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答えなくて

勇者である事よりも誰かの声を拾うことのほうが難しい。

それが届かぬほど弱い声であるならば。


極北戦士某

勇者(笑)は答えに窮する。彼自身何故に呼ばれたのかと言う事を思えば死んだ少女の問いと同じ思いを抱いているからだ。


「何故なんだろうね、俺も何故俺なのか知りたいよ。」

「おにーちゃんも?」


勇者(笑)の率直なボヤキに毒気を抜かれた生贄少女の死霊は小首をかしげて

「なんでなんだろうね?」

「そだねー、菓子持ってきたけど食べる?」

「食べるー!!」


貸しという言葉を聞きつけたのか他の生贄にされた子供達も

「ぼくもー」「ちょーだいちょーだい!!」「あたちも・・・・・・・」

と口々に寄って来る。


これが死霊でなければ可愛いものだけれど、等と言う者がいるだろうが異世界地球は正しく間違っている日本出身の勇者(笑)にとって死霊くらいは萌え化する対象でもある。

袋から菓子を色々出して


「たんとお食べ。」

お前何処の出身だ。

勇者(笑)は子供達に菓子を振舞い、子供達は群がってくるのである。


もぐもぐがつがつ・・・・・・・・・・


大量の菓子が消費されていく様は中々面白いものである。

所々見かけない子供がいるのだが、それはそれ・・・・・・・・・・


「おにーちゃん、この辺で屯している逝き損ないの子供達がこのときとばかりに食べているけど良いの?」

「ここにあるだけしかないけどそれで良ければな。其れよりも早く喰わないとなくなるぞ。」


明らかに一回り小さくなっている菓子の山を見て少女も慌てて突撃をする。

どれだけ持ち込んだのだとか、ドンだけいるのかと言うツッコミは端においておこう。

正確な数字は意味がないのだし、食べて満足した子供達の中には次の世界に旅立っていく者が居る。


おなかいっぱいだねー だの おいしかったねー だの

おにーちゃんありがとー

と言いながら消えていく子供達はやはり愛い者である。



感謝するぞ異界の愚かな若者よ。飢えて死んだ子供達を満足させてくれて・・・・・・・・(by冥界神)


「いえいえ、ちょっと多かったみたいでしたから。冥界神様も弔い手の皆さんも如何です?」


うむ戴こう。(by冥界神)


冥界神が菓子の一つを手にとって食べると弔い手達も手を出し始める。

弔い手に愚痴っていた死霊達もドサクサにまぎれて菓子の手を出しているのはご愛嬌だ。


「なんだろう、常識が・・・・・・・・・・・」

死霊少女が言うのはどうかと思う、君も世界の理から外れて留まっているのだから常識云々する立場ではないと思うのだが・・・・・・・・


「深く考えたら駄目だろう。異世界だし。」

「おにーちゃん、一応この世界は私が生まれ育った世界。神も亡者も人もゴタマゼに菓子を食うなんてことは常識の範囲になかったの!!」


少女に怒られる勇者(笑)、死霊少女に叱られる勇者(笑)(異世界人)十分すぎるほど常識の範囲外である。


「居残っている僕達が言うせりふじゃないよねー」「そだねー」

子供達のほうが理解している。子供って状況を受け入れていくのが早いなぁ・・・・


菓子を食べている亡者達も

ごちそーさん だの まんぞくじゃー だの さけもよろしくー だのといって旅立っていく。

勇者(笑)の菓子で一息つけたのだろうか、彼等に幸あれ。


「とりあえず、酒もよろしくというのはなんか違う。」

「まぁまぁ、勇者(笑)殿。笑い話として・・・・・・・・・・・」

「そうそう、皆満足して旅立っているんだから。笑顔で送ってあげないと。」

酒精神の信者でも混じっていた哉?(by冥界神)


この時だけで数十の魂が居続けたこの世界から旅立っていくのである。

飢えに苛まれ、理不尽に刈られ、銅貨よりも安く、石ころよりも無造作に散る事になった命であるのだが一片の菓子の施しで満足して旅路にいくのである。




「まだ菓子はありますか?」

声をかけてくる女性。彼女も死霊なのだろうか薄く透けていて、存在が希薄である。

「ここにある分しかないけど、皆もこの人に分けていいよね。」

勇者(笑)が問いかけると、死霊っ子共は気楽に

「いいよー」「たんなかったら勇者のにーちゃんが補充してくれるでしょう」「どぞどぞー」

「まだまだあるしね。」


女性は済まなそうに頭を下げると

「子供達に食べさせてあげたくて・・・・・・・・・」

とか細く言う。勇者(笑)は

「子供さんたちはここに?」

「ここにもいますし、みんな勇者(笑)様が食べていいって・・・・・・・・・・」

「うわぁい!」「おかしだぁー」「おいしそう。」


女性の子供と思わしき子供達が菓子に群がる。女性はそっと菓子をいくつか手に取ると群れから離れて・・・・・・・・どこかに向かう。

それに気がつかず、勇者(笑)は子供達(やはり死霊)に旨いかと言いながら自身は茶を啜る。

生贄側の死霊っ子共も子供達と混じって菓子を取り合ったり批評したりしている。

何処にでもあるような平和な光景。出来ればこの子達が生きている間にあったらなぁ・・・・・

等と思ってしまうのは感傷だろうか?

どうして死んだのかを聞くと彼等は巡礼の一団で聖徒王国まで来たのだが道中で食べた物が悪かったのか体調を崩し路傍の土となったのだと言う。そこで弔い人達が行き倒れだろうとこの地に葬ったのである。死して数日、最後に美味しい物が食べられて神様にもあったからいいかなと言っている。

大変だったなと勇者(笑)はいって菓子を更に進める。子供達は遠慮せずに菓子をつまむのである。


まぁ、子供達よ。もう少ししたら道を繋いでやろう・・・・・・・・(by冥界神)


「そう言えば女性は?」

「おかーさんは生き残った子にお菓子届けにいったよ。」「あの子も直ぐこっちに着そうなのにね。」

「こっち来て菓子食べれば良いのに・・・・・・・・・」


程無くして女性は戻ってきた。

「菓子を有難う御座います。ここにいる子達も満足しているでしょうし、残してきた子にもしばらくは食いつなげるだけ・・・・・・・・・・・って、きゃ!」

死して尚、子を案じる女性の肩を揺さぶる勇者(笑)。


「女性、子供は何処だ?保護するぞ!」

「勇者(笑)殿乱暴は・・・・・・・・」

「えっ!えっ!えっ!な、何を・・・・・・・・・」

「五月蝿い!弔い手さん保護の準備お願いします。生きているのでしょう。生きていて欲しいのでしょう!さぁさぁさぁさぁ!いくぞ!」

「いいのですか?見ず知らずの女の戯言かもしれませんよ。」

「戯言結構。嘘だったら不幸な子供がいなかったとお前を殴ってから笑ってやる。保護されておるならば無駄足じゃねぇかと愚痴りながら喜ぼう。此処でいうべきなのは『助けて』か『お願いします』だろう!死者の分際で粋がっているんじゃない!」


勇者は女性の首を揺さぶりながら場所を聞き出そうとする。

弔い手達は勇者(笑)を引き剥がそうと必死にしがみ付く者、子供の保護のために応急処置の道具を持っていく者、気にせず御菓子つまんでいる者は・・・・・・・・・・・同僚に殴られて準備にかかっている。


「勇者(笑)殿準備完了です。後はこの女性を連れて子供の保護と勤しみましょう。」

「ぶはははははっ!弔い人が人助け。今日はとてもおかしい日だなぁ。常識が覆るようだ。」

「死人の守り手が生者のために動くなんて明日は月が朝から拝めて夜にはお日様が出てきそうだな。げひゃひゃひゃひゃ・・・・・・・・」

「いえてるぜ。さて女性、お前には拒否権はない。拒否するならば強制的に案内させるぞ!」


【眠りの園】の側に付けられた馬車に乗り込むと女性をひきづって子供の保護に向かうのである。

直ぐに子供は見つかって保護される。女性と死んだ子供達は保護された子供に別れの言葉を告げると旅立っていくのである。


「御免ね、最後まで育ててあげられなくて。先に逝ってしまうけど貴女は慌てて後を追わなくて良いのですよ。」「じゃあな、兄弟。俺達の分まで生きろよ。」「土産話は一生分だよ。」


さて、逝こうか。逝って行って還って還らざる道・・・・・・・・・・・残った子供よ。我が弔い人達が異界の愚か者が良しなに取り計らってくれるだろう。安心して君の家族を旅路へと送り出すと良い。そして君も君の旅を続けるのだ。何時か会うときが来るだろう、そのときはゆるりと語らおう。(by冥界神)


冥界神は光の道を造り、女性とその家族達を導くように旅立っていく。

女性とその子供達は後を追うように行くのであるが、何度も何度も心配そうに振り返る。保護された子供は泣きたいのを我慢して手を振り続けるのである。

どれだけの時が経ったのだろう、光の道が消え亡霊達も神の姿もない何時もの場所に戻っている。


保護された子供は家族の霊を見送り終えると泣き始める。弔い人達はそっと抱きしめて慰めるのである。その後子供は弔い人達の後見を得て王都の孤児院に保護されるのである。孤児と言うのはつらいことが多いだろうけど元気でやっていて欲しいものである。




同時刻、眠りの園。

「勇者のおにーちゃん、すっかり私達忘れているね。」

「もぐもぐ・・・・・・・・・・ねーちゃんおかしなくなるよ。」


生贄にされた子供達は放置されているのだった。


そりゃぁ、いけにぇな。(by演芸神)


演芸神様、要らないオチはつけないでください。

適当に綴ってみた。これから仕事に行こう。

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