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馬鹿な子供ほどかわいいと誰かは言い

弔い銭


死者を弔うために遺族が弔い手に支払う金。通常最低の処置で銀貨1枚、ある程度裕福な家庭だとそこに色々付け加えて派手にするのである。

死霊っ子達の屋台は盛況を極めている。


何せ死霊と言えば酔っ払いだけしかいない極北は【西の凍らず】で真っ当に身を立てんと努力する姿に心打たれぬ者があるだろうか?いや、ない!

そこまでは言い過ぎであるが、美味なる異国の菓子(正確には異世界の菓子)に健気な売り子達、更には極光神様のご加護とお墨付きのある菓子は極光神様の信仰者達を中心に売れているのである。


「はいはーい、銅貨10枚ね。こっちおまけしておくから、食べてみて。」

「おじちゃんこっちの樺の樹液味好きだったでしょ、もう少し待てばできるから。」

「おさげちゃん、そっちの山は後で孤児院に差し入れ分だから、おいといて・・・・・・・・・」


競合する店が少ないのが幸いであると当地の商業組合の理事はのちに語っている。



「なぁ、花韮氏族の雪ノ下の娘じゃねぇか!」

「雪ノ下は母ちゃんの名前だけど?おじちゃんは?」

「間柄と言えば従妹叔父だからおじちゃんで構わないけど俺はまだ二十そこそこだぞ・・・・・・・・・・・・って、それはさて置き、お前等一家は一昨年に火事で亡くなったろう何でまださまよっているんだ?」

「うーんとね、父ちゃんも母ちゃんもみんな火事で死んだんだけどそのまま【眠りの園】に投げ込まれて弔われなくって・・・・・・・・・・・・・近所の家もいっぱい焼けて忘れられたんだろうね。」

「あの大火じゃ仕方ないのかもしれないが今からでも俺が弔い銭出しておこうか?」

「おじちゃん、自分で稼ぐことを決めたから。それに今あたしひとり送り出されてもここにいる子達の面倒をだれが見てくれるか心配だしね。」

「うんうん、お前は花韮の娘だな。でも、お前がちゃんと逝けるか心配だ、その辺は大丈夫なのか?」

「そかそか、後でお前の後見の神官様に挨拶したいからどこにいるのか教えてくれないか?」

「それなら・・・・・・・・・・・」


「坊や!」

「か、母ちゃん!」

「あんたって子はまだほっつき歩いていたんかい?」

「あははははっ!ごめんっ!でも、こいつら捨てていけなくてさ・・・・・・・・・・・」

「馬鹿だ馬鹿だと思っていたけど本当に馬鹿な子だよ・・・・・・・・・・・」

「バカバカ言うなよ!それよりもこの菓子食べてくれよ、オレが作ったんだぜ。」

「それ売り物でしょうが!ホイホイ身内だからって渡すんじゃありません!」

がつんっ!

「いてぇ!なんだよいてえじゃなえか!」

「坊やよく聞きなさい売り子と言う物は・・・・・・・・・・・・・」

死霊少年(先月病没)は母親に商売における商品の大切さについて説教を食らうのであった。その後、母親は菓子をいくつか買い込んで家路につくのであるのだが、死霊少年に冥界に行くときには教えろときつく言い渡すのであった。



「神官の兄ちゃん、金貸してくれ!」

「なんだいきなり?」

「そこの孤児院の女先生が風邪で倒れて孤児院がしっちゃかめっちゃかなんだ。取り敢えず先生を癒し手に診せる金とちび共に食わせる食費が必要なんだよ!」

「でも、それは取り扱う国とか神殿の仕事だろう?」

「戦士団と神殿には言ってないや。」

「馬鹿だろお前、取り敢えず極光神殿と戦士団の詰所に行って説明してこい。ついでにそこで腹へらかしているガキ共をこっちに連れて来い。お前の稼ぎから飯食わせてやるから。」

「にーちゃん、恩に着る!」

孤児のちびに菓子をくれてやった死霊っ子は慌てて駆け出して行った。

「死霊っ子、悪いけど療養神殿に行って孤児院への往診を頼んできてくれ。取り敢えず俺が立て替えるからって言っていいから。」

「わかったおにーちゃん!帰りに孤児院の子達をこっちに連れてくればいい?」

「こっちよりも宿の方がいいだろ。そこのおさげちゃん、宿に籠持っていくとき女将さんに孤児院の子達の食事を用意するよう注文しておいてくれ。」

「いいよぉ。」

「おにーちゃん、孤児院の面倒見てくれる人だれかいるのかな?」

「おう、お前ら。孤児院の心配は良いけど客のこと忘れてないか?」

「ああっ!すいませんすいません・・・・・・・・・」


孤児院の女先生は流行風邪でしばらく静養すれば問題ないと癒し手から返答を貰い、一先ず胸をなでおろす死霊っ子達であった。孤児達にも多少その兆候を見られている子がいたので薬を用意してもらい治療してもらっている。これで銀貨3枚。

宿に食事を用意してもらって夜と次の日の朝食べてもらう。これで銀貨2枚。

流石に勇者(笑)も死霊っ子に押し付けるつもりはないのだが

「神官のにーちゃん、助かった。かかった費用は俺が稼ぐから貸にしといてくれねぇ?」

「はいはい、馬鹿な事言わんでいいから。さっさと冥界逝け。」

「でも、でもよぅ・・・・・・・・・」

「はいはい、だったら。今日の仕事で返してみろ。お前等の分の弔い銭溜まってきているしな。」

「わかった!」




その日も盛況でありました。


その日は助っ人が参戦して生産体制が増強されているのである。その助っ人は孤児院のちび共である。

基本不自由はあっても独り立ちできるように周りが気を配ってくれるのであるが、女先生をはじめとする少数の頑張りで成り立っている孤児院。一人潰れただけで大変な状況に陥っているところを助けてもらったのである。美味しい物を食べさせてもらって先生には【西の凍らず】有数の名医を手配してもらって当たり前の事だと思わないくらいには子供達の境遇は楽な物ではなく、乞食根性に冒されていない。勇者(笑)は礼の言葉の一つも聞ければそれでよいと思っているのだが本人達は恩返しするんだと手伝いを申し出えるのである。もっとも、彼の側にいれば下働きの者であっても美味しい物を与えられるのではないかと言う打算も多少はあるのだが、そこはしっかりとした子供だと笑っておけばよい物である。


「しりょうのにーちゃ、このくらいでいい?」

「うん、だまになっていないしこれを器に注いでおけばいいよ。そっちの器担当の子は器に油をちゃんと塗れているか?」

「できてるよー。」

「そっちの蒸し器はお湯が沸いているな?」

「いつでもばっちこーい!」

「よし、準備出来次第どんどん蒸しあげるぞ!」

「「「おおっ!」」」

その間に・・・・・・・・色々仕込んで、ついでに宿の夕食の仕込みも・・・・・・・・慣れと言う物は面白い物である。

やるといき込んで進めれば多少の無茶な状況も慣れてくる。未だぎこちない手つきではあるのだが事を進めていくのである。


そんな合間に勇者(笑)は小僧っ子と共に極光神殿に奉納する菓子を作成するのである。

その菓子を狙う不埒な手が・・・・・・・・・



がつんっ!


孤児達の作業を監督していた菓子振舞う死霊っ子が麺棒片手にその不埒者の頭を叩きのめしているのである。


確かな手ごたえを感じて正体を確かめてみると・・・・・・・・・


つまみ食いをしようとしていた極北神であった。

眠気が辛いので今日はこれまで・・・・・・・・・

現場が終わるので引継ぎと後進の育成に費やしているのがとても面倒くさい。

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