船旅は優雅な物ではなく
竜鱗貨
竜の鱗を貨幣代わりにしたもの。大体の相場は竜鱗貨一枚で銀貨3~10枚程度(地域差あり)竜族の居留地では銀貨一枚位にしかならないが、竜族のいない地域だと更に価値が上がるのである。
貨幣としての価値よりも霊薬の材料、触媒としての価値が高く錬丹士や魔法具作成者達がこぞって求めるのである。
最近では竜鱗貨を利用した治療薬の需要が高くなっており、その確保に極北連合や西の諸島へと赴く商人が増加傾向にある。
【貨幣種別一覧】より
寒鱈の港に滞在する事半月あまり、これは一行の人数が増えているために船の確保が出来なかったせいであるが・・・・・・・・・旅立つ事となった勇者(笑)一行。
馴染みになった門番が人日卿を相手に出港の手続きをしたり、市場で麦酒を売っていた姐さんが道中の慰みにと麦酒を持ち込んでくれたり・・・・・・・・・・・
「白雪髭、注文の麦酒だよ。10樽なんて飲みすぎじゃないかい?」
「姐さんよ、ここにいるのが気合の入った極北の戦士達だ。3日程の航海だったら寧ろ足りないくらいだ。」
「あたしとしては売り上げになるんだから構わないんだけどね。銀貨10枚だよ。」
「わかった、それで姐さんはいくらだい?」
「あたしは高いよ。金貨で5枚からだねまけるつもりはないからね払えないだろ。」
「ちと高いな・・・・・・・・・・金貨で1枚ならば払えるが。」
「なんだって!なんていう酷い事をあたしに対する侮辱だわ!!金貨5枚は譲れない線だね。」
「業突く張りめ、国に来れば残り金貨4枚払おうじゃないか、それでどうだ?」
「残念ながらお断りだね。あたしは見える現金を信じる主義なんでねどこの誰とも知れない旅人の口約束なんてするつもりはないよ。」
「ちっ!そんな高値だとだれも買ってもらえないぞ。」
「ふんっ!あたしは安売りするつもりはないんでね、おあいにく様。」
極北戦士の白雪髭は自慢の白い髭をしごきながら・・・・・・・・
「金貨ならばないが竜鱗貨で良ければ20枚ほどあるが・・・・・・・・・・」
「今の竜鱗貨の売値が・・・・・・・・・銀貨7枚銅貨34枚だったから・・・・・・・・・・」
「姐さん姐さん、昨日換金に行ったとき銀貨6枚だったぞ。」
「ありがとね、赤鉢金。銀貨120枚だから金貨1枚ちょっと・・・・・・・・馬鹿にしているんかい白雪髭。あたしの価値をその程度だと馬鹿にしているんかい?」
「計算できたか・・・・・・・・・・・・赤鉢金も余計な事を・・・・・・・・」
なんかごちゃごちゃしているやり取りの合間に「あたしの値段」とか聞き捨てならない単語がしているのを聞きとがめた勇者(笑)は
「編み込み髭、白雪髭と姐さんなにやっているんで?」
「神官のにーちゃんは他所もんだから馴染みはないか、これは白雪髭が麦酒売りの姐さんをモノにするのにいくら必要かと交渉しているんだ。」
「それって人身売買!!極北の連中も奴隷売買に・・・・・・・・・」
「違う違う。婿金、婿金。男の側から女の家族に渡す金だ。これで嫁入り道具とか揃えろという意味もある。」
「ああ、結納金。しかし金貨5枚とか高いと思うけど・・・・・・・・・」
「そりゃ、あまり安いと女の面子もあるだろ、あと半分は女の財産になるから必死になるもんだ。」
「いろんな風習があるんだねぇ・・・・・・・・しかし、大っぴらにやるもんなんかい?」
「普通は仲立ちを立てて落ち着いた場所でやるもんだが・・・・・・・・・・あんなに大っぴらにする白雪髭も馬鹿だが吹っかけているあの姐さんますます嫁き遅れるんじゃないか?」
「あんたたち聞こえているわよ!」
「そりゃ、わるいわるい・・・・・・・・」
「いやぁ、珍しい物を見せてもらったからうっかり・・・・・・」
「うっかり?」
勇者(笑)は船中に逃げ出した!しかし怒れる女性からは逃げられない!
いやいや、我とてそこまで怖くないから。(by当代魔王)
そこの魔王!地の文に突っ込みを入れない。っていうか如何して魔王国にいるのに突っ込みが入れられるんだ?
それは簡単な事だ。魔王耳は地獄耳!・・・・・・・・・って、そんな冷たい目をするでない。種を明かすと演芸神の神器に【神々の戯言】という物があってだな、神々が時折世界に対して行っている呟きを真似る事が出来るのだ。この状況を知っているのも魔王領担当地方神様に勇者(笑)なるものが未だ来ないが大丈夫なのだろうかとお伺いを立てたからだ。(by当代魔王)
まぁ、我としても子供達の頼みだ。差しさわりのない場面であれば時折神託や何かの形で伝えるくらいするぞ。(by魔王領担当地方神)
だからあまり気にするな。よくある神々の戯言と同じに思っておけばよい。(by森林神)
そうそう、魔王ともなれば神々の眷属位の地位と権限があるのだからな。(by風神)
お前ら少しは自重しろ。これだと作者の行数稼ぎだと思われるだろう。(by節制神)
いちばん発言を自重していないのは節制神様だと思われるのだが。(by当代魔王)
メタ発言はそれくらいにしてください。
その間にも
「ねぇ、ぶっかけの神官様?貴方様でしたらこのあたしにどれくらいのお値段を付けてくださるんかしら?」
ハイライトの消えた目で笑いながら聞いてくる麦酒売りの姐さん。怖いからその笑顔をこっちに向けないでください。
「え、えっと・・・・・・・・・・全財産の半分かな。俺の故郷だと夫婦は財産を共有するんもので妻の取り分は半額だと決められているし・・・・・・・・・・・結納金・・・・・こっちの言い方だと婿金と言う風習は廃れているからね。払う地方もあったけど・・・・・・・・いくらくらい包んでいたんかな?」
流石に社会経験のない勇者(笑)には結納金の相場なんてものは判らないだろう。それでも財産の半分は妻の取り分と言うのに気を良くした姐さん。
「そんで今あんたはいくら持っているんだい?」
「え、えっと・・・・・・・・・・・手持ちが金貨2枚位かな?」
「安いわ!!」
「ぶへっ!」
姐さんから放たれた突っ込みの一撃は回避不可能であった。勇者(笑)は地面とキスをする羽目になるのであった。
「え、えっと・・・・・・・・・・・・俺さっきの話、払えないからなかったことに・・・・・・・・・・・・・」
「そこまで話を大っぴらにしておいてそれはないだろうがぁぁぁぁぁ!!」
どぐっ!どごっ!がすっ!
姐さんの打撃は屈強で知られる極北戦士をくの字に曲げるに値するものであった・・・・・・・・・
ごすっ!ごすっ!ごすっ!ごすっ!
「すいませんすいません、金貨5枚必ず用意させていただきます。とりあえず手付として金貨1枚を・・・・・・・」
「いらないわよ。まるであたいが悪者みたいじゃない!」
ごげしっ!
「そだねー、ビールのおねーちゃんの立場考えてほしいよね。」
「まぁ、おにーちゃんはけっこんのいしないんだけどね。」「ままーってよんだらおこられそうだし。」
「あたしゃこの子達のおばちゃんだのママだの呼ばれる年じゃないわよ。」
いえ、姐さんくらいの年ならば十分そのくらいの子がいても・・・・・・・・・・・
「ああん?」
若いのは判りましたから地の文を脅すのはやめてください。
そうして、麦酒売りの姐さんは売れ残るのであった。麦酒は良く売れるのにねぇ・・・・・・・・
「余計なお世話だ!」
「さて船に行くか。」
人日卿の掛け声に泥斑の猫とその連れ合いは
ぶな
うな
と一声を挙げてついてくるのである。その際に白雪髭と勇者(笑)を踏んでいくのはお約束であろう。
「なぁ、船客だから運ばないとだめかな?」
「仕方ないだろ・・・・・・・・・仕事の内だ。」
「でもどっちがどっち運ぶよ?俺やだよあのデカブツ運ぶんは・・・・・・・・・・」
船員達がぼやいているのはある意味当然の事であった。
本筋とは関係のない白雪髭の求愛騒動は置いといて船内。
「いてて・・・・・・・・・・・何で俺殴られないといけないんだよ。」
「おにーちゃんだいじょうぶ?」
「ああ、ちょっと腫れてるようだが大丈夫だろ。」
「いや、あそこで手持ちじゃなくて全財産を言った方が逃げられたんじゃない?」
「そうかもな、ってなんであそこで俺に振るかな?思いっきりとばっちりじゃないか・・・・・・・・・」
「にーちゃん神官様だから金持っていそうに見られたんじゃね。」
「なるほどって・・・・・・・・・・うおっ!」
勇者(笑)を案ずる死霊っ子に小僧っ子に阻まれて見えなかったが傍らでは白雪髭が酷い状態で転がされているのであった。
「にーちゃんが殴り倒された後で白雪髭さんが求愛を取り下げたものだから・・・・・・・・・・」
「そりゃ、姐さんからしてみれば馬鹿にされたと思うよな。」
しみじみと白雪髭を眺め。
「それにしてもこれは酷い・・・・・・・・・・」
白雪髭は赤い拳をぶち込まれて永い眠りにつくのでありました。
「ううっ、死んでないから・・・・・・・・・・・がくっ!」
所変わって船の食堂。人日卿が保護した猫達は船員たちの人気者となっていた。
「泥斑これ食うか?」
ぶな!
「子猫可愛いな」
「鯖柄ちゃんがいいな。」「俺こっちの黒ちゃんが」
「騎士さんよ、この三毛ちゃん譲ってくんね?」
「俺、白縞のカギしっぽちゃんが欲しい!」
「誰が譲るか!ってまだ乳離れもしていない子を離せるわけないだろ!」
「おぅおぅ、乳房と勘違いしているんか?俺の指吸い付いてるよ・・・・・・・・・」
「おめえの指じゃ乳は出ねえのにな。」「ちん(節制神削除)からなら(節制神削除)・・・・・・・・・・ごぶっ!」
「下品な物言いは嫌いだ。」
暇な船員たちは子猫たちを覗き込んでじゃれつかせているのである。おかげで先住の船乗猫(さび猫メス)の機嫌が・・・・・・・・・
「すまんな、お前の人気を取ってしまったようで・・・・・・・・・」
うにゃー
人日卿の脇で丸くなって落ち着いている。構われず落ち着けるのが良いのだろう。
船旅はまだまだ続く。
さて眠たいのでこれにて




