街行けば死霊は珍しく
奴隷制
元々は罪人や戦争捕虜を自身の財産としたのが始まりとされている。
その後に土地土地の住民を攫ったり金銭等で購ったりして入手している。
仕事内容は単純肉体労働から性欲解消、中には計算奴隷とか会計奴隷といった知的作業を行う者も出てくる。その主人の性質によって奴隷に求められるのが異なるから奴隷商人としても質の確保などに苦労するのであろう。
尤も知的作業を求められる奴隷というのは貴重で滅多に手に入らないので大半は肉体作業や何やらを行う者である。
扱いについては【人族連合法】で細かく定められており、無闇矢鱈な殺傷や強姦、幼少の家族を引き離すこと等を禁じられており扱いの悪い主人は基本軽蔑の対象となる。(地域、階級などからの扱いの最低値が何処なのかは未だに議論されている。)
近年では奴隷自体を使うことが少なくなっている。理由を挙げるならば奴隷の扱いづらさ(これは犯罪奴隷や攫ってきた者が反抗的であることに起因する。)、経費的な問題(無闇矢鱈と殺傷できないから用済みとなったら捨てたりすることができない。)神学・倫理上の問題(神々に対して奴隷制の是非を問うた馬鹿がいてその結果で好ましくないと返答を得てしまったため)等が挙げられる。
そのせいか、少しづつ奴隷を解放して自身の配下としたり小作人としている。
この点で成果を挙げている例を挙げるならば西方平原国で、かの国では奴隷の働きで自身を買い戻すことを認めさせてやる気を引き出しているのである。主人の側でもまじめに働く者には多少の贔屓をしたりすることで差別化を計ったり解放後の心象を良くしようとしている。
奴隷商人側で転換期が来ているのに気がついている者もあり、奴隷を買い集める代わりに職業の斡旋や人材派遣を生業とし始めている者も出てきている。
さてわが国においては・・・・・・・・・・・・
霜降国【飲酒元大使の私塾】奴隷経済の転換期の講義より一部抜粋
馬車馬を放牧場に放ち、勇者(笑)は普通に街へと入る。
数ある旅路で通り過ぎる町のひとつである、聖徒王国から離れて初めて立ち寄った街であり交通の要衝でこの方面から聖徒王国に向かうのはこの街を通るか幾つか在る切り通しを越えないといけない。
此処も聖徒王国の影響圏内であるから、聖徒王国の中だと勘違いしている者も多数いるが下々の者には問題ないことである。流石に貴族や王族相手にする商人だと覚えておかないとまずいものがあるのだが・・・・・・・・・・
聖徒王国の属国であるから文化的にも風俗的にも似ているのである。
街の大通りには立ち食いしているものは見受けられずその手の屋台は見られない。食べ歩きとかを期待していた勇者(笑)は少し残念そうに軽食を食べさせてくれる店に入る。
「おや、まぁ、お若い神官様だこと。聖徒王国で修行を終えて国許に帰る所かい?」
時間帯的に客のいる時間ではないのだろうか店には他に常連らしき者がちらほら見えるだけで空席が目立つ、粗末ながら掃き清められている店内には一輪、
席に着くなり給仕の女性は気楽に声をかけてくる。
「いやぁ、狭間の国へと旅する所ですよ。」
「またなんだってそんな裏切り者やら妙な人外のはこびっている国へと向かうんだい?」
「断れない筋から招待状を貰ってねぇ・・・・・聖徒の王都でのんびりしていたかったんだけど。」
「神官様にも色々柵があるんだねぇ・・・・・」
「で、この店は何が旨いんだい?」
「そうさねぇ・・・・ チーズをこねて作った麺麭でも食べてみるかい?この近辺の料理だが聖徒では見られないだろうからためしに食べてみるといいさ。」
「それは面白そうだ、おばちゃんそれを6つと飲み物を人数分。」
「人数分ってあんた一人しかいないじゃないの。馬鹿お言いでないよ!」
勇者(笑)が一人しかいないのを不審に思う給仕の女性。
普通死霊がついている神官なんて代物はどこにいるのだろうか?
答え:そんな色物普通居ないだろう。
「ちょっと地の文さん、それは酷いだろう。」
勇者(笑)自身の色物具合について自覚しないと、それに地の文に(略)
給仕の言い分に死霊っ子達はひょっこりと顔を出す。
「やほー!」
「かくれてましたー。」
「おばちゃんみえるぅ?」
給仕の女性見るなり卒倒してしまった。いきなり死霊と対面して平然としていられる者は多くない。
「おや?おばちゃんおばちゃん!誰か店の人いませんかぁ?」
勇者(笑)は慌てて大声を上げる。道から何事かとのぞくものがいて店の中からも店主らしき男が出てきて
「この腐れ神官何してやがるうちのかーちゃんがあまりに魅力的だからって!!って、うわぁぁっぁぁぁ!!」
いきなり勇者(笑)に文句をつけるなり死霊っ子達に吃驚して腰を抜かす。
「お、お化け・・・・・・・・神様俺をお守りくださいなんまいだぶなんまいだぶ・・・・・・・・・・・」
気が動転しているのだろう。
「おっちゃん、おっちゃん。拝んでも居なくならないし、なんまいだぶって世界が違うだろう!!」
「なんまいだぶなんまいだぶ・・・・・・・・・・・・・なんみょうほうれんそう」
混乱に拍車がかかっているようだ。
外から見ているものたちも死霊っ子を見て怯えて遠巻きにしている。
そんな騒ぎを見て警邏の者が
「えっと、神官様何をなさったので?」
「俺についている死霊っ子に吃驚して腰を抜かして混乱しているんだけどどうした者か・・・・・・・・・」
「えっと、詰所に来てもらいます。第一非常識ですよ!死霊を連れて歩くなんて、一般人だったら怯えて腰抜かすに決まっているでしょうが!」
「こんなに可愛いのに?無害なのにどうして判らないのだろうか?」
「ねー。」「おにーちゃんおやつまだぁ?」
異世界だから死霊っ子が居ても可笑しくないと思い込んでいる勇者(笑)。そりゃ居ても可笑しくないけど時と場所とかがあるだろう。
死霊っ子達を撫でながら平然と返答する。
「詰所かぁ、いやぁ色んな経験が出来るなぁ・・・・・。ここは牢屋で一晩とか話の種になりそうだな。」
「おにーちゃんなら直ぐ迎えが来るでしょう。」
「だな、カツ丼出てくるかなぁ?」
「カツ丼ってなぁに?」
「うーんとなんていうのかな、俺の国の料理で米の飯の上にソースを絡めた豚のフライを乗っけたものだ。」
「へぇ、美味しそう。」
「この神官様常識がないばかりか死霊を何体もつけて平然としているし、普通に子供を相手にするみたいに撫でているし。詰所に来るのを話の種とか言っているし!常識を知れ常識を!!死霊は冥界にさっさと送るのが普通でしょう!それにカツ丼って何だよ!そんなの出ないぞ馬鹿野郎!」
呆れて乱暴な口調になる警邏。そこでイタヅラ心を起こした勇者(笑)。
「所でさぁ、警邏さん。俺は神官であんたはなんだい?」
「え、えっと・・・・・・・・・・・神官様に対して無礼な発言失礼しましたぁっぁぁぁぁ!!」
土下座ばかりに平伏す警邏。死霊っ子達は悪乗りして【幻影】で神々しい神の御使い風の衣装(衣装原案、童話より)をまとって神々しい雰囲気をだす。
御使いと見紛う死霊っ子に神官服をまとっている黒髪の若者、そして平伏す警邏の男。何処の宗教画の一節だと突っ込みを入れたくなるがそれはそれとしておいといて・・・・・・・・・
「まぁまぁ、警邏さん。世界には神々もいて死霊もいて人も居る。死霊も基をたどせば誰かの成れの果てだ。別に怯える事はないだろう。」
「い、いえ神官様。普通死霊に取り憑かれたら疲れが溜まって倒れる者ですが・・・・・・・それに生者を憎んで・・・・・・・・・・」
「それは偏見だ。現に俺は大丈夫じゃないか!彼等だって話せば判ってくれる、たまたま俺に憑いて来てくれるこんな可愛い子達を邪険にするのは良くないだろ。脅かしてしまったことは悪いと思っているけど・・・・・・・・・・・・」
「なんまいだぶなんまいだぶかんじざいぼさつしゃりしうんたらかんたら・・・・・・・・・・」
店主らしき男は未だに経を唱えているし、給仕は気絶したまま。
客も呆然として固まったまま・・・・・・・・・・・・・・
「神官様、この始末どうするので?」
「給仕のおばちゃんが目を覚まさないとだめだろうし、おっちゃんも何とかしないとだけど・・・・・・・・とりあえず落ち着け!」
店主に頭に斜め45度のチョップをかます勇者(笑)、壊れた家電じゃないんだから・・・・・・・・・・
チョップの衝撃で我に帰る店主。女給の方も程無くして目を覚ます・・・・・・・・・
目覚めたときに御使いと神官様・・・・・・・・・・
「あれ、お迎えが来たの?」
「違うから!!」
「あたし・・・・死霊にあって・・・・・・・・・・・・そっか・・・・・・・・ここは」
「自己完結しないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!話をきけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
女給を揺さぶる勇者(笑)
店主のほうを見て店内を見渡して・・・・・・・・・・・
「あんたもみんなもお迎えが・・・・・・・・・・・・」
「はなしきいてよぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「うむ、特に害はないようだ。そしてかーちゃん。まだ死んでないし、ただ腰抜かして失神しただけだから・・・・・・・・・・・・」
「俺達まだ死んでないし、死にたくないし隣のあの子を嫁に貰って子供は4人ほど娘ばかりこさえてそうして良い婿を取らせて悠々自適の生活を過ごすまで死ねないから。」
「お前具体的な計画立てているところで悪いがあの子は俺の嫁だ。」
「馬鹿言うな!あの子は俺の嫁だろう。」
客も好き勝手言っている。因みにあの子は別の男とネンコロになってこの客達になびくことはないのであった。
女給が正気を取り戻すまで、まだ暫くかかるのであった。
なんていうか脱線した気がするけど気にしたら駄目なんだろうな。
白ワインをあけるか・・・・・・・・・・・・




