お呼びでないのに呼ばれるわけは
冥界
この世界で死んだ者達が集う場所。もう一つの世界とも言える。
冥界で生を終えてまた生まれなおしたり新たな世界に向かう者もいたり、世界と世界の分岐点でもある。
世界潮流に流れてまだ見ぬ世界を旅したり、流れ着いてこの世界に生を受けたり魂というものは実に忙しない者である。
司るのは冥界神、この優しき世界の管理と傷ついた者を癒すことを旨とする大いなる死と眠りの神。一説に拠れば世界最古の死者だとも大いなる闇の一欠片とも言われる。
聖騎士到着、彼は長らく狭間の国にて大使の任に着いていた筈である。この時期に聖徒王国へ戻るとは理由としては勇者(笑)だろう。勇者(笑)も【勇者】なる異能者が危険なのかどうなのかと危惧する魔王領とか狭間の国の面々の立場はよく判る。こっちから敵対するつもりはないのだがそれが判らないのだろう。だから実際にあってみて話してみて判り合う必要があるのだ。
「そのうち呼ばれるからいいか。」
「おにーちゃん、のんきすぎない?」
「それより大事なことがあるだろう。」
「何ですか子爵様?」
「ワシにその焼き菓子を振舞う事だ!!こんなに良い匂いさせて用意がないなんていうのは些か酷と言う物ではないのかね?痩せてしまったらどうする!」
東南門子爵は勇者(笑)の薄焼き麺麭を所望であった。
世界を揺るがす・・・・・・・・・・かもしれない異世界人を前に通常運転である。
「・・・・・・・・・・・・・・おにーちゃん、この子爵様食い意地があたし達より張っているね。」
「死霊っ子よ、古来より言うではないか【腹が減っては戦は出来ぬ。】と、ちゃんと食べて力としておいていざという時に備える。大事なことだぞ。」
理屈と糞は何処にでもくっ付くとはよく言ったものだ。勇者(笑)は諦めて子爵のために一枚焼く。
「ああ、わしは蜜をたっぷりとな。後もう一枚は、溶かした乳酪をつけて食べてみたい。濃い目のスープなんかあれば良いのだが・・・・・・・・・・・・」
「よくはいるねー、ししゃくさま。」
「はははっ!ちっこい死霊っ子よ、沢山食べないと大きくなれないぞ。」
確かに大きくなるよな、腹回りが・・・・・・・・・・・・後、奥方の怒りが・・・・・・・・・・
出合った当初は鍛え抜かれた体をした美丈夫だったのが年月が経つに連れてメタボになって・・・・・・・
因みにこの様子を見ていた侍女さん(子爵の従姉姪にあたる)が奥方に御注進して家では食事療法と運動療法での減量を強いられる事となるのだが別の話である。
それ以前に死霊っ子が大きくなるわけないだろう!死んだ当時のままだ。
「ハイ、子爵様できたよ。」
「うむ、かたじけない。」
焼きあがったものを子爵は蜜をたっぷりとたらしてかじりつく。
ぱりりっ!といい音を立てながら段々と小さくなっていく麺麭を見て勇者(笑)は再度焼き始めるのだった。それが焼きあがる頃には一枚目が子爵の腹に入り二枚目を乳酪で食べ始める。
溶かした物はなかったので柔らかい乳酪を擦り付けるようにしている。
これはこれで旨そうだと死霊っ子たちも真似し始める。
かりりとした歯ごたえのある生地に乳酪の酸味と旨味、脂肪分の持つ滑らかさが程よく調和して美味である。子爵は刻んだ酢漬けの野菜を加えたりしているが、何処まで美味に貪欲なんだと・・・・・・・・・・・・
そりゃ、我が信徒だし。(by厨房神)
遠く神殿協会のほうからは
「聖女様!何を世界に向けて発信しているんですかぁぁぁぁぁ!!魔王領と狭間の国から思い切り抗議が来ているではないですかぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そっちでしたか。
心当たりのある勇者(笑)は
「あれを他国に送ったんか・・・・・・・・・」
冷や汗物である。なんせ、BLアイシングクッキーなんて内輪で楽しむものだろう。
国外かよ!しかも敵国でだろ。外交問題だろこれ。そもそも、同類が向こうにもいるのか、腐らないのとか色々突っ込みどころが多すぎるのだが取敢えず勇者(笑)がとった行動は
「知らなかった事にしよう。」
酷い物である。
「知らない振りすれば少なくとも今は心安らかに過ごせるだろう。」
なるほど、でも勇者(笑)地の文に(略)
「にーちゃん、なにおくったんだ?」「せーじょさまとろくでもないことしてたの?」
「あの死霊爆散クッキーとか?」「あれはひどかったね。死霊を集めるのにバケツを使うなんて・・・・・・初めてだよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・そんな危険なものではないから大丈夫。」
普通爆散した死霊を集めるなんて事はしないから。それにあれもあれで危険なブツだから。
「勇者(笑)よ、聖女様の奇矯なる趣味の産物か?」
「ソウデス・・・・・・・・・・・確か第二公爵様と副宰相様の・・・・・・・・・・・」
「うむ、わしは何も知らなかった。知りたくもなかったぞ。」
彼等は知らないが、各地に送られたクッキーの返礼としてBL絵画が送られていることに。
それが元で更に議長の胃壁が限界まで酷使されたり聖騎士殿が丁寧な抗議文を書くために部屋に缶詰にされるなんていうことが在ったりするのだが、それに関わるのは後のことである。
「不吉な予測は立てないで欲しいな。」
それについては諦めるしかないだろう、後勇者(笑)地の文に(略)
そういえば自分の分を焼いていなかった事に気がついた勇者(笑)は自分の分を焼き始める。
カレーが欲しいなとか思っているが香辛料は貴重品というほどではないが気楽に使えるほど安くはないし種類も限られている。シチューが欲しいとか其処の腹回りがコッテリとした子爵ではないけど思ったり。
蜜をつけて食べるのはこれはこれで美味なのだが、焼いて作っているうちに甘い匂いで満足してしまったのか塩気の効いたスープを求めて厨房の煮込み番の所に行って分けてもらう。交換として薄焼きパンだから一種の物々交換であろう。
スープに浸して食べると食感が変わる。美味美味。
死霊っ子も試したそうにしているが、満腹してしまっているため食べることが出来ず。
子爵は更に一枚所望するのだが勇者(笑)が食べ終わるまでかなえられる事はないのだった。
そもそも死霊って物を食べる必要があるのだろうか?
求む説明回!
遠くからは聖騎士の怒鳴り声が聞こえて、それを聞いた侍女さんは
「あらあら、何時戻られたんですかねぇ・・・・・・」
とのんびり呟くのであった。
話が進まないけど気にもしない。酒が進んでいないから。
インド料理が食べたくなったのでついつい・・・・・・・・・・印度行くかなぁ・・・・・




