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酷い菓子

狭間の国(人魔の境目)


人族連合と魔王領に間する王政国家。住民は人族が多いが獣人族、鳥人族、妖精各種族、鬼族等々の人外諸種族に彼等との混血も存在する。

人族連合側からも魔王領側からも扱いに困る地域。主な産業は農業、交易。特に交易は国交断絶している両地域の品物を仲介できるのが政情や地理的要因からもこの国くらいしかないので色々侵略の対象になったりする。


魔王勇者時代後期から末期にかけて成立。元は、聖王家の者が直轄支配する【盾の国】がはじまりとされる。元々【盾の国】は魔王軍に対する防壁として存在している激戦区である。代々の王は【聖王家】から王族が任命される、その殆どが継承権を高位で所持している者で厄介払いと前線の戦意高揚の意味合いで追放当然で送られる者が多かった。代々の王の任期は殆どが十年未満、大多数は前線での討ち死にである。これが幸いしてか聖王家では継承権を巡る争いが起きるほど王族の数は多くなくある程度の年齢になると神官位を戴いて世俗から離れたり、隠遁生活を送ることを望み【盾の王】就任から逃れようとするのが普通である。


最後の【盾の王】とされるのが当時の聖王の末息子(三男であるという説もある)。

彼が戦場で見つけた孤児達を気まぐれに配下に取り立てたら国ごと乗っ取られたとも逆に彼等の心意気を感じて禅譲したとも言われる。彼等の建国後も最後の盾の王(通常、史書ではなく戯曲などで盾の王という記述があれば彼の事を指す。)は国政に助力し、現在も狭間の国の聖域守護辺境伯一門にその血脈が残されている。



【狭間の国観光ガイド】より

この世界の別の物語【貴人聖域法と紳士諸氏】を読まれた方ならば馴染みのある某王国王宮の執務室群。其処は鬼も泣き出し、竜も裸足で逃げ出す危険地域である。

相も変わらずに大量の書類と面倒事が沢山あるのである。


【聖徒王国にて異世界人召喚】

その一報が届くと官僚達はざわめき立つ。異世界人の召喚となれば大方勇者でその目的は魔王領、元々は対魔王軍との前線基地だった某王国にとっては戦争に巻き込まれる原因ともなりかねない。


「外務長、情報はありますか?」

「ふむ、第三だったか第四だったかの伯爵が個人的に暴走したものであると聖徒王国側からは連絡を受けている。聖徒王国側からは諍いを起こすつもりはないとも釘を刺されたと、現地に居る外務官から報告も受けている。」


多分一外務官では確認とか出来るだろうが人族連合側に絆されている可能性もあり、こっちの抗議せねばならないだろうから誰か送らねばならないだろう。


「とりあえず誰を確認に派遣する?」

「王室顧問は?人族連合側への牽制にもなるぞ。」

「それは避けておいたほうがと言うが・・・・・・・・・・・・・孤児姉共々出仕する積もりなく嫌がらせのように市場で酒飲んでいるぞ。」

「王太子殿下は?先日聖徒王国の衛星国家の一つに出現していただろう。」

「あの廃嫡寸前のか?ここ数年王宮に顔を見せに来ないし、昨日魔王領にいると連絡があったぞ。」

「何処をどうすれば其処まで移動できるのやら?」

「王妹殿下は・・・・・・・・・・・・・うん、それは不味いな。」

「当たり前だ!」「同じ理由で庭園公も駄目だぞ。」「庭園公自体そういう腹芸に向いていないだろう。」

「商会公様はどうだろう?あの方ならば世界中巡っているから。」

「公は曾孫と娘が生まれるからと屋敷に詰めているぞ。しばらくは金を積んでも動きそうにないだろう。ならば公の所で向こうに行く商人とかに依頼したほうが現実的だ。」

「まずはそっちで情報収集もかねてお願いするとして・・・・・・・・・・・酒盛卿はどうだ?」

「おれか?行ってもいいけど妻同伴になるだろうし、途中途中で・・・・・・・・・・・歓待攻めで何時つけるか・・・・・・・・・・・」


酒盛卿とその愛妻が自身の物語である【傷跡娘】の愛読者が世界中に居る状況で下手に旅をしたら・・・・・・・・・・・もみくちゃにされるのだろう。ただでさえ、その物語を読んで王都の酒盛市場でその雰囲気を味わいたいと有閑貴族達がこぞって観光に来て王宮に押しかけたり・・・・・・・・・・・本人達と話をしたり・・・・・・・・・・結構金を落としてくれるのだから追い返せない。意外と外交面でも他国の貴族たちが屯しているから色々運動できるし・・・・・・・結構したたかな狭間の国政府である。


官僚達は手元の書類を片付けながら雑談代わりに意見を言っては修正されていく。


「王弟殿下は?」

「いたっけ、そんなの?」「流石に地味だろう。」「いくらなんでも・・・・・・・・・」

「おい、お前等・・・・・・・・・・・・」

「いたの殿下?」「気がつかなかった。」


「おまえらぁぁぁぁ!まとめて不敬罪だぁぁぁぁぁ!!!」

官僚部屋からは王弟殿下の叫びが響き渡る。王弟殿下は文官や行政家としての能力はあるのだがいかんせん地味で見栄えがしない。彼の娘である王姪姫辺りだったら見栄えがするが若年で補佐がいるだろう。


あと派遣できる者といったら・・・・・・・・・・財務副長は古妖精族(アールブ)系だから人族連合に出せないし、同等の理由で何名かの官僚や貴族は候補からはずされる。王族も王太子殿下や王弟殿下が頭にして有能な配下をつければというが華がない、王太子殿下については行方不明であるという理由があるが。

次王子はこの手の事に適正がないし、末王女は政務の手伝いをしているが若年で友好国の式典に行って原稿を読む程度ならば兎も角交渉ごとまで任せるには・・・・・・・・・・


「私はしているというよりもさせられているというべきだ訂正しろ地の文。」


末王女様地の文に(略)

勿論訂正いたします。幼少の頃より国政にかかわらざる得ないその不憫な身の上には

「それはそれで傷つくのだが・・・・・・」


だから末王女様地の文に(略)

定型文だからって略するのはどうかと思うぞ。

気を取り直して


「ふむ、話をまとめるに異世界人を見定める者が必要というわけか。」

「御意に姫殿下。」

「どうせ私個人に敬意も忠義も持っていないのにもったいぶった口調は不要。単純にこちらに招待すればよいだろう。」

「そうなると人族連合内に【勇者】の存在が公になって開戦論に繋がるかと・・・・・・・・・・」

「ならばその【勇者】が【裏切り者】の子孫と仲良くしているところを公にするのだ。さらには【聖王家】の末裔がいるのだから彼等に助力願い戦わないことを正式に宣誓してもらえばよい。」

「今更聖王家ですか、聖域守護辺境伯家の面々が首を縦に振ると思いますか?」

「まぁ、飯を食うくらいは断らんだろう。」

「姫様姫様、言葉遣いが・・・・・・・・孤児達と共にいる時間が多いから乱れていらっしゃいますぞ。」

「いやいやいやいや、孤児達はしっかりと躾けられているから公私の分別ついているし、うちでも一人養子に欲しいくらいだ。」

「街道管理官ところは養子の前に嫁だろう。」

「嫁はなんか諦めた・・・・・・・・・・・・」

「街道管理官、そういえば先日花菜子爵のところの息女と『うわぁぁぁぁぁ、いわないであげてくださぁぁぁいい!!!』」

「王女様、その件は触れないで置いて欲しく・・・・・・・・・・」

「なんでじゃ?」

「それはごにょごにょ・・・・・・・・・・でこうなったので・・・・・・・・・・」

「ふむ、それは悪い事を聞いた、街道管理官許せ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


末王女様、それは止めさしてますから。

それでも、異世界人を招待することは方向性として確定する。異世界人の人となりを見極めたうえで朋となれるならば朋となり、敵対するならば妥協点を見つけるなり対応策を練る。となれば、迎えに行く人選である。あーでもないこーでもないとまた、同じような議論が繰り返されるのである。


そんな中で王妹殿下が忌々しき異世界人を連れて官僚部屋に来るのである。

「ほほほっ、皆の衆聖徒王国の魂の姉妹聖女様からお菓子の送りものだぁ!なんでも異世界人が製作した異世界の菓子に絵付けしたものらしいじゃない!この菓子を見てぴんと来たね!世界は愛に溢れていると!!」

ハイテンションな王妹殿下に

「皆様方には日頃お世話になっているからおすそ分けと言うことで・・・・・・・・・・私にとってとても懐かしい物ですわ。」

平常運転な忌々しき異世界人。


この腐れ女共はどんなろくでもないものをと思うが王妹殿下は気にもせず手にした菓子の包みを開ける・・・・・・・・・・・・・・・・


其処に現れたのは精密画を思わせる男性達が描かれた一枚の焼き菓子であった。因みに男性達は半裸で情事の最中を思わせる絡み合いをしている・・・・・・・・・・・


うわぁ、ろくでもねぇ・・・・・と場にいた男性陣は思ったのである。


「あらあら、これは・・・・・・・・・・・・聖徒王国の第二公爵と副宰相様じゃないですか!!なんとも・・・・・・・・・」

「まぁ、なんと大胆な構図で・・・・・・・・・・・・・漫画は作れなさそうだと諦めていたけど一枚絵でこれとは・・・・・・・・・・」


一枚目の菓子を取り出すとその下には二枚目が・・・・・・・・・・・

更に大胆な構図で・・・・・・・・・・・・・(地の文説明放棄)



地の文、仕事を放り出すのはよろしくないですわよ。(by文芸神)

これは芸術なのですから、口で表せないのは理解できますがそこを何とかするのが地の文の役割で御座いますわよね。(by芸術神)


いえいえ、これは芸術というよりも春画!


「確か呼ばれた異世界人って男だよなぁ・・・・・・・・」

「そっちの趣味でもあるのか?会うの勘弁願いたいぞ。」「わかる。」

「しかし、旨そうな菓子なのに絶対食べたくないと思うのは何故だろう?」

「そりゃ、ろくでもない絵が描かれているからだろう。」


口々に言い合う官僚達、係わり合いになりたくないようだ。

「私はどうもこの職場と水が合わないようだ、故郷に帰って畑でも耕す。」

「辞表出しても却下するからなぁ・・・・・陰険狸の宰相様はよ。」「禁酒令を出すなんて非道だし。」


そんな中、神秘緋金属張扇(オリハリセン)を構えた酒盛卿(現在、三席法務官)が菓子に向かって銀扇を振り下ろす。


ばりん!


菓子は砕けて食べやすい大きさになる。

「やはり、大きいから適当な大きさに砕かないと・・・・・・・・・」


「これは芸術なのよ!」

「勿体無いじゃない!これだけの力作を無造作に貴方人なの?」

「ごちゃごちゃ五月蝿い!」


BLクッキーを砕かれて文句をつける王妹殿下に忌々しき異世界人、何処吹く風で流している酒盛卿。

仕事に戻っていく官僚共、末王女は菓子が梱包されていた箱から一枚の手紙を見つける。


『遠く狭間の国に居る魂の姉妹達へ、私達聖徒王国の姉妹から自らの娘達(さくひん)を送ります。因みにこの作品の土台となるクッキーを焼き上げたのは異世界人で私の見立てではヘタレ受け属性だと判断します。彼について語り合えれば中々面白い話が降りてきそうでとてもとても楽しみにしておりますby聖女』




菓子もろくでもないが手紙もろくでもない。

勇者(笑)の印象が全世界的に悪化してしまいそうな一幕であった。

お盆進行の馬鹿野郎、客が居ないのに自爆するまで作るとはどういうことだ

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