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旅立ち前には孤児院で

巡礼


元々は信仰心溢れる一部の修行者が神々や聖者達の足跡を辿るための修行だったのだが、富裕層や貴族層の旅行と化し、更には平民層も小金をためて物見遊山を兼て行うようになった。


修行者や貴族富裕層は其々の手段で遠距離を移動するが、平民層だと近隣の聖地と呼ばれる場所を一二箇所回るのが限度である。(主に移動手形、資金的な意味合いで)


平民層の場合、資金を同道の者と一緒に商家や商業神殿等に積み立てて数年に一度まとまって移動する方法が主にとられている。

これは多人数で移動する事により治安面を確保したり団体割引を利用できたりという利点がある。半面、自由行動が取り辛い為窮屈さも感じるがそこは信仰のためだからと我慢している所もある。(ある程度進んで大きな街に着いたら、数日程度羽を伸ばす日程を組んでいる団体もある。)

ここで、地元の産物を持ち込んで行商し、帰りには地元にない物を買い込んで儲けを出している豪の者もいる。(特に巡礼中の商売は禁止されていない、寧ろ巡礼だけだと無駄飯食いになりかねないのでそういうことを奨励する教団もある。)

近年だと宿代とかを節約するために隊商の人足として雇われながら巡礼するという方法も流行っている。これは商家の方も格安で信頼の置けるものを雇えるという利点があり、巡礼者の方でも幾許かの資金を得ることが出来、旅行中の安全とか関所での手間を大幅に減らせるので双方に利のある方法であろう。



神殿協会【巡礼の手引き】冒頭の章より

ふゆふゆ・・・・・

ふゆゆ・・・・・・・・・


漂っている死霊っ子が布団に丸まっている勇者(笑)を見て

「あったかそう・・・・・・・・・・」


布団の中にもぐりこんでいく。


ふらふら・・・・・・・・・

ふらら・・・・・・・・・・・


「ねむい・・・・・・・」

「とーちゃん・・・・・・・・・・」

「むにゃむにゃ・・・・・・・・」

次々に寝ぼけているのか潜り込んでいく死霊っ子達。


一人寝ぼけて部屋を出た死霊っ子も巡回中の兵隊さんを脅かして怒られた後、部屋に戻ると漂っていた兄弟分が勇者(笑)に引っ付いているのを見て


「みんないいなぁ・・・・・」

と混ざりにいくのだった。



因みに兵隊さんが巡回中に上げた悲鳴から【城をうろつく子供の死霊】等と言う怪談話が出来上がるのだがどっちでもよいことである。



そもそも普通に死霊っ子共は勇者(笑)について回っているわけで、一部とは言えその存在は知られているしな。(by冥界神)

どれだけ尾びれが付いているのやら。(by詩人神)



そうして夜の静寂は深く深くなっていくのである。





朝告げ鳥が時の声を挙げる前、勇者(笑)を起こす様に頼まれた侍女さんは勇者(笑)とまとわり付いている死霊っ子達の姿を見て微笑ましげに


「勇者(笑)様、時間で御座います。お目覚めになってください。」


と身体をゆするのである。

ゆすられた刺激に勇者(笑)が寝ぼけながらも目を覚まし、侍女さんの顔を見て・・・・・・・・

まとわり付いている死霊っ子達を見て朝なんだなと


「おはよう侍女さん。寝苦しくって金縛りにあったかと思ったらこいつ等か・・・・・・・・・・ほら離れろ!」

と挨拶を交わししがみ付いていた死霊っ子共を引き剥がしにかかる。侍女さんはそれって金縛りではと思ったのだが口にはしない分別がある。


「うみゅみゅ・・・・・・・」

「なになに?」

「・・・・・・・・・・・ねむ・・・・・・・・」


ゴロンという擬音が出そうなほどに転がって目を覚ます死霊っ子達、漸くまとわりついていたのを剥がした勇者(笑)は体の筋を伸ばすようにゴリゴリと伸びをする。


「おはよう御座います勇者(笑)様、お目覚めになられましたか?」

「侍女のおばty・・・・・・・・・おねーちゃんおはよう。」

「おはよう・・・・・・・・・・・ございます。」

「・・・・・・・・・・あと少し寝かせて・・・」


霊っ子達も侍女さんに挨拶する。侍女さん子供相手に大人気ないと思うのだが貴女子供がいても・・・・・・・

まぁ、彼には貴重な教訓を得たということで。


「ああ、今日は何があったっけ・・・・・・・・・って、厨房で菓子作りの依頼だったか。」

「厨房の者も準備が整っているといってますので向かってください。」

「わかった、いつも手間かけるね。」

「いつものことですから・・・・・・・・・今日の軽食は期待してますよ。」


侍女さんは柔らかく笑いかけると勇者(笑)の着替えを置いて部屋を出るのであった。

「さて、始めますか。」


勇者(笑)は布団から完全に身体を出すと身体をひねって筋をほぐし始めるのだった。

「うーん!どうもしがみ付かれていたせいか身体が強張っているな。」


ふよふよと漂っている死霊っ子共も身支度を整えているのであった。

寝巻きっぽい格好からそこらの侍女さんやら小姓さんのお仕着せっぽい格好に変化して勇者(笑)を待っている。何故変化できるのかと問われそうなので説明をすると勇者(笑)に魔力っぽい力があると判明してからその訓練に付き合って【幻影】の術式を身につけたからである。一応制御とか出来ないと生活に便利な魔具とかも利用できないからという日常生活訓練的な理由もあるのだが。

半分幻みたいな死霊っ子達だから出来る裏技であった。(使用魔力は取り憑いている勇者(笑)から徴収)その気になれば色々な服装やら何やら出来るので服装をどうしようかと相談された侍女さん達は死霊っ子達をあーでもないこーでもないと着せ替え人形としたのは笑い話である。


そんなこんなしているうちに勇者(笑)も着替えが終わって厨房へと向かう。



てくてくてくてく・・・・・・・・・・


神官位を貰って収入もそれなりにあるのに厨房で仕事をしている勇者(笑)。

まぁ、勇者様神官様といわれるよりも馬鹿を言いながら仕事できる環境というのはよいのだろう。決して、周りの菓子の注文が激しすぎで受けたほうが楽だとか働かなくてもいいというのに気がついていないとかそういうことではないはずだ。


「そういえばおにーちゃん、年金とか在るのにどうして働くの?」

「あっ!そういえばそうだった。」



訂正、単純に気がついていなかっただけらしい。


「まぁ、働かないと人は駄目になるからね。働きすぎても駄目だけど。」

「ふーん、」


納得したようなしてないような、微妙な顔をして死霊っ子はふゆふゆと憑いて来るのである。




厨房

「おせーぞ勇者(笑)!さっさと支度してかかりな!」

厨房に着くなり怒鳴りかける親方、小僧っ子も

「にーちゃん、おいらが下準備しといたから。」


勇者(笑)は大量の材料に挑むのであった。彼の戦場は厨房の菓子窯、武器はへらに泡だて器、立ち向かう敵は欠食児童・・・・・・・・・・・もとい飢えた王宮の連中である。

いくら厨房が戦場とは言っても妙な振り付けで歌ったり踊ったりはしない、それは別の物語であるから。


「さて、こちらに全ての材料を混ぜて寝かしたものがあるわけで・・・・・・・・・・」

「にーちゃん、それおいらがやったからだろう。」


わいわいがやがや・・・・・・・・・・・・


「では、焼きにかかります。焼き時間は約10分、焼き窯に入れますね。どうして右の焼き窯に入れたのに左の焼き窯から料理が出てくるのでしょう?」


味見するなすてぃーぶ(謎)!


「にーちゃん、わけわからないよ。」

小僧っ子、今のは読者(何)にも判らないから。



出来上がった料理は死霊っ子達が協力して盛り付けていったり運んだり・・・・・・・

料理人の上を移動するから最短距離で便利、ぶつかることもないし安全・・・・・・・・・・・

はじめは死霊がとか言っていたが、厨房でも食堂でも普通に受け入れられる。


「そういえば新しく入った菓子担当って死霊使い(ネクロマンサー)か?」

「いや、勇者として呼ばれたと聞いたが。」

「何で菓子作っているんだ?」

「なんでも異世界料理の再現をしようとしたんだが、そのまま気に入られてしまって菓子職人として雇われてって聞いたが。」

「俺は神官姿で街をうろついているのを見たぞ。」

「そういえば神を殴って神官位を奪ったとか・・・・・・・・・・」

「従兄弟の弔い手から聞いたんだが、投げ込み(眠りの園)の死霊達を冥界へと導いた功績でと聞いたが。」

「それ聖女様の功績だろう。」

「聖女様は・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、そうだな。死霊達が全て消えたのは聖女様の功績だな。」

「歯切れ悪いなぁ・・・・・」

「うん、知らないほうが精神安定上良いことというのがあるんだよ。一つ忠告すると聖女様の菓子は食べるな!だな。」

「なんだよそれ。」

「知らないほうが良いだろう。」

「だったら言うなよ!」


食堂でも好き勝手言っている。



「さぁ、中身が混ぜ終わるまで少々休憩で俺にもさけをいれるの。」

「おにーちゃんわからないよ。」


わかる人のほうが少ないだろう。


厨房でも沢山焼き菓子が出来上がる。

「おにーちゃんこんなにどうするの?」

「午後から聖女様と孤児院の慰問だ。お前等も持っていくの手伝え。」

「「「「はーい。」」」」



山ほどの菓子を持って孤児院へと向かうのである。

途中聖女と合流して王都の外れにある孤児院へと歩みを進めるのである。


王都の町並みは巡礼が数多く見られ、人族連合の中心都市というよりも神殿を中心にした門前町といった風情である。街路は掃き清められ、道行く巡礼達は勇者(笑)の神官服を見て会釈をして通り過ぎたり祝福をと求めたりする。勿論その脇にいる聖女一行も巡礼達から祝福を求められて応じる姿が見受けられる。下々の者は聖女がBL小説愛好家であるのは知られていない、知られていても外面がよく丁寧な応対をしている姿を見てその話は間違いだったのだと誤解するのだろう。


聖女様聖女様という声が途切れないまま、孤児院へと歩みを進めるのである。



孤児院にて聖女が祝福を与え子供達と語らう。子供達が聖歌を歌い聖女だの神々をたたえる。


そうしている間に勇者(笑)が菓子を取り出す。


そして配られる勇者(笑)謹製の菓子。

滅多にあたらぬ美味に群がる孤児院の子供達、年嵩の子が年下の子に自らの菓子を与えているのを見た勇者(笑)が更に菓子で年嵩の子の掌を動けないようにする。更には能力【菓子複製】で目の前にお菓子の家を建ててやる。

苦しい中でちゃんと思いやれる優しい子にはご褒美という事である。

年嵩の子は掌一杯に積まれた菓子とお菓子の家に呆然としている間にお菓子の家は他の子供達に攻略されるのであった。



子供達の中に先日勇者(笑)達が保護した巡礼の生き残りもいる。

子供は先日の礼を言い、勇者(笑)は子供の安否を気遣う。この孤児院は勇者(笑)の手が入っているのでしばらくは安全であろう。無体したら菓子弾丸の刹那五月雨撃ち(せつなさみだれうち)がふるまわれるだけであるし・・・・・・・


子供達と戯れる聖女、男の子ばかりというのは気にしないが欲望は少し隠せよ。荒げた息とか鼻から零れる愛情とか



これは勇者が旅立つ数日前のことである。

なんか久方振りな気がします。此処の所古巣が閉鎖されるというのでそっちにかかりきりとなってました。


さて、イクラの醤油漬けで一杯やるかな。クリームチーズとあわせるか悩む所だ。

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