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西方宮殿

目隠し布


元々は大道芸における目隠し芸のためのインチキ魔具。目隠しをしていても視界が確保されるという用途である。(勿論モトネタを知っているものは知らない振りをして子どもの夢を壊さない程度の配慮は一般的にしていたようであるのだが)

【狭間の国】の黒髪孤児男爵(銀扇卿)が盲目の少女を保護した際、彼女の為になる道具としてそれを見出し、国中の盲目の者の為に私財を投げ打ち開発流通させた。勿論、視力矯正道具としての眼鏡は存在するのだが硝子の生産に手間隙時間が掛かり一般向けでないのと盲目状態には効果が無いので貴族や富裕層向けの装飾品をかねた物となっている。


参考までに

目隠し布(基本術式陣):銀貨3枚(療養神殿の診察登録代込み)

目隠し布:銅貨10枚~ (布の素材、縫製にも拠る)

眼鏡:銀貨30枚~ (基本硝子の調整に熟練の技が必要なため)


「草露伯、近くを通ったから挨拶に参りました。」

「おおっ、聖騎士殿か態々済まぬのぅ。道中は安らかであったか?」

「はい、お陰様を持ちまして西方平原では一切の滞りなく。」

「何を言っておるか、綿花の引き篭もりの所で歓待を受けたそうではないか。まぁ、末の令嬢が口煩い婆様を呼び戻したなんていうのは何の冗談かと思ったがな。」

「草露伯もあの女傑をご存知で?」

「ああ、綿花の所で色々礼法を仕込まれたよ。あの近辺の貴族家は行儀見習にいって婆さんの指導を受けているだろうよ。」

「それでか・・・・・・・・・・・・」

「蘇った婆さんに礼法でも仕込まれたか?」

「私ではなくて同行の者なのですけど。」

「噂の勇者になりそこなったものか、王の謁見もあろうから学んで置いて損は無かろう。」


綿花伯の所を過ぎてからは貴族領に立ち寄るたびに挨拶をするのだが、綿花伯の所ほどには足止めを食らうことは無く一日程度の足止めで貴族の城館に立ち寄る程度で済んでいる。

綿花伯のところでの足止めは伯自身の趣味もあるのだろうが、勇者(笑)の人となりを知らしめて西方平原国国王に報告するのと勇者(笑)自体の礼法の実地訓練もかねていたのは本人は知らない。

知ったところで意外な長旅で暫しの休暇のついでだと思っていたのだろう。

人となりを知りたいと思うのは他人に対して当然思うことだ、特に問題が多そうな者に対しては対策を立てなくてはならないだろう。





 報告書【仮称:勇者(笑)について】 報告者:綿花伯


 黒髪黒目。肌の色はやや黄味がかった白、日焼けするようなので多少の変化はある。やや痩せ型で小柄、尤も彼の民族的特性であるから彼の国では平均値だったそうである。

 性質は温和、キチンと対話をすれば理解する程度の協調性はある。突っ込み気質。

 特質【神殺し】【神気察知】【投擲】【菓子創造】。魔力は人族魔法職の平均値の数十倍程度。

 技能【菓子製作】【会計】【経営学】元の世界では大きな商会の販売員兼管理職見習の予定。実際には国政に関する資料製作や集計、会計などに使える素質あり。実際聖徒王国にてその手の業務に携わっていたとも言われる。


 召喚後の経歴

 ・聖徒王国王都近郊の【眠りの園】にて死霊多数を冥界送りにする。

 ・文芸神、芸術神、盗賊神等々撃破。

 ・神殿協会聖徒王国本部慈善業務部門壊滅。

 ・各地の【眠りの園】にて死霊を慰撫。一部の死霊は彼の一派となりつき従う。

 ・某都市聖徒地方神神殿業務介入及び衛生状況鉄拳指導。


 我が綿花伯領においても【眠りの園】にての死霊の慰撫以外目立つ行動は見受けられず。我が末娘により先年死去した【老女傑騎士爵】が蘇る一件あり。当地も彼女による指導のため一時業務遅延。

 あの指導を思い出した古参・中堅所の配下が泣きが入っているので冥界神殿の優秀なる弔い手の派遣を求む。(後日、自ら冥界に向かったことを報告される。)


   



この報告書を読んだ西方平原国国王は・・・・・・・・・・・在りし日の老女傑騎士爵の勇姿を思い出して・・・・・

綿花伯のところの一同に対する哀悼の意を示すのだった。

って、死んでないから!ちょっと鉄拳交じりの指導が有るだけだから!主に末娘嬢に対する倫理教育だから・・・・・・・・・


「地の文、ツッコミを入れないように。でも彼等の苦労は確実だな・・・・・・・・ぷくくっ!」

国王、地の文に(略




「だれか!だれかあるか!」

「はっ!なにか?」

「後数日にて聖徒王国より、【死霊慰める神官】殿が我が王都に来るはずだ。彼とその一行を迎え入れる準備をいたせ!同行の者は【聖騎士】を始めとして聖徒王国の騎士達である。彼らに対し礼を失することが無いよう十分に取り計らうように。」

「御意に」

「畏まりました」

「御身が思うがままに」


「さて、かの人物がどのような者かの、楽しみとは思わぬか爺よ。」

王が勇者(笑)を歓迎するよう命を下した後、傍らにいる老侍従に問いかける。

「異世界人とは言え、温厚な平民で御座いましょう。軽く話の種にはなりましょうな。」

「それならばそれで良い。久々に好奇心がうずいておる。」

「程々になさいまし、それでなくとも政務が溜まっておりますゆえ。」

「爺よ、まからぬか?」

「だめですな。さぁ、山にお挑みくださいまし。」


国王は執務室に溜まっている仕事を渋々片付けるのであった。

酒が飲みたい酒が飲みたい。

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