操行しているうちに霜降国
酒合戦
酒の飲み比べ、主に酒量を競う。広義では酒の産地やらなにやら当てる競技も含める。これが盛んな地域は酒処として有名な酒国、交易が盛んな狭間の国、寒さを凌ぐために酒を飲む極北が挙げられる。
どの地域でも酒量を競うことが多いのだが特筆するべきは極北の民で彼等は酒合戦の修行と称して他国を渡り歩き土地土地の酒豪を打ちのめしているのである。
実際に【傷跡娘の物語(史実準拠)】の一節で彼等の飲みっぷりが語られているが竜やら鬼やらを飲み下し【竜殺し】だの【鬼殺し】だの【岩妖精下し】だのと称される最強の酒飲みと謳われている。その後も彼等は世界各地を防衛戦と称して渡り歩いて飲み続けていたというのだから療養神の匙も投げられようというものである。他の二カ国に関しては酒国は自国で飲み比べして騒ぐ事に終始して一部の観光客以外参加することはなく、狭間の国は多種族で人族連合に向かえなかったり国の重役連中で構成されていることから他国に出ることはなかったといわれる。
「これって俺のせいじゃないよな。とりあえず、周りの誤解といてもらうのは大丈夫ですよね。捕り物の祭に俺達の荷物を持ち逃げとか補填してもらえるよね。尋問者さん。」
「は、はい。勿論です神官様。もしもの事がありましたらこの私が責任を持って・・・・・・・・・」
ああ、尋問者の自爆フラグが・・・・・・・・・・勇者(笑)の馬車の食料品って高級品とか貴重品とか・・・・・・・・・
金貨何枚飛ぶのやら・・・・・・・・
「勇者(笑)、それは後からでも何とかするとして事の収拾に協力してもらうことは出来るか?」
「人日卿、それは構わないですけど・・・・・・・・・・・ただ、集まっているだけで問う事もせずに謀反だ外患誘致だといわれてもねぇ・・・・・・・・・情報もないし。後、馬車の中の食料品金貨数枚くらいの価値はあるし西方平原国の陛下から貰った品もあるから何かあったらそれこそ・・・・・・・・・・・」
「おいっ!そこのお前!即神官様の馬車だの荷物の保全を・・・・・・・・・・・・」
「はいっ!軍部尋問者様!直ちに!!半分は俺に続け!!」
どたばたどたばた・・・・・・・・・・・・・
権力の味は何とやら・・・・・・・・・・
「それは兎も角として謀反の扱いを受けている菊枕卿はどんな方なので?」
「えっと、国王陛下の従兄弟に当たりまして王族の一人で残花氏族の長老格です。数年前まで狭間の国を中心に外交活動をなさってまして、魔王領からの産物の調達等も行っておりました。陛下が即位する前は王位を争っておりましたが今となっては然程王位に興味を示さずに後進の教育を行っておりますが・・・・・・・・・・・」
「尋問者の説明に補足すると我が兄上は狭間の国で諸外国との結びつきを強めておるな。件の極北戦士達とも交誼を結んでいるのは周知の事実であるし、謀反だの色々囁かれても仕方がなかろう。」
尋問者の説明に祭司が補足する。意外だったのは祭司と菊枕卿が兄弟だった事である。王族だと入っていたが近い血縁だったとは・・・・・・・・・・・・・と霜降の民以外の一同が驚いている中で人日卿は
「で、謀反とかする人物なのか?祭司殿の兄上殿は」
「最初のうちは悔しがって酒に溺れていたが十日ほどで折り合いつけておるしし陛下とも基本的に仲悪くない。国王の座よりも陛下に負けたことの方が悔しがっていたし・・・・・・・・・・謀反起こすよりも普通に退位要求をした方が早いしな。くっくっくっ・・・・・・・・・」
何を握っているのか判らないけど腹黒い笑いをする祭司に一同引きつつも勇者(笑)が質問をする。
「なぁ、普通に使者を立てて問いかければよかったんじゃ?普通そこからだろ・・・・・・・・・」
「あっ!」
そこに気がつかなかったとばかりに声を挙げる尋問者・・・・・・・・・・・・・・一同ジト目である。
普通に問いかければそこから情報が出るのだがどうした者だろうこの馬鹿は・・・・・・・・・・
「まぁ、我が兄上に直接問いかければ宜しかろう。今更謀反とかも考えるほど馬鹿じゃあるまいし・・・・・・・・・・謀反の後で国を手に入れても後始末が面倒くさいからな。」
「なんかおいらたち場違いだよなぁ・・・・・・・・」
「むぐむぐ、極北のおじちゃんたちは悪い事できないしね。」
「そういうことに知恵回らないしね。」「ばかだし・・・・・・・」
「死霊っ子、思っても言わない。」
子供達は飯を暗いながら傍観している。
「まぁ、オジちゃん達居ないと旅続けられないから迎えにいかないとね。」
「にーちゃんと居ると騒動が絶えなくて退屈しないよ。」
小僧っ子の皮肉に誰もとがめだてするものはいなかった。
そして数刻後菊枕卿の館に向かって進む一群の姿があるのだった。
勇者(笑)一行移動中・・・・・・・・
菊枕卿の屋敷・・・・・・・・・・彼の所有する荘園村落からやや離れた閑静な場所に建てられたそれには日頃起きる事がない賑やかな声が響いていた。
「菊枕卿、あのときの酒合戦の雪辱掃うが良い。」
「ふむ、戦鎚お主には負けぬぞ。」
「年寄りの冷や水という言葉を送ろう。まぁ、この場合は冷酒なのであるがな。」
「我が荘園で産する林檎酒は冷やして飲むのが一番旨い。」
「林檎の風味がよいものだな。これは国への土産にしたいものだ。」
「まったくだ、菊枕卿、これは如何程備蓄があるのだ?買い取りたいのだが・・・・・・・・・」
「後で蔵主に問い合わせるが良い。我が眷族が飲む分を残しておいてくれるならば全て売ろうではないか。」
「それではほんの一口ではないか!」
「ぬかせ!」
近隣の男衆や女衆も菊枕卿の元に教育を受けに来ている若衆も酒盛をしているのが見て取れる。
所々酔いつぶれて臥しているのも居るけど
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっと、尋問者さん。謀反でも悪事でもないよね・・・・・・・・・・・・・・・・」
「こ、これは・・・・・・・・・・・・・・・私の間違いを・・・・・・・・・・・・・って、言うか報告書にはなんと記せば・・・・・・・・・」
尋問者が崩れ落ちている。それは放置して・・・・・・・・・
「おーい!極北戦士さん達荒野の方々、待ち合わせの日はとっくに過ぎているんですけど・・・・・・・・」
「おおっ!もうそんな時か!」
「まぁ、ここまで来たんだこっちでやろうではないか。」
「弟も来ているか!狭間で知り合った飲み友達だ。暫くは奥も居ないし、久方振りに兄弟で呑もうではないか。」
「兄上・・・・・・・・・・・・・極北戦士達を引き連れていることで謀反の疑いがかけられているのですぞ!」
「あの馬鹿従兄弟にか?ワシがいなければ仕事できないくせに王位にしがみ付くしか能がないのか?」
「疑いをかけるのは周りでしょう。兄上が上に出張っているから出世できない連中が・・・・・・・・」
「だからわしは隠遁中で酒を楽しむ余生を送っているだけなのに、それでも追い抜けないのか?困ったものじゃ。」
「うははははははははははっ!ワシの酒を飲め!」
「うぷっ!もう呑めないです。」
「何じゃとワシの酒が飲めないだと!!許せん、お前に飲ませる酒なぞないわ!」
ぐびぐびぐびぐび・・・・・・・・・・・・・
「人日卿・・・・・・・・・」
「何だ勇者(笑)」
「あほらしいので戻りません?」
「この分だと後しばらくはお開きになりそうもないしな・・・・・・・・・・それに兵士達も・・・・・・・・・」
「おらっ!のめのめ!」
「し、しごとちゅうですから!」
「ふひぃ!良い酒飲んでいるんじゃないか!」
「うわぁ!分隊長何飲んでいるんですか!」
「酒じゃよ、酒。あたりまえじゃないか!」
「勤務中の飲酒は基本禁止でしょう!」
「ばかいえ!男には挑まれて下がれぬ戦いというのが在るのだ!」
「男だねぇ小隊長!」
「売るせぇ!極北の白熊野郎め!潰して戸板送りにしてやるから覚悟しろ!」
「猪口才な、返り討ちにしてくれるわ!ぶわぁつはっはっ!」
「見なかったことにしましょう。こちらへの疑いも晴れたことだし。」
「後で療養神殿の癒し手たちと薬を用意してもらおうか。」
「そうですね・・・・・・・・・・・・・・・」
この宴はその後数日に渡り繰り広げられつぶれては呑んで飲んでは潰れて・・・・・・・・・・・
敵味方含めて館には無事な者が一人も居ない惨状になるのだった。
「うわぁ、酸っぱい。」
後にこの一件を【菊枕郷の酒合戦】と称する馬鹿騒ぎとして記録されるのだがどうでも良い事である。
眠たいのでこれまで。
酒も切れたし。




