作者は臭いフェチではない
当世糞尿事情
この世界の糞尿の処理は至って簡単である。水場を汚さない程度に離れた所にある森林に投棄するだけである。
一応投棄する事が出来る場所は決められており、それ以外の場所において投棄すると罰せられる。この森は薪炭林としての役割もあり、薪を取るために伐採された跡地に糞尿を投棄し、場所にも拠るが石灰や焼いた貝殻を一緒に撒く。その後、糞尿は【糞茸類】によって分解され森の養分と化すのである。そして十年くらい経つと成長の早い種類の樹木が(主に広葉樹である。)実用に耐えうる大きさに成長するのでそれを薪炭用に伐採収穫するのである。
この森林が齎す利益は糞尿処理と薪炭だけではなく、種々の茸類や草木類が食用、薬用、工業用の素材として確保できるのみならず、薪灰や腐葉土等を近隣の農地の肥料として利用できる点にもある。
直接糞尿を肥料として利用するよりも一工程を経て利用する方がある種の安心感を与えることが出来るのである。
堆肥として直接利用する地方もある。作り方については糞尿を集めて(別々に収集して糞を乾燥して燃料とし、尿のみを肥料として発酵させる所もある)地中にうずめて発酵させるのである。熟成は数ヶ月から年単位で行い、熟成した物を水で薄めて散布するのである。または雨季や農閑期に合わせて散布する地方もある。
西方平原国の王宮にて逗留する事数日、勇者(笑)は暇を見ては町に出歩くのである。
そこにある町並みは白っぽい石で統一されており、街路は掃き清められている。中世欧州風物語だと町にごみが溢れと言うか窓から糞尿がかけられる光景がありそうなのだが汲み取りと処理の方法が確立されているのかそういうことが無い。
それでも風呂の文化があまり発達していないからか町行く人の体臭は・・・・・・・・・・濃かった。
「ふーむ、異世界だねぇ・・・・・・臭いからして違うよ。」
「にーちゃん、この町は綺麗なほうだと思うよ。でも、聖徒の都と違って食べ物の匂いが交じり合っているね。」
「なるほど、聖徒の都は花や香の匂いが漂っていた気がする。」
「そりゃ、神殿連合の本拠地だし神々に捧げる香は沢山使うしね。」
「くんくん、いいにおい」
「あれなんだろ?」
「お肉が塊で焼かれてる」
「おにーちゃん、あれ買って!買って!」
匂いに釣られたのか死霊っ子達が食べ物屋に勇者(笑)を連れて行こうと引っ張っていく。
因みにこの町の食べ物の匂いは麝香草や緋衣草等の地球における紫蘇科に類するものや馬芹や茴香等の芹科に近い物が多用されている。中には南方産の胡椒等を使用した料理も見受けられるが他国料理の店として出店しているのが殆どであり値段が高めである。
南方の香辛料を多用した汁物を見かけた勇者(笑)はカレー!と思って店に飛び込むのだが、日本カレーのようなどろりとした物ではなく、さらりとしたスープカレーみたいな感じであった。
それでも、カレーに飢えていた勇者(笑)は数種類の汁物というか汁気の多い煮物?を頼み、小僧っ子や死霊っ子と共に食べ始めるのである。
「からい!」
「いたい!」
「おなかがもえる!」
うむ、南方料理は外が暑いから中まで熱くすると揶揄されている位に香辛料を多用している。
前知識もなく珍しい料理にがっついた死霊っ子はその洗礼を思い切り受ける羽目になるのだった。
「オキャクサン、チイサイコガイルナライッテホシヨ。コレゲンチデモツワモノムケ。」
「辛いと思ったら、上級者向けかよ!」
「チガウネ、ジョウキュウシャジャナクチョウエツシャムケ。」
店の料理人兼店主の言葉に勇者(笑)は
「確認とれやぁぁぁぁぁ!!」
と、思わず突っ込みを入れるのである。
小僧っ子は死霊っ子達の尊い犠牲で学んだのか麺麭を浸して程よくしてから食べているのである。
「辛いけど麺麭に浸したり、野菜と共に食べれば丁度いいかな。これはこれで・・・・・・・・・・むぐむぐ」
エグエグ泣いている死霊っ子達に店主も悪いと思ったのか・・・・・・・・・・
「オチビチャンタチ、コレノムトイイネ。カラミヤワラグヨ。」
と甘く味付けされた発酵乳が出される。
「あまーい!」
「おもしろい!」
「すっぱいけど、あまい。」
「なんだろ?ちがうにおいがする」
「チビチャンキガツクネ、コレナンポウノばーんくハイッテイルネ。」
「ばーんくってなんだい店主?」
「ばーんく・・・・・・・・・セツメイムズカシネ。クキハヌノオルタメニツカテ、ミカラハアブラトルネ。ハナノミツカラクスリトルネ。コノヘンダトおぴうむイウヒトモイタケド・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・まさかと思うけどハシンとかガンシャとか言わないよな。」
「オキャクサ、ヨクシテルネ。ナンポウノタミノホウゲンヨ。ノメバリラクススルヨ。トテモヤミツキネ、ワタシノリョウリノトリコヨ。」
・・・・・・・・・・・・バーンクの正体を理解した勇者(笑)は死霊っ子から発酵乳を取り上げると
「何飲ましているんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
と全力で菓子を投擲するのであった。
店主連行中・・・・・・・・・・
思い切り騒いだ勇者(笑)は道行く衛兵を捕まえて、店主を連行させる。
うん、流石にバーンク(大麻)ラッシーは不味いのである。
印度でもバーンクラッシーは違法だから気をつけようね。作者との約束だよ。(by作者)
一度や二度の服用で中毒になるとは思わないが、念のため療養神殿に向かう勇者(笑)一行。
因みに大麻はこの国では違法とされていない、吸引の文化が無いのと毒性や薬効をもっていると理解している者がごくごく一部の薬師とか学者しかいないからである。麻布とか麻の種を食べる文化があるのに・・・・・・
啓蟄やその近辺(人族連合東部から東南部)だと一部の富裕層が南方からの嗜好品として利用しているのがいるが・・・・・・・
店主は依存性のある事は知っていても有害だとは知らなかったので商工組合からの指導と幾許かの罰金を支払って店を続ける事が出来るのだが・・・・・・・・・・・大麻の類は全部没収されてしまうのである。
店主自体も南方の偉い人と縁続きだったのが幸いしたのであるが。
この騒ぎで大麻の存在を知った者達が興味本位とか薬効を求めて吸引し始めるのだが別の話。
「ホントヒドイハナシネ。アノワカモノクイニゲヨ。」
「バーンク入っていたのはあの発酵乳だけか?」
「ソダヨ、アレハツカレトルクスリネ。クニダトタクサンノマレルヨ。」
「とりあえずバーンクは禁止だ。帰ってよいぞ、お迎えの南方商業連合の事務官が着ているし。」
「まさか、バーンクが不味いとは思わなかったな料理人。」
「ホントウデスジムインサン。」
てくてく・・・・・・・・・勇者(笑)一行移動中。
王都の療養神殿・・・・・・・・・・ここは薬の匂いが立ち込めている・・・・・・・・・・
薬といっても消毒薬ではなく薬草の匂いなのだが・・・・・・・・・匂いの連想がつかないものにはハーブティーとかポプリの匂いといっとけばよいだろうか・・・・・・・・・・・
それを混ぜ合わせて砕いて油に溶かし込んで軟膏にしたり・・・・・・・・・・
「なんか、香料屋に入ったみたい。」
「このまま肉なんかの下ごしらえが始まりそうだな。」
「調理場の匂いみたい・・・・・・」
薬師達が色々な薬をこしらえている様は圧巻であるが、とりあえず受け付けに用件を述べるのである。
「今日はどのようなご用件で?」
「えっと、この子達が間違って大麻呑んじゃって・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ!死霊がですか・・・・・・・」
「そうなんですけど・・・・・・・・・・」
「ちょ、ちょっとお待ちください!」
若く少年といってもいいくらいの受付が慌てて奥に飛び込んでいく。
「癒し手さーん、うち死霊の治療って出来ましたっけ!」
「馬鹿野郎!死んだのは冥界神の管轄だろうが!うちは生きているのが専門だ!」
と怒鳴られるのである。
因みに受付に怒鳴っていた癒し手から大麻の中毒性などの説明を聞くと一度少量を摂取したくらいではさほど影響がないが念のためにと酔い覚ましの薬を持たされる。
どうどぶどぶどぶ・・・・・・・・・・・
つーん!ぶわぁん!
「おにーちゃん!わたしたちしんでいるからくすりはきかないよね。だからのまなくていいよね。」
「いやぁ!このくすりきらーい!」
「またのまされるの」
「この薬つくったひとぜったいきがくるってるよ。」
ふふふっ!療養神殿謹製、二日酔い用胃腸薬その他混合液である。これならば多少の麻薬の誤飲にも効くぞぉぉ!ふふふっ!(by療養神)
はいはい、療養神様いい笑顔での説明有難う御座います。
その名状しがたき色合いの混ざった液体を・・・・・・・・・・・・・飲みたくないと冥界に逃げようとしている死霊っ子。
逃げようとしても療養神殿からは逃げられない。
そして・・・・・・・・・・
神殿中に死霊っ子達の悲鳴が響き渡るのである。
合掌
はい、大麻入りのラッシーは印度でも違法ですけど堂々と売られていたりもするのでご注意あれ。間違って飲んでしまうと帰国するとき大変だぞ。
薬物は母国と現地の法を守っておきましょう。
さて、酒飲むぞ!




