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西の凍らず

極北民族における髭の在り方


極北の民は鬚を男らしさの象徴として非常に重要視する。

その髭の手入れには非常に気を使い、髭の手入れができていないのはだらしないと馬鹿にされることもある。

元々鬚の濃い民族である極北の民は伸ばしたり刈り込んだりした髭をそれぞれの美意識に合わせて手入れをする。

ある者は編みこんでみたり、またある者は絹糸の滑らかさを表そうと香油を塗りこんだり、またある者は蛮勇こそは男らしさと適度に洗うだけで伸ばし放題にしたり・・・・・・・・

まれに鬚をそる者もいるけどそれは変わり者として扱われる。


髭の薄いものはある意味肩身が狭いが男性的魅力に欠ける以外の不利益を得ることはない。女性のうちには鬚のない男性を魅力として感じる者もいるので・・・・・・



以下髭の手入れ法について詳しく書かれている。


【鬚男子】より抜粋。

大きい


それは勇者(笑)が白き大地に訪れた時の感想である。

広い大地に大きな建物、そして港で出迎える者も大きい。


この地に一歩踏み入れた時に自分の小ささを自覚させられる、もちろん物理的な意味で。

勇者(笑)は約170センチ位(地球ヤマト系諸異世界の単位系換算)で極北の民の平均身長が200センチ。頭一つ分大きい計算となる。


「おっきーね。」「髭のおじちゃんたちだけが大きいと思っていたよ。」

「何食べれば大きくなるんだろうね。」

「おいら巨人の国に紛れ込んだんか?」

「はははっ!ようこそ極北の地へオチビさん達。白い大地は小さかろうと客人はもてなすぞ。」

「茨髭のおじちゃん、なんでみんな大きいの?」

「・・・・・・・・・・・・・・昔から俺たちはこの大きさだ、なんでお前らが小さいのか聞きたいぞ。後、おじちゃん言うな!俺はそこの【菓子作る神官】と同じくらいの年だ!」

「「「ええっー!!」」」

「おいっ!そこ驚くところか?まだ18なのに。」

「えっ!俺より年下?」

「見えないなぁ・・・・・にーちゃんよりも年下なんて」

「どうみても・・・・・・・・・・・・・」

「それをいったらしつれいじゃない。」


髭もじゃなせいで老けて見えるらしい。それ以外にも大柄な体つきからとか勇者(笑)が小柄で童顔であるせいというのもあるが。種族特性の差というのはいかんともしがたいものである。


その港には多くの者たちが出迎えに来ている。

人族連合との交易に携わっている者も多いだろうし、港人足や商人等がいても不思議ではない。

しかし、手に手に剣だの鎚だの斧だのを持っている完全武装の戦士達が屯しているのだろう。


「なぁ、白雪髭。どうして俺達に向って完全武装の戦士達が来るのだ?」

「うーむ、あれは御屋形様だ。神官さんのことを重要視しているのかな。なんだかんだ言っても世界を揺るがす戦の源だからな。」

「それは理解しているけど実感わかないんだよなぁ・・・・・・」


船の上からそんな馬鹿話をしている勇者(笑)に向かって陸の戦士の一人は蛮声を発する。


「そこの異世界人よ!生と死の境を砕きし事に我等は憂いを感じる。」

 

白髪の蓬髪を鉢金で後ろに流し、長柄の戦斧を手にした老戦士は勇者(笑)と死霊っ子達を睨みつけながら問いかける?

それに対して勇者(笑)は質問の意図を把握しきれず


「はぁ?」


としか言葉を発せられない?それに馬鹿にされたと感じた老戦士は


「とぼけるか?そこにいる幼子は何だというのだ?死霊共が溢れ返る現状をなんだというのだ?」

「・・・・・・・・・・・・・死霊っ子については俺の責任だ。こいつらに答えを与えてやらなければならない。『何故生け贄にならなければならなかったのか?』という答えなき問いに。死霊が溢れ返る?それはお前らの世界の責任だろう!俺に振るな!」


ぶおんっ!


戦斧が唸りを上げて振りはらわれる。

それに対して人日卿や荒野の民はそれぞれの獲物に手をかけ始める。

「汝がそれを言うか!道行く先々で死霊共を誑かし名声を得ている汝が!【死霊慰撫する菓子作る神官】よ!汝の行いに喚起されし死霊共が我等が白き大地に溢れ返っておる。なぜ【眠りの園】で酒盛りをしているのだ?普通【冥界】なり【祖霊の地】で再び大地に生まれ出でる時を待つのが正しいのではないのか?」


・・・・・・・・・・・・・・


勇者(笑)は返答に困っている。

「なぁ、爺さん。要は死霊共が酒盛りをしていて迷惑をしているといいたいのか?」

「そうだ!飲みのつけはこっちに回してくるし、婦女子に対して致命的な事はせぬが不埒なことをする。一緒になって若い連中もばか騒ぎをしている。昔話が長いこと長いこと・・・・・・・・・洒落にならないことまでバラしやがる。冥界神殿の連中が【御魂送り】をして回っているが間に合わない。これも汝が世界を変えていったせいだぞ!何とかしろ!」

戦斧を突き付けながら老戦士はまくしたてる。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっと、飢えて死んだり理不尽な死の連中は?」

「飢えていたのは食べて飲んだら大半は満足して旅立っていった。理不尽な死は若い戦士連中の訓練として解決にあたらせている。国内から汚職が摘発されて仕事に大忙しだ!その後に解決祝いだとか言って飲みまわっている。もちろん飢え死に連中も混ざって酷い事になっている。」

「えっと、死霊達が宴会しているから何とかしろと?」

「そうだ!」


勇者(笑)はつきつけられた戦斧を払いのけながら

「そんなのお前らの問題だろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

と軍用菓子(激硬)を叩きつけるのであった。


「ぐぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼっ!」


勇者(笑)の菓子投擲(つっこみ)で空高く舞い上がった老戦士はそのまま地面に向かうことになるのであった。


ぶげしっ!


「なぁ、俺は聞きたいんだがこの世界って碌でもない騒動に俺を巻き込む趣味でもあるのか?」


老戦士が沈黙したことでそれぞれの武具を構える戦士達。それに対してどうどうしていた茨髭は

「同胞よ、武具を納められよ!そもそもこの神官殿が居られなくてもあり得ることではないのか?汝らはいきなり武具を持ち出して恥じらいというものはないのか?」

「茨髭よ、異世界の勇者ともなれば一国をも落としうる危険物だぞ!戦士長のありさまを見よ!何の備えもなく相対することができようか?それに死霊を率いて町を落としたとも聞いておるぞ。死霊を従えて何かされたときお主に責が取れるのか?」

「そもそも戦士長が武具を突き付けて脅しかからねば大丈夫だろう!この神官殿には野心のかけらもない。神々をも殴る力を抑えておられるのだぞ!」

「【神殺し】等そんな恐ろしいものを!」


水掛け論が続く・・・・・・・・・・・・


戦士達の言い争いが激高し互いに武具を構えんとする時に頭をふらつかせながら立ち直った老戦士が

「見事な一撃であった。だが同じ一撃は喰らわんぞ。」

と戦斧を構える。


「あれって一撃?」

「100発以上入っていたけど。」

「そういう突っ込みはしちゃいけないよ死霊っ子達。」


「・・・・・・・・・・ええい!煩いわ!」


正確には256発叩き込まれています。

「地の文さん数えていたの?」

勇者(笑)地の文に(略)


双方の戦意が高まる中・・・・・・・仲裁の声が入る。



我が子供たちよ武具を納めよ!(by極北神)


空より光が降りて威厳ある低音が響きわたる。そこに在るのは毛皮の衣をまとった金色の鬚をもつ偉丈夫である。脇には白い狼と黒い鴉がつき従っている。


この者には我等が白き大地を犯す気はない。そうであろう、異界の者よ。(by極北神)


神の問いかけに勇者(笑)は

「何故に極北の地にまで来て戦をする必要がありましょう。」

と答える。


「しかし、我等が大いなる神よ、彼の者は世界を食らうほどの力を・・・・・・・・・・・」

我が忠実なる戦士よ、それは誰もが持ち得る物でただ異界の物に現れただけにすぎない。お主は相手が拳を持っているからと殴りかかると思っているのか?違うであろう、拳を持っていても殴ることはないということをお主は知っているはずだ。まずは言葉で・・・・・・・・・・・武を示すのはこの場にあらず(by極北神)


神の叱りにうなだれる老戦士。武具を納める極北戦士達・・・・・・・・・


失礼した、異界の若者よ。戦せぬ選択を選ぶ汝を我は歓迎しよう。(by極北神)

「極北の善き神よ、受け入れ感謝します。・・・・・・・・・・・・・・・って、【白の都】でお会いいたしましたね。盗賊神や処暑神等と共に・・・・・・・・・・・・」


あれば美味であったぞ。この地にいる間に捧げるがよい。(by極北神)

開き直りの上に請求までしている。【孤児屋台】の宣伝文に『神々もつまみ食いする』の一文が掲げることができるだろう。


さすがにそれは外聞が悪いんだが。(by厨房神)

そもそも下界に出て好き勝手するな自重しろ!(by節制神)


「なぁ、爺さん俺は問題ないと理解してくれたか?」

「ああ、神が直々に言葉をくだされたのだ。我等はそれを信ずるのみ。先の非礼は詫びよう。」

「こっちも菓子をぶつけて悪かった。馬車の中に酒が在るから共に飲まんか?」

「うむ、和解の杯か。受け入れよう。」

勇者(笑)と老戦士が和解するのであった。



遠くに響く宴席の騒ぎ声・・・・・・・・・・・どこの戦士と死霊が騒いでいるのだろうか?

この港にいる連中もその輪の中に混じるのである。





翌朝


あーさー(by太陽神)


和解の杯が、宴になって生者も死者も極北の民も異国の民も異世界人もごたまぜに騒ぎ、飲み比べとなったり馬鹿話となったり・・・・・・・・・・・・で


二日酔いの死屍累々・・・・・・・・・・・・・

死霊はもともと死んでいるか。見るに打ち上げられた魚のようである。


「あ~あ、のみすぎだよ。」

「おにーちゃんつよくないのにねー」

「早々に逃げていて正解だよ。」

「あんな飲み会に付き合っていたら体がいくつあっても足りない。」


飲み会から適度に逃げていた騎士様やら小僧っ子やら死霊っ子達が口々に言い合ってる。

そんな中


「どうも、療養神殿です。二日酔いの薬の配布に来ました。」


さて、酒が切れたのでこれまで。

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