、鬼すぎ!(笑) 今年も花粉症の季節がやってきてしまいましたよね。周囲が辛そうにしているのを見ると、花粉症を発症しない画期的な発明でもなされないも…
2019/03/18 22:16 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ