頭が重い
二日酔い
酒の飲みすぎ。
西方平原国の国王陛下との会食の後、勇者(笑)は宮殿の食客と化している。
今日も今日とて王妃主催の茶会に菓子を持参して(させられて)参加するのである。
「ううっ!頭が重いな。昨日終雷伯と飲みすぎたか・・・・・・・・・・・」
ぺたっ!と言う擬音が似合いそうなほどに死霊っ子達が頭に張り付いている。
なんともはや、一人くらいならば可愛らしいというけど五人も張り付いていればさぞかし重たいだろう。
死霊っ子は積み重なるように勇者(笑)の頭に張り付いているのである。
勇者(笑)が頭を揺らせば
ぶらん、ぶらん
と大きく振り子の様に揺れる。
それを物陰で見ていた警備の近衛兵と王妃付きの侍女官達
「ねぇ、これって言って差し上げるべきかしら?」
「突っ込み待ちか?とはいえ陛下の客人に突っ込みなんて失礼な事出来ないし・・・・・・・」
「見ていてほのぼのとしていますけど・・・・・・・・・何と言うか・・・・・・・・非常識な・・・・・・・・」
「そもそも死霊を連れ込んでというのが・・・・・・・・・あの子達は見てくれ可愛いし着せ替え遊びを・・・・・・・・」
「碧眼侍女官、そんなことしていたのか?」
「碧眼さん、私も誘って欲しかったですわ。」
「衣装のイメージと言うか見本を持ってくると色々遊べそうですわね。じゅるり・・・・・・」
と、こそこそ話し合うのであった。
って、言うか一人ショタコンがいるぞ!
「失礼ですわ!そこの近衛兵さんと違いまして私は可愛い物が好きなだけですわ。」
「ちょっと待て!どうしてそこで俺を引き合いに出すのだ?俺が子供好きなのは認めるが幼女性愛主義じゃない!飾り立てたり弄くったりするのは楽しいが・・・・・隊長と一緒にしないでくれ。」
えっと、侍女さん地の文に(略
そして、近衛兵さんおしゃべりしていて仕事は?
「おっと、周辺に異常なし。俺がサボっても問題ないのが一番だ。」
「ふむ、そういう状態が一番なのは理解するがお前がサボっていいという理由にはならんぞ!」
「た、隊長!この場においては異常がありません!招待客の【菓子作る神官】様の頭上に死霊っ子達が積みあがっているのを注意するべきかどうか相談を受けていただけであります。」
「ふむ、その割には侍女官と楽しそうにおしゃべりしていたな。そしてこの俺が幼女性愛主義?ふむ、そういう目で見ていたのか。後でじっくりと語り合おうではないか。」
「隊長!ルビが物騒なんですが。」
「気にするな。ちゃんと残業申請に傷病手当申請はこっちでしておこう。後程私の執務室に来るように。」
「た、たいちょうぉぉぉぉ・・・・・・・・・」
口は災いの元。
崩れ落ちる近衛兵に侍女官娘達は肩を叩いて
「どんまい。」
「後でお見舞いに参りますわ。」
「隊長さんは娘第一主義の親馬鹿なだけで幼女性愛主義じゃないですわよ。」
と勝手な事を言って王妃の元に向かうのであった。
近衛兵氏に幸あれ。
「王妃様に置かれましてはお招きに預かり誠に有難う御座います。こちらはささやかながら私のからの手土産として・・・・・・・・・小僧っ子。」
「はい、こ、こちらが・・・・・・・・お、おかしのい、いえになります・・・・・・・・・・お、お気にめ、召しましたら・・・・・・・・」
「あらあら、可愛い調理人さん。そこまで緊張しなくて宜しいのよ。」
「は、はい・・・・・・・・・・お、王妃様のごそんがんにはいえ、はいえうたまわるえいよに・・・・・・・」
うふふふふふっ!
と口元を隠して緊張に硬くする小僧っ子を微笑ましく笑う王妃様にお付の方々も
「王妃殿下の御威徳では慣れぬ子供に酷であろう。」
「そうですわね、我等貴族の神々しさに平民風情が平常でいられるわけではあるまい。」
「神官様も酷なことですわ。場に慣れぬ子供を立ち合わせるなんて・・・・・・・・」
「まぁ、神官様もお弟子さんに経験を積ませようとつき合わせているのですわ。」
「それにしてもいきなり王妃様の下とかと言うのは、中々剛毅と言うかきびしめと言うか・・・・・・」
口々に好き勝手言う者達に
「お前達、慣れぬ者を弄り過ぎないように。」
「「「「ははっ!」」」」
王妃様は釘を刺すのである。そして
「神官様も場に慣れぬ者を寄越すなんて酷ですわよ。」
と勇者(笑)を嗜める。それに応えて勇者(笑)
「王妃様に置かれましては我が弟分の無礼、平にご容赦を・・・・・・」
と前置きした上で
「ここにありますは我が弟分にして我が菓子を作る助手をしております【聖徒王国宮廷料理人見習】の小僧っ子であります。現時点に置きましては私の助手として【死霊慰撫する菓子】を造り、多くの死霊達を慰撫し続けております。技前のほうも、私が作る手慰みの菓子よりも遥かに美味であり、彼の技前を我が功績にするのは宜しくないと考え引き合わせた次第にあります。彼の場に慣れぬ非礼平に平に兄貴分としてお詫び申し上げ、その責は彼にあらず私目に負わせるようお願い申し上げます。」
と小僧っ子を立てた上に謝罪の意を示すのである。
それに対して王妃様も慣れぬ子供の粗相など笑い話であると問題にしないのである。
「いきなり王族の側等と言うのは酷でありましょう。それでもこれは見事な菓子でありますわ。まるで中から小人が出てきそうな出来ですわね。これは小僧っ子がつくったのですか?」
「はい、王妃様。私が手を出したのは少しばかりで後は彼が土地土地の建築家と語らいながら図面を起こして作り上げたものであります。作り方を伝えたのは私でありますが、作り上げたのは彼なので彼の技として紹介した次第で御座います。」
「なんとも欲のないこと、神官殿が自らの功とすれば名声も富みも得る事叶うというのに。」
そう言いながらも王妃様は侍女官達に茶の準備を命ずるのである。
茶の準備が出来て勇者(笑)の手土産である菓子の家を眺めながら・・・・・・・・・・それ以前に勇者(笑)の頭の上の死霊っ子、誰も突っ込まないのであろうか?
「神官様、その頭の死霊っ子達は重くないのですか?」
同席の令嬢の言葉に
「これですか?昨夜間違って酒を飲んでしまったので療養神殿の癒し手さん達が・・・・・・・・・・・・・・無理やり・・・・・・・・・・」
「むりやりですか・・・・・・・・・・・・・・」
頬を赤らめながら話を促すご令嬢・・・・・・・・・・・・
話が違ってしまうだろう。
「無理やり二日酔いの薬を・・・・・・・・・・・・・・・そのせいでつぶれてしまって・・・・・・・・・・」
「そっち!」
「そっちって・・・・・・・・・・・・何を想像したのやら・・・・・・・・・・・味覚を駄目にされて気絶しているだけなんだけど・・・・・・・・・・・・・」
「ううっ!口のなかがぁ・・・・・・・・・・・」
「にがい」
「・・・・・・・・・・・・・・」
その惨劇を思い出したのか死霊っ子たちがうめく
「令嬢、何を想像したのかな?」
「いえません。」




