腐ってやがる!
神殿協会
人族連合の宗教統括組織。本部の所在は聖徒王国王都内。起源は魔王勇者時代に人族祖神が倒されたことによる。
人族は祖神を信仰していたのだが信仰対象が打倒された後、種種の神々を信仰して千千乱れることとなる。(それ以前にも人族祖神と並行する形で信仰していたのだが)それを収めたのが光明神と聖徒王国担当地方神を奉ずる聖女。
人族が信仰する神々を通してその代表を集め話し合うこと数十年、人族連合の王侯貴族の力を使ってとりあえず治安維持に問題がなければどの神々を信仰してもよいという【信仰心選択の自由】と【神々の尊重】という合意を取り付けるのである。
その後神殿連合は各教団間の連絡・調整組織となり、人族連合内の助言組織として機能するのである。
彼らの階位は単純で場の統括を行う【議長】と各教団の代表である【神官】、議長の下で事務等を行う【雑役】(最近では職員と呼ばれることが多い。)の三者に分かれる。(もちろん職位に関しては専門分野もあり多種多様に分かれる。)
信仰団体としての単位に【教団】・【神殿】がある。これはそれぞれの神を信仰する者たちで構成され、教団・神殿の区分けは拠点が単数か複数かという違いくらいであるがそれすらも微妙である。信仰する者たちの好みとか神々の趣味とかで決められたり、同一神の信仰団体でも国・地域ごとに神殿を作って代表を送っているとかという例も見られる。(国や地域ごとに神殿を作るのは職能神系の団体が多く神殿が職能組合の役割を果たしている、逆に民族神、地方神では神殿とか教団として統一されている。)
【教団】においては様々な区分があるが、長である者がいて渉外役である【神官】、その他【神職】に分類される。細かい分類については各教団ごとに制定されているのでここでは割愛する。
勇者(笑)は研究者に連れられて神殿連合に連れてこられる。土産代りに各種菓子を寄進物として用意するところが勇者なりの気遣いであろう。
そこでは雑役の者が様々な書類に塗れたり、色々な仕事をしている。
「受付さん、勇者(笑)殿をお連れしたからどこに連れて行けばよい?」
「勇者(笑)様の検査ですか、それでしたら裏の練兵場でお願いします。」
城を出て神殿協会の建物に入って数十秒、すぐ建物を出る。
建物を回るようにして裏に向かうと城で見た兵隊さんとは意匠を別にした装備をまとっている戦士達がいる。彼らは神殿連合の兵士達(通称:神殿兵)であるのだが勇者(笑)の検査には直接かかわりはない。聖女に頼まれた検査道具とかの運搬と組み立てくらいな物である。万が一勇者(笑)が暴走した時に止める役も兼ねているのだが、今回は出番がないだろう。多分。
事情を知らされているからか異世界人である勇者(笑)を物珍しそうに眺めるのである。
「あれが勇者(笑)って奴か。」
「黒髪黒目だけどそこらにいるとっぽいにーちゃんと変わらないな。」
「なんでも公爵達を舌で認めさせたらしいぞ。」
「城の兵隊に行っている兄貴から貰った菓子食べたけど涙出るほどうまかった。」
「ここの飯はまずいからなぁ・・・・・・」
「一応俺達は神のしもべだから贅沢は・・・・・・・・俺も食いたいな。」
「どう考えてもい世界から呼ばれた菓子職人だよなぁ・・・・・・」
「勇者って、名前だけ?」
「だから通称で(笑)が付いているんだそうな。」
「うわぁ!ひでぇ、たえらんねぇぞ俺だったら・・・・・・・・・」
「命名センス悪いんじゃねぇの?」
「でも名付けは聖女様。」
「うわぁ!俺終わった?(出世的な意味合いで)」
「大丈夫だ!今更始まりもしない・・・・・・・・・・(恋愛的な意味合いでも)」
神殿兵達は好き勝手言っている、勇者(笑)に聞こえているぞ。
「いくらなんでも本人前にして言うのは酷だよなぁ・・・・・・」
「当り前だろう、ほら見てみろ心折れて項垂れているぞ。」
「打たれ弱いなぁ、魔王倒せるんか?」
「そもそも休戦中で倒す必要ないだろうに、そんなんだったら俺たちが真っ先に全線送りだ。おれはまっぴらごめんだぞ。」
「そりゃ、そうだ!せっかく適当に過ごせる仕事にありついたのに忙しくなんてなってたまるか!」
「本当に第三伯爵のくそ親父は要らんことしやがってよ。そういえば奴の次男坊が副隊長していたろう。」
「引責辞任で王都追放だってよ。今頃山奥の礼拝堂を守っているんだろうよ。」
「うわぁ、悲惨。まぁ、おやじの権威を笠に着ていたから厄介払いにはちょうど良いだろうさ。」
ちなみに第三伯の次男坊氏は山奥の礼拝堂で自炊に目覚めて調理本を読みあさり、厨房教団の門をたたくのだがどうでも良いことである。
伯爵家の当主と召喚担当者は死罪、家に所属していた一族は貴族位没収の上、王都追放。家臣団もほぼ解雇放逐。さすがに下働きの者までは罪に問うことはないのだが職を追われて再就職に苦労している。
神殿協会や境界神教団からも斡旋はあるのだが。殆どは王都から離れていった。
その第三伯爵家の後継を誰がなるかということで微妙に揉めているのだが勇者(笑)にとっては他人事であろう。
勇者(笑)はうなだれている。
そんなこんなして兵隊たちがバカ話をして見物し勇者(笑)がうなだれてそれを研究者がなだめるという混沌とした状況の中、聖女一行が訪れるのである。
「あらあら、私の威徳が異世界にまで届いているのね。いらっしゃい、客人の勇者様。私が神殿協会の聖女です。」
一行の中から頭か布をかぶっているのかと思う女性が前に出て項垂れている勇者(笑)の前に出る。
「頭をあげ楽になさい。」
ちなみに兵士達も膝をついて礼を示している。腐っても(文学的意味合いで)聖女、権威だけはある。
聖女の姿を認めた勇者(笑)、面を上げると
「ああ、鬼畜眼鏡×渋面貧弱兄弟カプの絡み絵のクッキーを作成依頼した聖女様ですか?」
「違うわよ、弟×兄ですわ!そこは間違っても譲れないわ!」
「でも依頼書には・・・・・兄×弟で・・・・・・」
ふと何かを思い出した聖女、後ろにいるお付きの女性ににらみを入れると
「第一公爵令嬢、もしや貴女?」
「聖女様といえども譲れないものがありますわ。あの鬼畜眼鏡をひぃひぃ言わせるのが良いのではありませんか!」
「いえいえ、あの末生りを悶えて欲しがる様というのが・・・・・・・・(以下略」
(以下会話描写を削除。by地の文)
(聖女と令嬢の会話、地の文に効果抜群だ!)
ひどい会話である。少なくとも人前でする会話ではない。
かしこまっている兵隊達に勇者(笑)は聞いてみる。
「兵隊さん兵隊さん。」
「なにかね勇者(笑)殿?」
「あの二人は本当に聖女様とそのお付きなのですか?」
「・・・・・・・・・・・信じたくないだろうがあの二人は正真正銘の聖女様とお付きの第一公爵令嬢になります。」
「何で兄弟ホモにこだわるのだろう?あの二人に恨みでもあるのかな?あの二人は線が細くてその手の変態に受けが良さそうなのは理解できるけど。まさか王宮の女性まで腐教してないよね?されていたら逃げるよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・先の質問は単純に恨みは多少あるだろうけど経理の間違いをとことん突かれたとかその程度だ。鬱陶しがっても殺したいほど憎むとかは・・・・・・・後半の質問は王宮には寄らないからわからない。聖女や令嬢付とかの侍女辺りは手遅れかもしれない。ところでさ、頼みがあるんだが、お前の菓子が評判になっているんだけどこっちにも都合してくれないか?」
「今持ってきているのがあるから、あの二人の腐臭に塗れた会話が終わるまで我々だけで茶でも飲もう。」
「それは良い考えだ、処で聖女様の依頼受けたんじゃないだろうな?」
「まさか、俺には絵心がないから断ったよ、そうしたら公爵令嬢付きの侍女さんが来て、アイシングをとクッキーを持って絵描きしていたよ。」
「なんていうか・・・・・食べ物を粗末にするなんて、そんな腐ったものは食えないだろうに。」
「なんでも魔王領に送るとか。」
「まてまてまてまて!!そんなことしたら外交問題じゃないか!お菓子と思って開けてみたら男同士の絡み!うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!議長と公爵達に報告しないと!!」
あわてて駆け出す兵士!!
上が腐っていると下も大変である。普通上が腐っていると下も腐るのだが、文学的腐敗は下まで腐らせないのだろうか?
いや、聖女付の女性とか公爵令嬢付きの女性とかは十分腐教されて腐っておりますが知らないということは幸いである。
「聖女様!公爵令嬢!貴女達何を言っているのですか!」
「老女様!」
腐臭あふれる会話をしている女性二人に対して老婆が駆け寄ってくる!
そして怒声一発!
「あの第二公爵兄弟は二人とも受けじゃないですか!!」
だめだこいつら付ける薬あるのだろうか?
びゅん!(匙投げる音)
「婆さんあんたもかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「うるさい小童!異世界人だからって態度がでかい!」
「そうよ!へたれ受けの分際で!」
「そこだけは意見が合いますわね。相手は研究者当たりかしら。」
「彼の助手に見習いの小僧っ子がいるでしょ、かれじゃない?」
「ここは王城の兵隊さん達に色々と・・・・・・・・・」
「誰がへたれ受けだ!!」
「どっからどう見てもへたれ受けじゃない!がたがた言うと破門回状回すわよ!」
「回すがいいさ!別にお前らの神を信仰していないから破門される以前の問題だ!二度と菓子焼かんぞ。」
「くっ!そう来るのね!兵達、この異教徒を火炙りよ水責めよ、好みだったらやってもいいわ!」
「そりゃ横暴だろう!この腐女子!!「お前が仕えているくらいだから神も腐っているんだろうな!」
「な!聖女様と光明神様にまで暴言を吐くとは!何たる不信心者!兵達早くこの者を回しなさい!!」
低レベルな言い争いに回れ右をしてきかなかったことにしている兵達。関わりたくないとしらばくれている。そもそも、回しなさいって・・・・・・・・女性が言うことではないと思うのだが。
「破門よ破門!!その上で異教徒は火炙りよ!」
アホくさいやり取りが続けられている間、神職の一人が駆け寄って叫びをあげる。
「光明神様より神託です。『我をあんな腐った(文学的意味合い)のと同類にするな。あと聖女、我に断りなく破門回状を発行しないように。』との事です。」
「ふふふ、聖女様。お得意の権力が通じないようですな。訂正してもらいますよ、俺はへたれ受けじゃない普通に異性愛主義の肉食系だと・・・・・ あと勇者(笑)はやめろ!!」
「くくくっ・・・・・・・・へたれに屈するなんて、文芸神様、芸術神様お力を!!」
聖女が光り輝くと書物をもった女神と竪琴をもった女神の二柱が降臨する。
我言葉を言おう、異世界の者よ。汝は正しくへたれ受けである。(by文芸神)
「うるせぇぇぇぇぇ!!」
勇者(笑)は思わず持参していた固焼きクッキー(軍用品)を投げつける。
ごすっ!
クッキーは文芸神の額に当たり文芸神は額を抱えて呻いている。
「わざわざ出てきて言うことはそれだけかっぁぁぁぁぁぁぁ!!」
軍用クッキーを構えて勇者(笑)は吠える!
文学論争に神を降臨させる聖女の力量もさることながら、その神をクッキー一つで撃沈させる勇者(笑)も大概な者である。
それ本当に食べ物か?
「勿論だとも、美味しい美味しいクッキーだよ。良く噛めば顎の力が鍛えられる。」
地の文に答えないように。
このへたれ受けの分際で!(by芸術神)
クッキーを構える勇者(笑)に対峙する芸術神、懐剣を構えて聖女を守ろうとする老女に公爵令嬢。
あまりの馬鹿馬鹿しさに頭を抱えて信仰の危機に陥っている兵隊達に神職達。
神々の降臨と撃退の場面に慌てて駆け寄る神殿協会議長!と神殿兵の精鋭達!!
そこで議長の一喝が落ちる!!
「やめんかバカ者ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
勇者(笑)も芸術神も聖女もまとめて怒号に足をすくませる!!
空から雷が落ちて声が響き渡る!!
自重しやがれバカ者がぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ!!(by節制神)
詰らぬ諍いをしていた馬鹿者達はは皆神の雷を受けて焦げるのであった。
ぷすぷす・・・・・・・・
ふむ、脱線してしまった。
鰻でも食べながら酒でも飲むか。
ちなみに第二公爵兄弟がそのころ寒気をしたかどうかは知りません。
知らぬが仏という言葉もありますし。




