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宴の余興

人外諸種族


広義においては人族と起源を基にするのか不明だが人族と違った容姿生態系を持つ知的生命を意味する。有名所で言えば神に連なる古き種族である【竜族】【巨人族】、獣のような容姿を持つ【獣人】、神々の眷族を起源に持つ【妖精族】【鬼族】。変り種で言えば知性持つ獣である【魔獣系諸種族】集団知性を持つ【蟻人間】人族の派生種族である【亜人】等等多種多様である。

起源などを見ても神々の眷族として連れてこられたものやら、神々を祖とするもの、自らいた世界からの移住者(これは一部の人族にも当てはまる)、この世界で育まれた種族もあり彼等の起源を記した神話などを見てみるのも面白い。

ちなみにこの表現は人族から見たものであるので当の種族からすれば大雑把過ぎると不評であるのはよくある話であろう。人族側の方でも人外諸種族から大雑把に人族と一括りにされると不満を表すことがあるのでお互い様としかいえない。


狭義においての人外となると様々な種族の混血を表し、彼等の事を特に【混血系人外族】と称することもある。彼等はその出自が一人一人違う故に一人一種族とも言える状態の者が多く容姿能力等々は千差万別である。この混血種族が多く見られるのは【狭間の国】の【人外公領】領都【少なき種族の隠れ里】であり、この領域を治める【人外公】は百の種族の流れを汲むとさえ言われる程怪異な容貌をしている。

よく見かける混血系人外族としては人族を基点として【獣人族】や【妖精族】、【鬼族】等の比較的人族と接点が多い種族との混血である。彼等の多くは【狭間の国】の王都や主要都市に居を構えて人族と変わらぬ生計を営んでいることが多い。彼等は【~系人族】等と混ざっている種族の流れを汲む人族として自らを表しているがあくまでも自称であり、様々な血を(微量ながら)受け継いでいるのが普通である。



【知的種族図鑑】人族以外の種族の定義より抜粋。

「ぶははははははっ!なかなかよい飲みっぷりではないか、霜の!」

「ふっ!樽で飲んでこそ巨人や竜の飲み方ではないか!ほれ、返杯だ氷の。」


【族長達の会議場】は宴の場となっている。でかい系である巨人や竜は樽で飲んでいるし、極北の民も杯が大きい。流石に客人である人日卿や勇者(笑)の杯は自らの酒量に合わせた慎ましいサイズなのであるが・・・・・・・・


「聖徒の料理人よ、こっちにもたのまぁ!」

「おいっ!氷狼の、割り込むでない!」

「はいはい、お二方順番ですよ順番にしますから!っと、おまちっ!」

「ほほぅ、これは旨そうだ。ちゃんとネギを抜いてあるだろうな?」

「それは大丈夫ですよ。」

「こっちはネギ増し増しで。」

「苔桃の旦那はネギ増しだね。」

「違う!ネギ増し増しだ!」

「はいはいっ。」


どさっ!小僧っ子はネギネギ言っている苔桃の族長のためにネギの刻んだものを乗っけたクレープを作るのであった。

「よく、そんなにネギくさくなるまでおいたものが食えるな。」

ネギが嫌いらしい氷狼族の長は漂ってくるネギの匂いから顔を背けながら先に作ってもらったクレープ(クリームチーズに酢の実のジャム)をぱくつきながら壷から直飲みしているのであった。


孤児っ子達や死霊っ子達も交代で菓子を振舞っている。こちらは随行の女性陣や子供衆に人気である。とはいえ、これを酒のつまみにするのもいるわけで。

「そこの赤髪の孤児よ、一盛りこっちによこすがよい。甘いものと一緒に酒を飲むのも悪くない。」

「族長さんよ、そりゃかまわないですが後ろからあんたの連れが狙っているぞ。」

「一つ二つくらいは度量というものだ。少し盛りを強くしてくれ。」

「あいよっ!」


山盛りの菓子を抱えて宴の輪に戻る族長某、その後ろをついてくる子供衆。いくら育ちがよい子供とはいえ旨そうな菓子を前にして我慢できるだろうか?

案の定菓子を置いて族長が一つ摘んだ所で子供達が群がってきて・・・・・・・


からーんっ!


次は子供衆の一人にもってこさせることになった。一つ食べて次と思ったら器が空になっているのを見て唖然とする族長某である。ちょうど良い位置につまめるものがあったからと他の族長連中も抓んでいたせいもあるのだが・・・・・・・・・


勇者(笑)も人日卿と共に適当なつまみを貰い宴の輪の中に入る。極北の宴というのは料理の屋台みたいなのがいくつかあってそれを適当にとって適当に輪を作って騒ぐのかと彼等は思っているのだがそれは違う。元々はせいぜい牛の丸焼きに其々の氏族や種族が持ち寄った土産代わりのつまみをどさっと置いてといった物なのであるが、【狭間の国】は【酒盛市場】で屋台料理を購ってから飲むのを覚えていた極北戦士達が故郷で再現し始めたのがつい最近のことなのである。おかげで物資や人員の必要量が増えたりするのだが、それが良い宣伝となって交流が増えたりしているので良い流れなのだろう。

孤児っ子達を連れてきたのは予めその事を聞いていた勇者(笑)が肴持ち寄りの宴に自分らも用意するのは当然なのだろうなと手近なところで間に合わせただけなのである。極北の族長連中も珍しい物を見たいと言っていたのもあるが。人日卿は勇者(笑)に乗っかって酒を数樽用意しただけなのだが。

孤児っ子も死霊っ子も交代で其々の氏族自慢の一品を貰ったり他の氏族の子達と遊んだり、楽しんでいるようだ。その光景を眺めながら孤児院の女先生他の氏族の女衆と共に茶を喫している。


「父上、今日友となった【西の凍らず】の孤児・虎鯖です。」

「息子の友か、今日は楽しんでいくが良い。」

「はいっ!族長様。」

「なかなかに賢しい顔つきではないか、街で菓子売りをしているのはお前か?」

「どっちかと言うと作るほうが主体なのですが、かわいい女の子主体のほうが売れるからと言われまして。」

「うむ、そうか。その生業に励むが良いぞ。お前の双肩に弟妹分の生計がかかっているのだろう?」

「それは勿論です。」

「息子よ、これが守るものを知っている男の顔だ。生業が卑しいと馬鹿にすることなく敬意をもって付き合うのだぞ。」

「はいっ!父上。」

「そんな大した者ではないのだけど・・・・・」

「いや、誰かを養おうと抗うものはすべて敬意に値するものだ。例え路傍の物乞いであれ子を養わんと尽力する親は敬意に値するものだ。そして我ら上に立つ者は彼等のような敬意に値する者が馬鹿を見ないように差配するのが第二の役割である。」

「第一のは?」

「決まっておろう。民を生かすことだ。」


「お菓子どうぞ。」

「あらあら、かわいらしいお菓子ですこと。これが最近流行の【死霊の菓子】なんですの?」

「うんっ!じゃなかった、はい。死霊のおにーちゃん達が作った菓子だよ。市場で売っているのと一緒なの。」

「一つ貰うわね・・・・・・・・・・・・甘くて美味しいわね。しかも【始まりの大麦】?」

「よくわかったね。あたしも作るところ見るまでわからなかった。」

「あの美味しくないと言われるものがこんな形になるなんて・・・・・・・・・・」

「神官さんがね、この麦を煎ったのをお茶にすると美味しいと作ってくれたよ。」

「おや、まぁ?それはあるの?」

「あっちのなべで沸かしてるよ。」

「そっちもいただきましょうかね。」


「おらっ!ちび共西の果てにある雪韮の土地で取れた馴鹿の塩漬けだ!おもいきりたべてみろ!」

「うんっ!おじちゃんありがとう!」

「そうだ、もっと大きな口をあけて豪快にかぶりつけ!」

「んががががっ!」

「あんた、子供をからかわないの。おちびちゃんも馬鹿をしないの。」


宴の光景はいろいろあって楽しげに行われている。

「なぁ、熊の人。ここは宴会場予定地じゃなかったか?どう見ても宴会場なのだが。」

「熊の人って表現は面白いなと思うが異界の若者よ、そこに突っ込みを入れるのはどうかと思うぞ。」

「大丈夫だ、これは来るべき幸いの時に行われる宴会の予行だ!」

「それは違うと思うけど・・・・・・・・」

「そんな細かいことはおいといて、飲めっ!そんな小さな器で大丈夫か?」

「大丈夫だ、問題ない!って、大きな器だと返杯が追いつかないだろう。」

「人族の風習か、最初の一杯だけ乾杯して後は個人の酒量に任せればよいものを。」


「極北の酒は強いな。」

「はははっ!聖徒の騎士様は弱い酒しか知らないと見える。醸造した酒を凍らせておくと凍らぬ部分ができるのだ、その凍らぬ部分だけを集めて寝かせた酒よ。まるで胃の腑が氷の剣で突かれた様に効くから【氷剣酒】等といわれるのだ。極北だけで作られる名物よ。さぁ、杯を空けて・・・・・・・・・」

「うむ、これはガツンと効くな。と言いながらお主も杯が空ではないか!」


勇者(笑)は白熊系獣人やら竜族と杯を交し合い、人日卿は【氷剣酒】に驚いている。

宴も進んでいくと飲み比べだの力比べだの始まりそれを肴にさらに盛り上がる。


「ほらっ!孤児っ子!負けんじゃねえぞ!」

「そこだっ!苔桃っ子の意地を見せやがれ!」

「ぐぬぬ・・・」

「むむむ・・・・」

こてっ!

「勝者苔桃っ子!」

「ふっ!街の子に負けられるかってんだ!」

「ちくしょう!」

「ほらほら、雪ノ下の払うものを払ってもらおうか?」

「ちっ!」


「さぁ、今度はどっちが勝つかな?一人銅貨一枚だ。聖徒の死霊っ子と巨人族のだ!」

「流石にそれは勝負にならんだろ。」

「はははっ!うちの子をなめるなよ。銀貨一枚払っておこう。」

「神官さん太っ腹だ!相手に賭けるのはいないか?」

「わしゃ巨人に賭けよう。」「おれもだ!」「確実なところだと巨人だろ」

「さぁ、大穴は死霊っ子だ。割合は死霊っ子5で巨人は2だ!他に賭けるのいないかね?」


「あははははっ!巨人のおじちゃん捕まえられるかな?」

「ちょこまかと小うるさいガキめ!」

「ほらほら・・・・・・・・・・・・僕際にいるんだよ押し出すの簡単でしょ?」

「ふんぬっ!」



逃げる死霊っ子と捕まえようとしている巨人、力比べではなくて追いかけっこになっている。


ぶるんっ!


巨人の腕が死霊っ子に伸びる。

「あまいねっ!」

死霊っ子は巨人の腕をかいくぐり背後に回ると後ろから押す。普通ならば押されて体制を崩すのだがちびの死霊っ子と巨人では体格差がありすぎる。押したところで意味がなかったのである。

「甘いのはちびすけお前だろ。」

と押された場所に力を加えて死霊っ子を弾き飛ばそうとする。そこをすかさず逃げて難を逃れるのだが、巨人も宴で酒が入っているのか後ろに力を入れた拍子に足をもつれさせて・・・・・・・・・・・・・・


ずとんっ!


尻餅をついてしまう。

「勝者、死霊っ子!」

「なんだって!」「畜生!」「巨人!おまえなにやっているんだよ!」

「よしよしっ!よくやったぞ!」

悲喜交々の声が交差するなか

「巨人のおじちゃんの敗因は酒を飲みすぎていることだよ。」

といっちょ前に生意気な勝利宣言をしているのであった。


「次はわれが出よう。」

「じゃあ、ぼくがでていい?」

死霊っ子(聖徒産)が交代して上がっていく、相手はいつぞやの【神討ち】に挑戦状をたたきつけた武人。

「おじちゃんよろしくね。」

「はははっ!ちびだからって手加減はせぬぞ。」


「さぁ、今度はどっちに賭ける?」

掛け金受付中。


「さぁ、両者用意はいいか?はじめっ!」

「おじちゃん正面から行くね!」

「どんとこいっ!ちびに一撃くらい受け止められなくてどうする!」

「じゃあいくねぇ。」


どびゅんっ!


いきなり勢いつけて飛び込んできた死霊っ子につい反射的によけてしまう武人。勢いあまって場外まで飛び出して勝負を肴に樽を空けていた竜族の代表に思い切りぶつかる。

「ぶはっ!」

胸板に思い切り衝撃を受けた竜族の代表は酒をむせてうずくまる。

どんだけ勢い付けていたのやら。


「えっと、死霊っ子は場外で勝者武人。」

いきなりついた勝敗に唖然としながらも結果を述べる賭けの胴元兼審判。竜族から顔を上げた死霊っ子が

「おじちゃんひどいよ!普通受け止めるといったからにはちゃんと受け止めてよ!」

「いやいやいやいや、竜がうずくまるほどの攻撃、受けられるわけないだろう!それに言葉も立派な武器だ。会話から勝負は始まっているんだぞ!」

「汚い!大人汚い!」

死霊っ子が武人に文句つけるも勝負は返らない。しぶしぶ勇者(笑)の元に行って愚痴っているのである。


「【神討ち麺棒】の死霊っ子よ。勝負だ!」

次の勝負は【神討ち】の死霊っ子の番である。

さて、酒が切れたのでこれまで。

仕事の休みいつ取れるのだろう?今日も今日とて仕事だし・・・・・・・・・

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