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お菓子の家

厨房神殿教団


厨房神を信奉する者が集う教団。祭神は厨房神とその従属神。料理人や宿屋等に信者が多く、少数ながら美食家(グルマン)達にも信奉されている。

そのためか料理人の利益団体としての側面を持ち、食糧供給・流通等に力を注いでいて聖徒王国王都の食糧供給の3割は彼等の手が関わっている。故に食料供給を統制して利益を上げようとする王国側との水面下の争いもある。

死霊っ子たちがキラキラした目で眺める中で勇者(笑)は焼きあがった菓子を組み上げていく。

なんか貴族の子供らしいのが紛れ込んでいたり、厨房の小僧っ子もワクワクした面持ちで作業を注目している。

勇者(笑)も一度はやってみたかったのか目が真剣でなおかつ楽しそうである。


子供の頃に一度は思ったに違いない【お菓子の家】の製作である。

勇者(笑)に休みが取れたのをいいことに死霊っ子達を放置した詫び代わりにお菓子の家を造って楽しもうという魂胆である。


焼きあがったクッキーを冷ましている間に卵白を泡立てて糖蜜を加えてアイシンクを作る。

ここで以前制作依頼をした魔道具が活躍している。


勇者(笑)は魔力が強すぎるために小僧っ子に卵白の泡立てを任せている。その間にも細々とした屋根瓦だの柵だのをちまちまと作っている。ところで家の中のテーブルに椅子まで作っているのは無駄な技術の使いどころとこだわりであろうか?


「おにーちゃん、どんな家ができるの?」

「ベットも作って?」

ベットは別途制作中。


「うーんとね、森の中の小屋を想定しているかな。」

「勇者(笑)よ、城とかも作れるのか?」

「設計図を引けば作れないことはないだろうけど、城の設計図を用意してくれるなら・・・・・・・・・・・」

「わかった!侍女、城の設計図だ!」

「坊ちゃま、城の設計図は機密事項にございます。」

「むぅ・・・・・・・・・・・・・」

「まぁまぁ、実際の城の設計図は問題だけど城の形の図面を書き起こしてもらうのは大丈夫だろう。おれは作らないけど。」

「なんでだ!」

「面倒くさいから。基本的な作り方は一緒だから図面から型紙を起こしたら誰かに作ってもらえ。」

「おにーちゃん、だめなの?」

「けちー」


そもそも死霊っ子と貴族の子達が一緒くたにいることに疑問を感じていないのだろうか?

「死霊っ子が普通に受け入れられるとはさすが異世界だなぁ・・・・・・(棒読み」

勇者(笑)さん、地の文(わたし)の思考を読まないでください。


「まぁまぁ、坊ちゃまとお嬢様は乱入しているのが自分であることを自覚しておりますのでこの場である限りは勇者(笑)様の指示に従いますでしょうし、わがまま言ったらお菓子があたらないと理解してますから。」

貴族の嬢ちゃんは食い入るように菓子の家が出来上がる様を眺めている。涎涎・・・・・・・・


「お嬢様よだれが。」

「おっと、良い匂いさせて見ているだけというのはつらい。」


それはごもっとも。

坊ちゃんは生地の切れ端で作ったキノコの形をしたクッキーを一つつまみ食いしている。

「お兄様ずるい!」

「坊ちゃま、はしたのう御座いますよ。」


つまみ食いを窘められて頬を膨らませる御曹司、文句を言いつつも目はしっかりとお菓子に向かっている令嬢。仕方ないなと勇者(笑)はつままれても実害のない部分を与えておく。

死霊っ子達もふらふらと漂っていたのに菓子に引き寄せられていく。

「ぶはははははっ!勇者(笑)よ、菓子の献上ありがたく受け取るとしよう!」

「お兄様、一応勇者(笑)様は神官位を頂いていて私達より上の立場ですけど・・・・・・・・・・・・・」

「な、なんと!どうやって?神官位を幾らだ!幾ら積めば!」


ぼくしっ!


坊ちゃまの頭をはたく侍女。

「坊ちゃま、神官位は神々に任命されないとなれませんので幾ら神殿協会に積みましても取れないものですよ。それよりも神官様を買収して利用なされば複数からの影響をもたらすことができますよ・・・・・・・・・・・・・」

「おおっ!さすが侍女、良い知恵を持っている。」


子供に教える事じゃないだろうし、この場にそぐわない。

もっとも、勇者(笑)の場合は神々をドツキ回して泣かしまくって手に入れたものだから何とも言えないのだが・・・・・・・・・・


無邪気に生臭いやり取りをする主従に冷めた目で見る死霊っ子達。

「汚いさすが貴族様汚い。」

「ちょっと、そこのお化けさん!そこの腐れ主従と一緒にしないでもらえます。買収なんかしなくても貴族の立場からお願いすればよいだけなのに。」

「おばけじゃないもん!」

「でも死んでいるのにさ迷い出ているのだからお化けでしょう?」

「ひどーい!」

貴族の嬢ちゃんと死霊っ子の一人が言い合いをする。


実際お化けだろうと思った勇者(笑)だがお化けが嫌いな子もいたから口に出さない。


「妹よ、腐れ主従とは何かな?あくどい発想はそこの侍女の意見だろうが。」

「お嬢様、あくどい発想とは言わずに合理的な行動と称していただきたく、実際の話神官位を買うために神々に寄進をする金額に比べれば神官様の二人や三人くらいは軽く買収できますので。」



この小さな主とお付きの侍女の汚い会話は周りを引かせるに十分である。

これ以上聞いていたら死霊っ子たちの情緒教育上悪そうなので

話を戻す。


「坊ちゃん嬢ちゃん、あとは屋根をはめるだけだけどやってみるか?」

「「うんっ!」」


気をそらすことに成功。少なくとも子供が話す内容ではない、この貴族家では侍女の選定に問題がないか一度調べてもらいたいものだ。


「なにか?」


侍女さん、地の文に(略


略された!!


ああ、あまりに定型文だから略しても・・・・・・(by記録神)


なんと!大事なことなのに!大事なことなのに!!


うるさい、さっさと話を進めろ!(by記録神)


ううっ・・・・・・・・・・

勇者(笑)の提案で貴族っ子達も菓子作りに参加することとなる。

屋根の接着面にアイシングを塗り・・・・・・・・・屋根を乗せようとしたとき。


「勇者(笑)!今日のおやつは何かね?」

どぐしゃ!


いきなり入りこんで菓子をねだる東南門子爵、その声に驚いたのか屋根をつけようとして建物を壊してしまう貴族兄妹。

無残な菓子の残骸を前に涙目である・・・・・・・・・・・・


「うっうっ・・・・・・・・・・・ひどいぞ東南門子爵!お前が声をかけるから手が滑って全部台無しじゃないか!!」


涙目な貴族の嬢ちゃん、崩れて無残な有様の菓子の家・・・・・・・・・・・

呆然とする死霊っ子共、眼頭に指をあててどうしたものかと頬をひくつかせている勇者(笑)。


状況を察したのか子爵は回れ右をして

「ふむ、仕事を残していたのを忘れていた。失礼する・・・・・・・・・・」

逃げ出そうとしたのだが


「人の休日の苦労を返せぇぇぇぇぇぇ!!」


勇者(笑)の投擲した菓子が後頭部に叩き込まれるのであった。


がつん!




後日、貴族の兄妹は親である第四公爵に頼みこんで勇者(笑)に圧力をかけ(お願いしてもらい)菓子の家の制作の再挑戦(リベンジ)するのだがなぜか暇な貴族とその子弟達がぞろぞろと集まってきて菓子の家どころかお菓子の町が出来上がるのであった。


どんだけ作っているのやら・・・・・・・・・・(苦笑)


特に意味のない日常の話でありました。ちなみにその後子爵はこってりと油をしぼられるのでありました。

なお、壊れたお菓子の家は死霊っ子達がおいしく食べました。(一応ここ重要。)

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