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奏効しているうちに霜降国

霜降神殿


霜降国の地域神霜降神を祭神とする神殿。他の神殿との違いを上げるとするならば他の神々も勧進してその祠社を設けていることである。

そのせいか、霜降神殿一つ巡れば神々すべてと縁がある等と戯れ詩ができるほどである。



霜降王都観光案内より抜粋

霜降の王都に滞在する事数日、極北戦士や荒野の民達は旧知である元駐狭間の国霜降大使(当時の王の従兄弟)を訪ねに行き旧交を温める。その間に勇者(笑)は霧の都(霜降国王都)を見物したりしている。お供は死霊っ子達に最近背が伸び始めている小僧っ子である。


「おにーちゃん、あの建物は何だろうね?」

「えっと、【霜降神殿】と表記されているな。」

「お参りしていかないの?」

「にーちゃん神官だろう。」

「名前だけな。挨拶くらいは行ったほうが良いのかな?」

「そうだな、できれば顔くらい見せても良いとわしは思うぞ。【菓子作る神官】殿。」

「だれ?」


一行の他愛もない会話に(神官としては失格だろうとおもえるが)混ざってきた老境に差し掛かる男。

やや薄くなりかけた白髪を襟くらいで切りそろえた男は


「失敬失敬、わしはこの霜降神殿に仕える【霜降祭司】である。茶くらい出すから付き合うが良い。」


と知り合いを飲み屋に連れて行くかのような感じで一行を神殿に連れ込むのである。


霜降神殿は正確には複数の神々を祭る神殿街であり、その敷地内には様々な神々を祭る祠が安置されている。光明神やら自然神のみならず、職業神や地域神・・・・・・・・・・更には人族連合においてあまり信仰されていない暗黒神の祠まで・・・・・・・・・・・

異世界人である勇者(笑)や物を知らない死霊っ子達はその意味合いを理解していないが、【光の都】で生まれたときから光明神殿の教えを受けていた小僧っ子は驚きを隠せず


「な、何で暗黒神の祠まで・・・・・・・・・・・禁教扱いじゃ・・・・・・・・・・・・」

と言葉少なに絶句している。


「少年よ、暗黒神様とお呼びするのだ。神々には敬意を持って相対するように。」

と祭司が嗜めるように前置きした上で

「ふむ、聖徒の者には刺激が強いようだが暗黒神様も悪い神様ではないのだぞ。世界には光があれば闇もある、光差さぬところで足掻き進もうとしている者がいよう。明るいだけでは人は生きてはいけぬ、闇の帳があって人は安らげもしよう。暗黒神様は光差さぬ者達を導き、眠りの時を齎す為に闇の帳を紡いでくれるのだ。光の神が人族で信仰され、闇の神が人外魔族共に好んで信仰される傾向にあるだけで政治的な面を除けば神学的には問題ないのだ。」


「中々面白い話ですねぇ・・・・・別に俺は暗黒神様が祀られていても良いと思うけどな。でも祭司さん、そんなのを他ではいえないですよねぇ・・・・・色々危なそうだ。」

「まぁな、昨今【狭間の国王都孤児院】で暗黒神様を信仰している子供達が【啓蟄地方】で農奴やら奴隷を解放しようと攻めてきたから余計に暗黒神様の信徒に対する風当たりは強いのだがな。」


寂しそうに言う祭司はおざなりに手入れされている寂れた祠に礼拝をする。

それに倣う一同、その小さな祠は神々の力関係というよりも世俗の環境を現しているのであった。

因みに性愛神殿や療養神殿等の執務場所は別にあることは記しておこう。前者は治安風紀面から後者は単純に場所の都合からである。祠の列を通り過ぎると広場が在りその奥に石造りの大きな建物がある。建物を構成する石の一つ一つに物語や経典の一説が刻まれており全てを眺めるのにどれだけ時間が掛かるのやらと思えたりする。

軒下には寄進されたのか霜降細工の灯りがぶら下げられており、風に揺れるたびに中に仕込まれた鈴の音がする。それだけでも遠くに来たものだなと感傷的にもなるに十分なのである。


「こんなに祠一杯だと神様に挨拶だけで何日かかるんだろう?」

「おにーちゃんの礼拝でも数日かかるよね。」

「あの頭下げるのだけでもね。」

「菓子作る神官殿?まさか神官である貴方がそこまで・・・・・・・・・・・・」


勇者(笑)の信仰心の値はゼロに近いのである。異世界に呼びつけられたせいもあるけど主な原因はあの記腐神(きふじん)共のせいであろう。


 

あらあら、記腐神(きふじん)なんて面白い事言うじゃない。(by芸術神)

貴腐人や婦女子達の神として名乗るにふさわしいですわね。(by文芸神)



信仰心の欠片もない勇者(笑)に嘆かわしい者を見るかのように見てくる祭司。

「にーちゃんは神々をも殴り飛ばすからなぁ。聖徒の都で聖女ごと菓子弾丸を食らわしていたらしいし・・・・・・・・・・・・・白の都ではつまみ食いに来る神々を叩きのめしていたりしたし・・・・・・・」

「小僧っ子にーちゃん、でもそれは鍋一つ平らげるのが悪いんじゃない?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


信仰心所か神々に対する敬意とか色々この世界に居る上で大事なもの(神職視点)が抜け落ちている勇者(笑)が神官であるの事実に絶句しているのである。


「あっ!」

「どうした?神官殿。」

「神殿来るんだったら菓子を作って土産用意するんだった。神々って菓子を結構つまみに来るからなぁ・・・・・」

「にーちゃん、【菓子創造】で作れないんか?」

「そっか!すっかり使っていないから忘れていたよ。菓子よでろでろ・・・・・・・・・・」


ぼんっ!


広場に菓子が出てくるのである。その光景を見ていた他の礼拝者達は奇跡の様な光景に驚きを隠さずに一行を遠巻きにするのである。


土産など気にすることはないのに・・・・・・・・・・(by霜降神)

もらえるものは貰って・・・・・・・・・・(by処暑神)

シュークリームとやらは美味であった。(by決闘神)

俺はチーズスフレだな。(by山野神)

私はシフォンケーキが好みですわ。あのふわふわしこしことした食感が(by豊穣神)

お前等自重しろ!(by節制神)



あれやこれやあった後、神殿の中を案内される事となった一行。歴史ある品や寄進された細工物やらの来歴を聞きながら中から声が聞こえる一室があった。


「神官殿、あれは吾等のうちで手すきの者が近隣の子達に読み書きを教えているのだ。小額であれど貴重な収入源となっておるぞ。」


神殿の神職達が地域住民との交流もかねて教育を施しているようだ。中から授業風景が聞こえてくる。


「・・・・・・・・・・・・・今日は【掛け算】を教えます・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「へぇ、掛け算まで教えるんだ・・・・・・・・・・・」

「うへぇ・・・・・・・・・・頭の中で数字がぐるぐるしそう。」

「死霊っ子、お前女の子なんだからうへぇとか言うなよ。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・で攻め側を先に記して、受け側を後に記すのです・・・・・・・・・・・・・例えば【神官長×細工神職】というのであれば神官長が攻め役で・・・・・・・・・・・・・」

「お前は何の掛け算を教えているんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



どげしっ!


ろくでもない掛け算を教えている女性神職に思わず部屋に飛び込み請うしかし弾丸を振舞ったのは勇者(笑)の習性とも言えるものだろう。って、言うか例題が色々問題ありすぎるだろう!そして、聴講の衆も大半が女性で目を輝かせているのは目を背けたいけど現実なのである。


「・・・・・・・・・・・・・・・菓子作る神官殿。聖域での狼藉は・・・・・・・・・・・・・」

本当に酷いですわね。(by文芸神)

我が神職もダメダメですわね。ここは細工神職の鬼畜攻めで・・・・・・・・・・・・(by芸術神)

ちがうわよ!そこは神官長が地位と権力でふぁっくみーと嫌がる神職を・・・・・・・(by文芸神)


「出やがったな腐神共!!これでも喰らえっ!」


どがががっがががががががっががががががががっがあああっ!


要らん茶々入れした女神達には勇者(笑)の菓子が存分に振舞われる。暫し後には彼女達は汚い壁画となるのであった。その後に勇者(笑)はやり遂げた顔をして汗を拭うのであった。


勇者(笑)の乱暴狼藉にも困った者だ。って、言うか我が神域で腐臭に塗れた教えをたれないで欲しい。(by霜降神)

霜降神様ご尤もで・・・・・・・・・・・・





この騒動の後で事の次第を知った神官長と細工神職を始めとする男性神職達は件の女性神職に謹慎と奉仕作業を命じるのであったが彼女は腐教に成功して腐友を増やした達成感で嬉々として罰を受け入れるのであったのは別の話。

「って、言うか着々と増えてないか腐女子が・・・・・・・・・・・・」


勇者(笑)気持ちは判るが地の文に(略






喧喧轟々と煩い神殿の中で比較的静かな一室に案内された勇者(笑)一行は蕎麦茶を振舞われながら

「菓子作る神官殿、霜降神殿としてこの国の王族の一人として、いや、この国の民の一人としてお礼申し上げる。」

と祭司殿の礼を受けているのであった。


「え、えっと・・・・・・・・・・・・俺何かした?」

「神官殿の振る舞い菓子の話が遠くこの地でも届いてな。我等も死霊達を慰撫しようと【弔いの地】に行ったのだ。そうしたらいるわいるわ・・・・・・・・・・・・・先年の飢饉で満たされぬ者達が・・・・・・・・・・・・彼等の苦しみを解き放つ手立てを示してくれた事。百の感謝では足りぬ、千の賛辞でも・・・・・・・・・・・」

「そ、そんな大した事じゃないでしょう。頭を上げてください。」

「いや、死んだ者の中にはわし等の眷属もいたし霜降の民で愛しい者達の苦しみを解き放つ術をくれたお主には感謝しても感謝しきれないわ!」

「でも、弔い手さん達も自腹でそういうことしているじゃないですか。」

「あの馬鹿共か!それはそれとして正しく美しいが彼らだけでは手が回らないではないか、そういうときこそ頼るとかすればよいものをあの馬鹿共は・・・・・・・・・・・・自分の生活を省みずに・・・・・・・・・つぎ込みやがって・・・・・・・・・・」

「えっ!もしかしてこの地の弔い手さん達は・・・・・・・・・・・・・・・」

「ああ、生活費までつぎ込んで其々の細君やら御母堂達にたこ殴りにされたのだ・・・・・・・・・・・・・」



あれは酷かった・・・・・・・・・・・・(by冥界神)

流石に匙を投げたくなったぞ。(by療養神)


匙を投げないでください!!

「・・・・・・・・・・・・・・・何と言うか、それですんで幸いと言うか。」

「馬鹿言うデナイ!わし等が仲裁に駆け回って、療養神殿には子供に見せられぬ無残な骸・・・・・・・・・・・じゃなかった馬鹿が転がっているわ・・・・・・・・・面倒だったんだぞ!」


青筋を立てて怒る祭司の姿に何もいえない青少年達であった。



やっと年末年始のデスマーチを生きて乗り切れました。

遅くなりましたがあけましておめでとう御座います。



さて、酒を飲もう。

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