厨房の日常
冥界神殿教団
死者の守り神で冥界の管理者である冥界神とその従属神を祀る教団。
信仰者も葬送関係者が多く、彼等の業界団体としての一面も持つ。
意外な事に冥界を旅立つ者を祝福するという冥界神の一面からか産婆や医療関係者の信者もある。(尤もこの世界は多数の神がいるので複数の神々を信仰するのは珍しくもない。)
この神殿の神職は葬送を受け持つ技能神職集団【弔い手】をかかえ、葬送業務にかかわる物は教団に所属することを強要される。尤も、葬送に関する儀礼は兎も角死体措置に関する知識・技能を教授してもらえるため一方的な搾取とは言えず、どちらかといえば業界内の指導・管理に対外的な防波堤的な役割が強い。
目下の悩みは人が一度は世話になるのにイメージが悪いと倦厭されること。
神官位を渡された勇者(笑)、何処の神を信奉するわけでもないのだが神々の声を聞いて神々を窘める事が(物理的に)出来るから期待されているのだろう・・・・・・・・・・
というわけでもなく、口封じ代わりに身内のある程度の地位につけて置けという判断である。
信奉する神々が人の荷物を漁ってエロ本を読みふけるなんて・・・・・・・・・
外に出したくない、その場に居た者達には緘口令が出されているのだが事の重大さというよりは下らなさを・・・・・・・・・・・・・・療養神様、神殿協会議長に精神安定剤と胃薬を処方してください。
「にーちゃん、神官様ならば働かなくっても食っていけるんじゃ?」
「そうだな勇者、神官様になったんだからドンと構えないと。」
「といっても、依頼が神官になったと知ったら増えてきて・・・・・・・・・・・【神穿つ菓子】を希望するものがとか、【神官様の異世界菓子】なんて触れ込みで宣伝するものがいるものだから・・・・・・・・・・」
勇者(笑)の日常はあまり変わっていなかった。因みに宣伝しているのは貴族達で希望しているのは他国から巡礼に来ている他国の貴族やその家族である。国内の貴族達も自重しないで注文しているのは笑い話としておこう。
朝起きて、菓子作りをして、副宰相の事務仕事を手伝って、神殿協会に顔出して議長の愚痴を聞いて・・・・・・・・・・・文芸神を打ち据えて、芸術神を叩きのめして・・・・・・・・・・研究者と語らって・・・・・・・・
何時もの日常だ。
神々を叩きのめしたりするのを日常といわないように、自重しろ!(by節制神)
「勇者(笑)さん、神官(笑)様の方がよかったでしたっけ?泡立て卵白作り用の魔道具【回転泡だて器・名称募集中】の試作品が出来ましたが。」
「おおっ!見習魔道師!できたかっ!これで腕の筋肉痛から解放される。」
ういんういんとうねりながら泡だて器を回す魔道具を見て勇者(笑)はがしっと見習い魔道師の肩をつかみ感謝を露にする。
「にーちゃん早速使ってみようよ。」
当然のように勇者(笑)の手元となっている小僧っ子の声に我に帰った勇者(笑)。
「そうだな、まずは使い勝手を見ないと・・・・・・・・・・・・見習魔道師、氷を頼む。」
何時ものように氷を出してもらい、ふふふと怖い笑みを浮かべながら蜜を加えた卵白に【回転泡だて器・名称未定】を突っ込む。
うぃぃぃぃん!
いい感じに回転を始め、固めの泡立て卵白が直ぐにできる。だが、勇者(笑)の魔力だかなんだかのわけの判らない力を多量に供給されている【回転泡だて器・名前考えるのが面倒】が中身を飛び散らせながら猛回転をする。
ぶしゃ、びしゃ!と卵白を飛び散らせながら・・・・・・・・・そこらを汚す。
勿論勇者(笑)や小僧っ子、見習い魔道師の顔も・・・・・・・・・・・どう見ても(略)いくら地の文とは言っても其処まで説明したくない。
うーむ、これは事後・・・・・・・・・創作意欲が・・・・・・・・・・ぎょひょっ!(by芸術神)
これってさんぴ・・・・・・・・・・げひゃ!(by文芸神)
何処から湧いたのか文芸神に芸術神・・・・・・・・・・・・・即座に勇者(笑)の固焼き菓子の餌食になるのだが。
何の為に出てきたのだが・・・・・・・・・・
その後の掃除は大変だったと小僧っ子は言っている。壁や何かまではわかるのだが天井までとは・・・・・・・・・何処の若者の有り余る(略)
シモネタは自重するように。(by節制神)
失礼しました。
因みに掃除した後、小僧っ子や他の厨房の連中は普通に使えた。
「うーん、勇者(笑)様のために魔力供給上限機構をつけないと・・・・・・・・・・・・見た感じ、大魔道師といわれる方々と同等以上の魔力はあるから・・・・・・・・・・魔力吸収制限の式は・・・・・・・・・・・ぶつぶつ・・・・・・・・・・」
見習い魔道師は思索の海にもぐりこんでいる。その後半月ほど魔力制御の式について悩み続け、勇者(笑)向けの生活魔道具に関する原案を作るのである。彼の術式は後に数々の生活魔道具のために役立つのだが今の彼は知らない。
そうしているうちにも、焼きあがった菓子を狙って伸びる手が二つ。
そろっと、焼きあがったクッキーを掴んだ手は
あちっ!!
と複数の叫びを挙げてしまう。其処に向かうのは固焼きクッキー!!
ごつん!と複数の音がして頭を抱えてうずくまる。
畜生!【神殺しクッキー】が手に入るかと思ったのに!(by盗賊神)
無念、まさか焼きたてがこんなにも熱かったとは・・・・・・・・(by剣神)
痛みが抜けきらないのか子供の姿をした神が二柱、顕現する。
「つまみ食いする悪い子にはお仕置きだな。」
勇者(笑)の拳骨が両者の頭に叩き込まれる。神を殺すほどの威力はないが普通に痛い。
涙目になる、神々に勇者(笑)はクッキーを一掴みづつ袋に包むと二柱に差し出す。
「ほらっ!今回は呉れてやるから、今度からつまみ食いをしようとしないでちゃんと言いなさい!」
判った、礼を言うぞ!(by剣神)
素直に礼を言って受け取る(口調は上からだが神だから仕方がない。)黒髪の腕白坊主といった風情の剣神に対して、
畜生!今度こそお前のクッキーを盗ってやる!この盗賊神の名において!!(by盗賊神)
見抜かれたのが口惜しいのか捨て台詞を吐いてひったくるようにクッキーの小袋を奪い取って消えていく赤毛の盗賊神。彼は度々厨房に入り込んでクッキーを掠め取ろうとするのだが、この攻防は盗賊神が成功するまで繰り返されることとなる。お陰で勇者(笑)の気配探知が熟達するのは別の話。
成功した菓子が固焼きクッキー(対文芸神仕様)で歯が折れそうだったと泣くのはこれまた別の話。
「にーちゃん、あれなんだったの?」
「ただの通りすがりの神々さ。」
「神様って・・・・・・・・・・・・・・普通出てこないでしょうが!!」
「そんなものなのか?ここが俺の世界と違うから普通に神々がうろついているものだとばかり思ってた。」
「にーちゃん!!常識で考えてよぉぉぉ!!」
小僧っ子が頓珍漢な答えをする勇者(笑)に対して突っ込みの叫びを挙げる。
通りすがりの侍女さんは
「あらあら、今日は小僧っ子ちゃんが叫んでいるのね。」
と何時も通りであった。
そういう日常を繰り返し繰り返し続けていること数日。
「にーちゃん、こんな出来栄えで良いかな?」
焼きたてのシフォンケーキを前に評価を求める小僧っ子、一口つかみとって口に運ぶと・・・・・・
「よく出来たじゃないか!!」
勇者(笑)の評価に顔を輝かせて・・・・・・・・・・・・・
「やったぁ!」
とはしゃぐ。その声につられたのか厨房の連中も毟り取るようにして食べ
「旨いな。」「これなら勇者(笑)さんとタメ張れる。」「やったじゃないか。小僧っ子!」
等とほめながら食べるのである。
「これならば小僧っ子に任せることが出来るな。」
という勇者(笑)のお墨付きに
「本当!本当!じゃぁ、かーちゃんに報告してくる!」
と元気に駆け出そうとしているのを首根っこ掴む、親方。
ぐえっ!っと声を挙げて立ち止まる小僧っ子。
「まだ仕事中だぞ!それに報告するなら自分の成果を持っていけ!」
親方はまだ無事であるシフォンケーキを一つ、顎で示す。
「はぁい、親方。」
ちょっとはしゃぎすぎたのを自覚してかしゅんとする小僧っ子。
「まぁ、今日は特別に半休を呉れてやるか。今から帰ってかーちゃんのおっぱいでもしゃぶってな。」
と休みを許可する親方。なんだかんだいって甘いだろう。
「親方有難う!勇者のにーちゃん行って来る!」
小僧っ子はケーキを包むと其れを抱えて駆け出すのであった。
「所でさ親方・・・・・・・・・・・・」
「なんだい勇者のあんちゃんよ。」
「まだ、こっちの仕事残っているんだけど・・・・・・・・・・・・」
「はははっ!あの小僧っ子の顔を見て断れるわけないだろう。手伝ってやるから諦めろ。」
仕事言ったら直ぐに終わって早上がり・・・・・・・・・
酒でも飲もう。




