死霊っ子は風船にあらず
光明神殿
所謂光の神々を祀る神殿。地方神殿と併設されていることが多く、神殿協会の分殿としての意味合いも持つ。
祭神は【光明神】【太陽神】【人族祖神】等々(【人族祖神】は魔王勇者戦役時代末期に【神殺しの雑じり者】に叩きのめされて以来顕現していない。)
信仰者数が人族連合内で一番だろうけど専属として信仰している者は少ない。
大体他の信仰と共に光に神様にも感謝という程度である。
因みに光明神殿の神職は【照らし手】だの【導き手】という美称を用いられる。光は照らし導くという印象からだろう。
ふゆふゆと漂う死霊っ子達に弟分である小僧っ子を従えた勇者(笑)は暫し逗留している綿花伯の城館に向かう。到着の時に伯に挨拶に向かって以来である、数日は城下の宿の逗留して物見遊山宜しく近隣の奴隷集落に行っては共同の麺麭釜を占拠して菓子を作ったり、【眠りの園】で死霊達と語らったり・・・・・・・・・
死霊達の語りというのが面白くて奴隷の子供達と共に昔語りを強請ったりしたのは【記録神殿】の綴り手や【知識神殿】の学士達からすれば、なんて貴重な機会をと垂涎の機会なのだが知らぬは何とやら・・・・・・・・・・
我が同好の士達に死霊から話を聞く術を学ばせねば!(by知識神)
勇者(笑)!知識や記録を独り占めとは・・・・・・・・・・うらやま・・・・・・・けしからん!(by記録神)
もっとも、この時聞けたのは笑い話とか古い伝承の類なのだが・・・・・・・・・
基本奴隷だの農民だのだから大した話はないのである。それでも、歴史学者だの記録神の【綴り手】からすれば古戦場の特定だの出来る重要な情報なので本気で悔しがっていたのは勇者(笑)の知らないことである。
それでも、百を越える人間がぶつかり合って腸をぶちまける戦物語は男の子達の興味を引いたのである。ただ、この当時の連中の価値観からなのか流れた血はバケツに何杯とかはみ出た腸で縄跳びが出来たとかは・・・・・・・・・・・・さすがに引いていたのだが。
この時に勇者(笑)がその腸で腸詰がどれだけ出来るかなと聞いて死霊達のほうが引いていたのは笑い話としておこう。
「にーちゃん、流石に人の腸詰なんてえぐいよ。」
「・・・・・・・・・・・・うぷ。」
「お菓子の神官様、人って食べられるの?・・・・・・・・・・うぷっ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・げろげろげろげろ」
「ぐわっぐわっぐわっ!」
「ヒトだって死ねば肉だろう。飢えた者は肉に貴賎を求めないよ。おれがいたせ・・・・・・・・・故郷では古い記録に飢えて人肉を食べたという記述が・・・・・・・・・・・・他にも美味と称して人を飼っていたとか・・・・・・・・・」
「いやぁぁぁぁっぁぁぁ!!」
「こわいよぉぉぉぉぉ!!」
「たべないよねたべないよね!神官様食べないよね!」
「おれは食べるよ(性的に)」
あうとぉおぉぉぉ!!(by節制神)
少々、子供達には刺激が強すぎたようだ。
「神官殿、流石にそういう話は子供にするものでは・・・・・・・・・・・」
戦物語で腸の描写していた死霊にまでたしなめられる。
なんていうか、人を殺すのに忌避感が少ないくせに食べるのには拒絶するなんてと勇者(笑)が思うのはどうだか・・・・・・・・・・・
刈り取るならば食べるのが礼儀だろう。(by狩猟神)
役立てるために殺すならば許せようが、殺すが為に殺しているのは宜しくない。(by森林神)
同族殺しは良くないな。(by風の神)
なぁに、同属のほうが殺すとき燃えるんだがな。(by決闘神)
えっと神々の皆様方、茶々は入れないでいただけると・・・・・・・・
明くる朝、奴隷集落の洗濯場にはおねしょ布団が並んでいたのは笑い話としておこう。
奴隷集落の奴隷女(主に子持ち)からちくちく言われたのは勇者(笑)は受け入れざる得なかった。
確かに子供に対して言うべきではないのだろうから。
話を戻そう、綿花伯の所で勇者(笑)は持参の菓子を組み立てている。
菓子の家というのは意外と手間隙かかるが見た目の印象が強いので贈り物に最適である。
その割には気が向いたら等身大のお菓子の家を作ったりしている勇者(笑)は規格外なのだが。
因みに弟分の小僧っ子は図面を用意して部品を作り上げるのだがこれが中々に凝り性で、家の細かい部品まで再現しようとして苦労しているのである。お陰でちょっとして一撃からも耐えうる下手な建造物以上の耐久度を持つ菓子が出来るのだが笑い話としておこう。
後の世に小僧っ子改め【異界菓子作り】と称される料理人は『竜の一撃にも耐えうる菓子がこれほどに旨いとは』と美食家達に絶賛されるのだが別に意味はない。
そこで勇者(笑)は伯と語らい菓子を出して歓談する。
もっとも、勇者(笑)が奴隷集落の幸い有る様子を褒め称えるとそれに対して伯が苦労したと自慢して更に勇者(笑)や死霊っ子達が質問をするという流れなのだが・・・・・・・・・・
その質問でも伯の自尊心を刺激するらしく色々と機密に近いんじゃないのかと思えるところまで答えてまだまだ奴隷達を甘やかし足りないという面を見せる。それに対しては勇者(笑)は苦笑しながらも幾つかの提案をする。王には厳しいが奴隷達にはとても甘すぎる伯は興味深げに詳細を聞くのであった。
伯との歓談もすんで食事でもと誘われる、断る理由がない勇者(笑)もこれを受ける。
伯の家族も紹介されこちらとしても聖騎士を始めとした一行を紹介するのである。この辺はよくある流れ、人脈というのは便利である。伯爵側も聖騎士一行側も特に喧嘩する理由はないので長々とした挨拶を交わしながら互いを褒め称える。
「おお、雄雄しき人類の守護者たる聖騎士殿よ。汝が勇名は竜ですら裸足で逃げ出し、その優しさと嘆きは優しきものの涙を誘い大河と化して海にたどり着くのであろう。光の導き手なる光明神の神官よ、汝に出会い導きの欠片を得ることは我が名誉である。名も無き娼婦の涙を聞き、幸いなる道筋を求めんと百をも越える死霊戦士たちの助力を得て地位、権力の絆されぬ公正なる行い。なんと言う物語の一欠片なのであろうか?我は汝等に相見える事が出来て我が陋屋にも誇らしき物語が一つ記されるのであろう。なんと幸いなる出会いなのであろうか。」
「千をも越える導かざる者の優しき主たる綿花伯に我等が一行を代表して、我光明神に仕えるしがなき神官が挨拶申し上げる。我等を褒め称えるなどそのような労力を掛けるほどに有らぬ我等なれど人を見てその善なる部分を見出す伯の慧眼に驚異を抱こう。そして、我の事は大したことで無けれども我が勇猛なる聖騎士の嘆きを笑わずに受け入れる点に深き感謝を申し上げる。そして、伯が主としての手腕と慈悲に敬意を申し上げる。千をも越える導かれざる民の一つ一つに幸いの光を当て満ち足りさせることのなんと難しいことか、その難行を成し遂げる伯の手腕と熱意に人の子の導き手たるを自称する我は千の感謝を贈り万の賞賛を送りたい。」
「何のことであろうか、神官殿。我は父祖の代より母祖の血筋により『幸いなれば実りあり』との教えに従っているだけでしかなく、その教えですら満足に成しえているのかどうかおぼつかないものである。それよりも素晴らしき哉、異界よりの勇者。讃えるに詩人を百を集わせ千の詩にするも足りず、千の乙女が億の涙で枕を濡らしながら彼の物語に心震わせましょう。縁なき死霊共に導きの光を与え安らぎの闇を与え内なる焔にて彼等の凍えを溶かしていき、大地に還る骸の一つ一つに至るまで尊厳を与え、千の年月の間飢えたる彼等に清水にて潤し、思いを風に還し世界の循環を守る幸いの一欠片のあらんことを・・・・・・・・・・・・」
「異界より縁あって世話になる菓子作りが過大なる褒め言葉に感謝申し上げる。我が行いのあり方なぞは誰にでも出来ること。飢えたるを知って尚、誰かに分かち合おうとする伯の子供達に敬意を申し上げる。傷の痛みを知って、刃を向けぬ決意をする伯の子供達に敬意を申し上げる。自らを知って尚、玉石の如く磨き上げる伯の子供達に敬意を申し上げる。そして、子供等に丹精を注ぐ伯に感謝を申し上げる。異界にもかのような幸いなる世界は無く、この地にて逗留する一時に万金の価値があり、世界中のありとあらゆる施政者達が至誠を露にする姿勢を示すならば百の馬車に黄金を積み教えを乞うにふさわしき楽土でありましょう。私には百の詩人も千の物語も紡ぐ詩才も持ち合わせてはおらず、ただただ一つの言葉すら満足に表すことができずもどかしさを察していただけると・・・・・・・・」
「勇者の名乗りを致さぬ異界の菓子作りよ。汝が優しさは百の勇士の戦物語よりも良いものであろう。千の刃で悲劇しか生まぬ物語よりも一つの菓子で世界を変える物語を我は好む。そして、我よりも我が子供達を見出すとはその見識は誇るに値するものである。神々は遠く、正義の刃を振るおうとする志を持つものは少なく世界は悲しみで満ち満ちている。そしてその犠牲者に対して省みるものは志を持つものよりも更に少ない。汝等は優しさにて世界を変えようとするのか?付き従う幼き死霊達も千の年月を無聊に過ごす戦士達に導きを与え、自らに与えられる部分を分かち合い少なくない数の死霊達を慰撫し幸いへの道筋を示したのであろう。聞けば嘆く母親が為に自らの菓子を分け与え、唯一の生き残りし子供の為に保護を訴えかけたのはこの子供達であろう。贄にされても尚優しさを忘れえぬ子らを見出し、導きになろうとする汝等は何という奇跡なのであろうか?」
「聖騎士なる浮き草暮らしをする我は伯の一族が軌跡に敬意を申し上げる。そこにいる愚かなる異界の菓子作りの行いが一片の奇跡というなれば、鬼籍に入りし一族の皆様方が積み上げしこの土地のあり方は輝石の煌きのも似て羨ましく思う。一人の行い一時の行いは時ときっかけがあれば誰でも出来るのであろう。なれど、この時の如く皆幸いにある姿は一時では出来ず永の年月を積み重ねて尚簡単ならざるであろう、なんと言う幸いなるあり方なのであろうか。一粒の種を百の年月を掛けてもこれほど見事な花園が出来るであろうか?いや、出来やしないだろう。なんとも見事な世界であろうか。我は嘆きを深くする、どうして世界はこのように幸いなるに作られなかったのであろうかと。そして、誓いを致そう、このような幸いに満ちた世界を造るための一助にならんと・・・・・・・・」
以下、長々と続くために略
しかし勇者(笑)にこのようなやり取りが出来たとは、ある意味厨二心溢れるやり取りだからかんたんなのだろうか?
長々と続く挨拶を終えた後で料理が運ばれ、料理人の手によって切り分けられる。
その日の朝早くに摘み取られた青菜と豆を手早く湯がいて作られた前菜に黒鶏の卵を半熟にして熟成された果実酢を添えた一品。海から遠いので川で取れた手長蝦を香草に包み込んで焼き上げた魚料理に熟成された塩蔵肉の煮込み。その料理のソースを拭い取らせるために焼き上げられた白い麺麭。
この地にいる者たちは旅人達が満足する様に幸いを感じて、旅人達は在地の主達の振舞う料理に感謝をするのである。
そして料理が振舞われた後には果物と蜜と乳酪が用意され、茶と酒と煙草が振舞われるのである。それぞれに、それぞれにあったものを選び楽しみながら歓談をする。
一つは旅路のこと、一つはこの地の幸いなる様、一つは勇者(笑)の異界話。勇者(笑)の存在は知る人ぞ知るということで大っぴらには出来ないが無理やり隠すということはしていない。って、いうかあれだけ派手に動けば色々知る人も出てくるのであろう。
チーズと酒で楽しんでいる勇者(笑)に伯の末娘8歳が
「お菓子の神官様、私にもあそこで漂っている死霊っ子が欲しい。なんかぷかぷか浮いていて面白そう。」
「あのなぁ、死霊っ子は物じゃないんだぞ、それに金を積まれてもやるわけにも行かないだろう。」
「エー、ひとりくらいいいじゃない5人もいるんだし一人くらい。」
「だーめ!」
「じゃぁ、どうして手に入れたの?」
「カクカクシカジカ・・・・・・・・」
「それじゃ通じないでしょ。」
「おれを呼ぶために生贄にされてないていたのをお菓子で餌付け。」
「おにーちゃんお菓子で餌付けって!あたしは野良犬?」
「餌付けされたのは否定できないけど・・・・・・・・・もう少し表現を・・・・・・」
死霊っ子を欲しがる末娘嬢と説明したら色々死霊っ子に文句たらたら付けられる勇者(笑)、それを微笑ましげに眺める他の一同、食事は緩やかに過ぎていくのである。
「神官様、あのお嬢様少し・・・・・・・・・・・・」
「なんだい小僧っ子、一応我等は客として来ているのですよそこで主の身内の悪口はよろしくないでしょう。君が求婚されて即ポイされたのは知っていますけどそれこそ子供の戯言として受け流しなさい。」
「はぁい」
「ぶはははははははっ!そこの菓子作りの小僧っ子よ、我が可愛い娘に振られたのがとても痛手なのか・・・・・・・・・まぁ飲め!酒は心の痛手の傷薬だぞ!」
「ちょ、おいら飲んだことが・・・・・・・・・・」
「なぁに、最初の酒がこんなにいい酒だと他の酒が飲めなくなるかもなぁ・・・・・」
「ぐびっ!・・・・・・・・・・・・意外とイケル。」
「だろう、だろうこれは我が領内で取れた・・・・・・・・・・」
和やかに過ぎていくのである。
翌朝
あーさー!(by太陽神)
太陽神様、結構それ気に入ってます?
ちょっと・・・・・・・・(by太陽神)
「さぁ、お菓子の神官様行くわよ!私も可愛い自分用の死霊っ子を捕まえるんだから!」
伯の末娘は朝早く支度も整っていない勇者(笑)のところに飛び込んで命令する。
「すみませんうちのお嬢様が・・・・・・・・・・」
「お嬢様!お嬢様は何処に!!」
慌ててついてきて平謝りする侍女さんの声、遠くからはお付の爺や(教育係)の叫びが聞こえる。
我侭なお嬢様の付き合いで一日が潰れそうだ。と勇者(笑)は諦めた。
手早く支度を整えると末娘嬢に向き直り
「末娘嬢、【眠りの園】へお付き合いいたしましょう。準備を致しますので暫くお待ちいただけますか?」
「そうね、早くしなさいよ!」
勇者(笑)は準備に勤しむのである。
暫し後、準備を整えた勇者(笑)に食べ物を満載にした荷車、外出の準備を整えた末娘嬢とそのお付の方々が出迎える。
侍女と若衆は普通なのだがなぜか爺や(教育係)は棘付棍棒を装備している。
「えっと爺やさん。その物々しい武器は一体。」
「若いのこれは武器じゃなくて杖じゃよ。太陽神様を現す光を棘で現しているだろう。ワシャ前に光明神殿に仕えておったからの。」
いや、違うから光明神殿でもそんな武器を常時持ち歩くなんてしないからという神官の視線をしらばっくれて爺やは曰く
「なぁに、お嬢様に不埒を働く者があれば人も神も死霊も構わず聖水撒きが一働きをしてくれるだろう。太陽神様の偉大なる御力を模した物だけに闇に蠢くものなぞは一溜りもあるまい。」
「おじいちゃんすごーい!これ持てるなんて力持ちだね。」
「とげとげー!」
「おうおう、判るか!大抵の男でも持ち上げるのが精一杯なんじゃ。近頃の男ときたら軟弱となったものだ。」
死霊っ子に持ち上げられて満更でもない爺や
「何で爺やなのに血の気が多いのかしら?」
末娘嬢のつぶやきに答えるものはいなかった。
聖水撒きって・・・・・・・・・・・頭を西瓜みたいに潰しまわって・・・・・・・血があたかも聖水みたいに・・・・・・・・・(by光明神)
あの爺様は良い神職なのだが血の気がなぁ・・・・・・(by太陽神)
正確には西方平原国光明神殿神殿兵の兵長兼戦技教官なんだが・・・・・・・・・下手な戦士より強かったし、何で小さいお嬢さんの教育係しているのかが疑問だ。(by決闘神)
道中何事もなく【眠りの園】に到着する。爺やの聖水撒きは働く場所が無かった、当たり前であるが。
治安の良い伯爵領、余程の寂れた所まで行かなければ盗賊の類はいないだろう。盗賊しなくても働けるのだし・・・・・・・・・・
眠りの園では弔い手達が死霊達を慰撫したり運ばれてくる死体を尊厳あるものとして弔ったりしている。
この地においても弔い手達のやることは変わらない。
「これはこれはお嬢様、本日はどのようなご用件で?」
弔い手の長が末娘嬢に問いかける。
「今日はね、私にもあそこにいる死霊っ子みたいな可愛い子分が欲しくて来たの。紹介して頂戴!」
顔を引きつらせる弔い手に
「申し訳ない弔い手殿。お嬢様のわがままに付き合わせるようで・・・・・・・・・・多分一日追い回せば諦めが付くだろうから・・・・・・・後、こっちは少ないが飢えたる者がいたならば施してくれ。と伯爵様からの贈り物だ。」
爺やは弔い手を宥めるがように頭を下げる。それに溜飲を下げたわけではないのだが・・・・・・
「お嬢様、死霊達の眠りの妨げをしませんように。後は、連れまわすならば本人の了解を得てからにしてくださいね。」
「判ったは弔い手。」
末娘嬢は手近な子供の死霊に対して
「私に従いなさい!そうすれば美味しいもの食べられるよ。」
「面倒くさいからやめとく。あっ!お菓子のおにーちゃんだ。今日は何を持ってきてくれたの?」
従うように命ずるも逃げられてしまう。普通である。
「ほらお菓子あげるから、こっちにおいで。」
「わーい、おねーちゃ ありがとうー」
「ぼくにもちょうだい!」
「ほらほら、まだまだあるから。まとわりつかないで!」
お菓子を餌につると群がってくる。それに気をよくしてもっと振舞えば懐いてくる。懐かれて気分が悪くなるわけが無い、いくら死霊といっても可愛い子供だ・・・・・・・・・
「わーいお嬢様のお菓子ハァハァ・・・・・・・・ぼげはっ!」
「お嬢様私めを犬と・・・・・・・・・・御呼びぐひゃ!」
なんか、子供でないのが寄って来るのだがそこは爺やの聖水撒き(自称)が振舞われ、自らが聖水のように飛び散るのであった。
裏でそんなことが有ると知らず子供に懐かれてご満悦の末娘嬢
「さぁ、お菓子を上げるから私に従いなさい!」
「「「はいっ!お嬢様!!」」」
餌付けが成功かと思いきや・・・・・・・・・・・
「お嬢様・・・・・・・・・・・なにを・・・・・・・・・・」
「げぇっ!婆や!」
「げぇっ!とははしたのぅ御座いますよ。しかも何ですか!子供を菓子で釣って自分の意に従えようとは・・・・・・・・・・・・この婆や、情けなくて冥界から舞い戻ってしまいましたよ。」
「え、えっと・・・・・・・・・」
先年、亡くなった伯爵家の子女の教育係やら侍女頭を勤めた婆やが末娘嬢の後ろから睨みを効かせる。
そして末娘嬢への説教が始まるのである。
場の雰囲気が悪くなったなと察知した子供の死霊達も
「お嬢様お菓子有難うございました。僕らは冥界に向かいますね。」
「お嬢様の優しさだけで胸が一杯です・・・・・・・・・」
「あたちたちみたいにはやくいったらだめよ。」
などといって逃げようとするのだが・・・・・・・・・・
「貴方達も貴方達です!ちょっと其処に直りなさい!」
あわせて説教が始まる・・・・・・・・・
「そもそも一人の人として奴隷であれ主を選ぶに・・・・・・・・・・・・・・」
弔い手も
「婆や殿、お手柔らかに・・・・・・・・・・」
「大丈夫ですわよ、死したるこの身とは言え伯爵家に忠義を尽くして数十年。主が道を違えた時にお諌め申上げるのがこの私の勤めで御座いますから。酷い事にはなりませんよ。酷いことには。」
若衆も侍女さんも
「貴方方も何をしているのですか!」
と雷が落ちる。
婆や説教中
説教の矛先が爺やだの勇者(笑)にも及び、全員がげんなりした所で
「お嬢様、付き従う死霊が欲しいとのことでしたら私が付き従っていきましょう。宜しいですわねお嬢様。」
「えー、婆やじゃ無くて、可愛い子がいいのに。」
「おやまぁ、そんな我侭を言うのはどの口で御座いますか?」
末娘嬢には婆や(死霊)が付き従うこととなった。
伯爵家に戻ってみると婆やの姿を見るなり苦い物を食べたかのような表情をする伯爵やら古参の家来衆。長年伯爵家を仕切ってきて、当主でも敵わない婆さんが蘇ってきたのだから仕方ない。
婆やの血族も
「お婆様、何故お戻りに?」
と疑問半分と小うるさいのがと思うのが四割、残りは親愛の情が雑じった表情で問いかける。
「其処の末娘お嬢様が死霊を従えて浮かせて見たら面白そうなどと申し上げたので私がその風船代わりになろうかと・・・・・・・・・」
うんざりしている末娘嬢に家来衆の視線が冷たい。
婆やはその後、伯爵家で末娘嬢に従いながら古馴染みの家来衆と歓談したり仕事を手伝ったりする。
口煩い婆さんだが仕事は出来るし、教えるのも上手い。うるさくは思っていても嫌っているのはいないはず。
一月後、勇者(笑)一行は当に旅立った後であるのだが、お嬢様の考え違いが治ったと判断したらさっさと冥界へと旅立ったのである。
「婆や、寂しくなるではないか。」
「本当は口煩いのがと喜んでいるくせに、死んだものがい続けてもよろしくないでしょう。後は任せましたよ。」
「お婆様、せめてあと少し・・・・・・・曾孫の顔くらい見ていってくださいよ。」
「あらあら、お前もそんな年になるんだね。そうやっていたら逝くに逝けなくなるでしょう。弔い手さんお願いしますよ。」
「道中に食べていってください。」
若い侍女やら下働き連中から弁当が手渡される。それをありがたく受け取ると婆やは静かに旅立っていくのである。
禁酒してみる。なんか眠い。しかもいつもの倍以上だw




