族長達の会議場
族長達の会議場
極北の政都、【西の凍らず】より北方、馬車で一日程度の距離にある草原。
そこには極北神が星を落として設えたとも異界より持ち込んだとも言われる石舞台がある。
ここで人族の族長のみならず、いくつかある狼系獣人、熊系獣人、海豹系獣人、氷竜族、鍛冶小人族等々の人外種族等の代表も集いそれぞれの利益の調整を図る。これらを総称して【極北の民】とするのだが、狭義の人族のみを【極北の民】とするのが主流となっている。
正式名称を【雄々しき昼の神である極北神と優しき夜の女神である極光神を始めとする極北諸神群の神々に愛されし英傑と諸賢の子孫達が語らい幸いの道を見つけるための会議場にして、事を成し終えた後に神々も人も共に幸いを讃え喜び合う宴会場予定地】となっているのだが、この正式名称を覚えているものは余程の物好きか神職以外にいない。
極北式合議制の概略より抜粋
がたごとがたごと・・・・・・・・・・
幌も屋根もない馬車・・・・・・・・・・・荷車と言った方が良いのかもしれないが【西の凍らず】の孤児っ子達や死霊っ子達が積み込まれている。勿論奴隷商売の為に積み込まれているわけではないのだから念のため。
「にいさん、今度は俺たちにどんな厄介ごとを持ち込んだのさ?」
「赤薊、人聞きの悪い事を言うな。俺が勇者の務めを果たすなんて面倒事をしない者であることを証明するために【族長達の会議場(略称)】に向かうのだが族長連中が【死霊の菓子】と【神討ちの死霊っ子】を見たいと言ってきてな。まぁ、飯と日当は払うからおとなしくついて来い。」
「まぁ、チビ共は初めての町の外ではしゃいでいるから良いけどよ、大丈夫なんかい?色々やらかした後だしよ。」
「そこはそこ、一応俺は聖徒王国の外交使節の一員扱いだし。」
「そのわりにゃ、色々問題行動しているよね。」
「死霊っ子、おまえに言われたくない。」
親の背を見て子は育つ・・・・・・勇者(笑)君にはそんな言葉を送ろう。
「送るな!しかもおれの子じゃないし!」
「なんか神官のにーちゃ、うちのかーちゃにたいしてしらないおじちゃがいったことばみたい。」
「ぐはっ!」
その発言はさすがに子供にさせるべきではないね。孤児院育ちでそんな言葉と接する機会が多いからなのか少々教育について考えてしまう勇者(笑)なのであった。
後、大事な事なので言うが勇者(笑)地の文に(略)
そんなこんなで【族長達の会議場】に到着する。
移動の間に人日卿から釘を刺されていたのは笑い話としておこう。勇者(笑)もこの世界の在り方に慣れてそれほど騒動を起こさなくなっているのだが周りが・・・・・・
【族長達の会議場】には多くの人人人・・・・・・・・・そして少数の獣人やら竜やら・・・・・・・・
初めて見る人外種族に目を輝かせるのが異世界人、少々怯えを残して誰かの陰に隠れるのが聖徒の死霊っ子達。物珍しげに会議場を眺めるのが極北っ子達。人日卿は好奇心やら差別心を出すのは無礼であると硬い表情を崩さない。小僧っ子もきょろきょろとするのだが狼頭の獣人ににらまれてしゃんとする。
そんな中で
「オオカミの頭とかしているけど普通なんだな。」
と勇者(笑)が言う。それを聞いた狼頭の獣人は
「何を以て普通なのか良く判らないけど、人族と種族間抗争をするのは大昔の事だ異世界人。」
と返す。
「ふむ、極北の者よ。異世界人を連れてきた。こいつに争いの意思がないのは一目でわかろう、我等も争いの意思を持たぬのを彼を連れてきたことで認めてもらいたい。」
「先走るでない人族大陸の騎士よ。あまり先走っていると早いのねと馬鹿にされるぞ。」
どうしてそっちに走るのだろうかが良く判らないが白い鱗をした竜がのんびりとかえす。
勇者(笑)一行の到着し軽口を交わされているのを見た、進行役の極北戦士は
「では、【雄々しき昼の神である極北神と優しき夜の女神である極光神を始めとする極北諸神群の神々に愛されし英傑と諸賢の子孫達が語らい幸いの道を見つけるための会議場にして、事を成し終えた後に神々も人も共に幸いを讃え喜び合う宴会場予定地】における族長会議を開催しよう。此度は『新たな異世界人が世界の脅威となるか否か』を見定めたいと思う。其処の異世界人である【菓子作る神官】殿なにかいうことあるか?」
「俺が戦争起こして世界の王になったって統治するのが面倒なのに(笑)」
「まぁ、そうだな。したがえる民が多くても面倒くさい。わしもそろそろ隠居して甥にでも押し付けたいのだが・・・・・・・・・お前自身が望むものはあるのか?」
「のんびりと自堕落な暮らししたいなとかかわいい嫁さん持ちたいなとか・・・・」
「可愛い嫁なんて幻想だ。妻帯すればわかるぞ。」
「そうそう、結婚前は可愛いのだがした後だと・・・・・・・・・・・・でぶでぶに太るは強気で攻めてくるは・・・・・・・・俺族長なのに・・・・・」
「【箒草の原】のに【苔桃の茂】の・・・・・・・・・その発言は・・・・・・・・・・」
「どうしたのだ?【雪像竜】の」
「後ろを見れば・・・・・・・・・」
「うしろとは?・・・・・・・・・・・・・うわぁ!」
箒草と苔桃の長粛清中
極北の民は伝統的に連れ合いに弱い。と言うか女性の方が強いともいうのだが・・・・・・・
二人の長がそれぞれの連れ合いに叩きのめされてから転がされている。
あまりに刺激の強い状態なので死霊っ子(聖徒産)が【幻影】の術式で長たちをにモザイクをかける。
「馬鹿が・・・・・・・・・」
「連れ合いの事を馬鹿にするなんてなんて命知らずが・・・・・・・・・・」
「いないところで言えばよい物を。」
「なんと惨い」
口々に犠牲者を案じるような発言をするも背後やら横に控えている連れ合いの視線が怖くてやりすぎとかは言えない。多くの者をまとめ導く長と言う者は臆病なくらいに警戒しておくのが良い事なのである。例外なのは連れ合いを連れてきてない獣人や亜人、竜等の人外たちである。
勇者(笑)も犠牲となった長二人に黙祷をして話を続けてもらう。
その結果、勇者(笑)の言い分は認められ。朋と成りうる者として受け入れられるのである。
その日は彼の弁明で終わり宴となる。勇者(笑)が持ち込んだ食材やら極北っ子(生死問わず)が作る菓子だのも振舞われ、族長達が持ち込んだ肉やら酒やらで何とも楽しい物となったのである。
その席で
「おれー、最初に出会う人外は猫耳の可愛い娘っ子とか長耳のおねーさんを予想していたのに何でおっさんばかりなんだろ。」
「異世界人それはお互い様だと思うぞ。我だって庇護欲をそそるような女の子が希望だったんだから、そうして我との甘々な恋物語を・・・・・・・・」
「何似たり寄ったりなことを申して居るのだ?まぁ、獣人系の面々は初花の季節は抜け毛の時期なんでな、あまり出歩きたくないというのと、我ら竜族はこの体躯だし大勢で来ても威圧にしかならんし長老は惰眠をむさぼるために我に代表押し付けるくらいの面倒くさがりだからな。まぁ、縄張りだけを守れれば問題ないし。」
「雪像のぶっちゃけが過ぎるぞ。」
「なに、氷狼の客人とて弁えておられるだろ。それに極北では常識の範囲だ問題なかろう。」
「なるほど、【西の凍らず】に人外がいないわけだ。」
「ぶっちゃけ、極北の民系の人族と人族連合の人族とは微妙に種と言うか来歴が違うのだがな。」
「勇者(笑)、この事は話すなよ。種類だのが違うなんて話をしたら人属特権主義者が煩い。」
「わかってますよ、戦争起こすつもりはないのだし。見た目でそうなんだとは感じたけどね。極北の民はでかいし・・・・・・・・話をする時には見上げないとならんから首が痛い。」
「ぶははははっ!おぬしが小さいのが悪い。」
「これでも平均サイズなんですけどね。」
宴は和やかに進む。
短いけど眠気に襲われたので終わる。




