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甘味

聖徒王国の食文化について


聖徒王国地方は人族連合の内陸部に位置しやや冷涼で痩せた土地である。

古来より巡礼や政治目的で訪れるものは多数あるのだが、基本は腹を膨らませることにある。

主食は寒さに強い燕麦や大麦、その他雑穀の類を粥、若しくは強飯で食する。

野菜は取れる時期が限られているため、塩蔵、乾燥品を戻したものを良く食べる。

肉類は乳製品をよく食べるが肉自体は年老いたのを潰して食べるくらいである。

その他豆類を主食副食兼用で引き割り粥にしたり汁物の具として使ったり粉にして麺麭にするなどと利用法がある。



この地域の食物は人族発祥の地として多数の者が訪れたりしているが美食文化が花開くことはなかったといわれる。

痩せた土地で収穫高も制限されている状態でむやみやたらに飽食に走るものは反感を買いやすい傾向にあるからか、それとも節食粗食の文化が根付いているのか。

そんな状況なので甘味類は外国帰りの料理人が少量作るくらいであまり数も種類も多くない。


こんな笑い話がある。

とある聖徒王国の自由民が何を考えたのか西部平原国家で奴隷となった。

其れを見た旧知の者が買い戻そうとするのだが本人は頑なに断るのである。

訳を聞けば

「聖徒王国の自由民として広大な畑と格闘しても何時も食べるのは雑穀の粥にしなびた塩蔵肉の欠片。なのに此処では奴隷でも白い麺麭が食べられて優しい御主人様の元では肉でも魚でも存分に食べさせてくれる。俺は、国に戻るくらいならば此処で奴隷として朽ち果ててもよい。」

その後この奴隷は主人に気に入れられて奴隷から解放され下級官吏として一生を過ごすのだが、常に【聖徒王国の自作農よりも○○の奴隷のほうがよい】等といっていたのである。

宴席は続く。そして厨房は大忙し。

ここは勇者(笑)が率いる菓子製造部門。


「勇者(笑)様菓子が足りません。」

「にーちゃん、参列者の方々の消費量半端ないよ!侍女さん達の・・・・・・・・・・軽食まで・・・・・・・」

「そっちは後で埋め合わせする。どうせ侍女さんたちも最近菓子の食べすぎでふと・・・・・・・・スイマセンスイマセン、太ってないです。個人的にはもう少し肉付きがよいほうが抱き心地と言うか・・・・・・・・・」

「勇者(笑)様・・・・・・・・・・女性陣を敵に回すのは流石勇者ですね。僕は真似できないけど。」

「まぁ、勇者(笑)様ったら、オトコノコなのね。ぽっちゃりとした女の子が可愛いと言うなんて・・・・・・・・」

「私達もう少し肉付いたほうが宜しいの?」


侍女さん達、さほど大きくもな・・・・・・・・・・いえ、さわり心地のよさそうな手頃なサイズの胸に手を当ててむにゅむにゅするな。厨房の男性陣前かがみだぞ。

一部大丈夫なツワモノもいたが男色趣味なのか枯れているのかはさて置く。


それよりも、宴席の菓子のほうは大丈夫なのか?

「はっ!こうなったら・・・・・・・・・・洒落で作ったクッキーを・・・・・・・・・・」

「おい!流石にそれは洒落にならないって・・・・・・・・・・・」


勇者(笑)が出しのたのは人型のクッキー。適当に更に配置して、其処に赤い果実のジャム。

さながら殺人現場風である。


「うわぁ・・・・・・・・」

「なんか、食べにくいんだけど。」

「侍女さん要らない?」

「・・・・・・・・・・・・一つだけ・・・・・・・・」


かりっ、

人型にくりぬいたクッキーにアイシング(着色したメレンゲ)で色付けし二度焼きしたクッキーにこびりついた赤いジャム。見た目の凄惨さは兎も角、味は旨いのである。


「これでおいしいのは反則だわ。」

ジャムつけてクッキーを齧る侍女さん達、貴族様に持っていく分はどうした?


「まずいまずい、こっちも給仕とか客室の手配とかで、お腹空いているから余計に美味しく感じちゃう。って、こっちのはきゃーーーーーー!!」


虫型・・・・・・・・しかも台所によく出てくる古名油虫(イニシャルG)形の焼き菓子である。ご丁寧にも艶を出すためにゼラチンを塗っているのが憎たらしい。


「勇者(笑)様、流石にこれは・・・・・・・・・・」

「うん、これは油虫じゃないよ、コガネムシだよ。鍛冶師さんに金型お願いしたんだけど微妙に細長くなってしまって他にもカエル形、子犬形もあるよ。」


ずらりと出した動物型のクッキー。

実は見習の小僧っ子が練習用に作っていたものである。金型は見習鍛冶が親方の許可を得て練習がてらに作ったものである。


「小僧っ子、腕を上げたじゃないか。今度一人で全工程やってみるか?」

「いいんかい!勇者(笑)のにーちゃん。」

「但し、コガネムシ形(仮称)はやめておけ。」

「えー!」

「あれは、内々でお前らのダチとだべるときにでも用意すれば良いだろう。」

「そうする・・・・・・・・って、にーちゃん、それは流石にまずいだろう。」


勇者が仕上げにかかっているのはお椀形のプリンの頂点に木苺を飾っているのである。

白いプリンに木苺一つ。それが二つ連なっているのである。


「何が不味いって?美味しいプリンじゃないか。侍女さん達どんどんお願いします。」

「勇者(笑)様、シモネタですか?」


それには答えがなかった。

その傍らでは冷却魔法を連発しすぎていたのか宮廷魔術師見習の少年がへたり込んでいた。



「これで一息つけるだろうから、俺たちも一息入れよう。」

勇者(笑)は切れ端やあまり物の菓子を蒸留酒風味のシロップに浸すとクリームをどばどばとかけてドライフルを軽く作って、飾り切りとかの残りの果物を飾るのであった。


厨房の別の場所では前菜のあまりだの肉料理の肉汁を溶きこんだオムレツとかが用意される。

他の部門もそれなりに終わったようだ。


厨房の片隅では男達が食事を始め、その臭いをかぎつけたのか侍女さん達も交代でつまみに来る。

あまり物と称して一番旨い部分をせしめていたりするのは料理人の特権である。



「うめぇね、固焼きのクッキーに色々乗せたものとか飾れば宴席に出せるんじゃね?」

「料理長、貴族連中は俺たちの出汁ガラをありがたく喰っているんですかね?このオムレツウメェ!」

「滅多な事いうんじゃない。彼等が出汁ガラを喰って処理してくれるから俺達はこのオムレツにありつけるんだから。」

「勇者(笑)、しっかし、このドライフルというのは色々仕込み甲斐のありそうな料理だな。」

「まぁ、クリームの代わりに卵と乳で絡めて焼き上げるのもいいな。」

「ほうほう、プティングという奴だな。」

「そうそう、こんどやってみる?」

「それは面白そうだ。今日のあの人型のクッキー、ちょいと趣味悪くないか?」

「いや、元の世界だと男根形で中に赤いジャムを仕込んだのを作っている馬鹿もいるし目玉形の菓子だとかいろいろ・・・・・・・・」

「旨い物をどうして其処まで遊ぶかね?」

「洒落で。」





遠く宴席では

「赤いジャムがなんとも悲惨な光景なのに・・・・・・・・・何で旨いのだろう。」

「普通にジャムを別添えで出せばよいのに・・・・・・・・・・・なんかの殺害現場っぽいのが悪意を感じる。」

「あらあら、こっちは子犬形、あれは子猫形?可愛らしくて食べるのが勿体無いわ。」

「こういうのって頭から食べるのかしらそれとも尻尾から?」

「色々な形があって面白いですわね。なんか子供の頃に帰るみたいですわ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・きゃー!ゴキブリ!クッキーの中に!!」

「うわぁ! って、これ菓子で作ったものかよ。」

「なんか製作者が裏で笑っているのが見えそうだな。」

「仕方ないさ勇者(笑)だから、副宰相に休み無しでこき使われて終わったと思ったら菓子作りだろう。切れないほうが可笑しいさ。」

「だからってこの菓子は悪意を感じるぞ。」

「勇者(笑)様は皆様方の健啖ぶりに手が回らなくなって冗談で作ったものまで拠出する羽目になっただけです。」

「このゴキ・・・・・・・が冗談ねぇ・・・・・実に旨い。一番手が込んでいて美味なのがとてもとても苛立たしい。なんと言う技術の無駄遣い。侍女君、後で勇者(笑)を殴り飛ばしておいて貰えるか?」

「其れを致しましたら、私共に菓子を作ってもらえなくなりますので命令に応じかねます。」


赤いジャム付きの人型クッキーだのコガネムシ(仮称)形クッキーだの悪意を感じる構成だが、美味しいは正義!なのだろうか、それなりに消費されている。コガネムシ(仮称)形クッキーは単純に取り忘れただけなのであるが。


ぱりぱりぱりぱり・・・・・・


って、言うか彼らは良く食べる。

食事として甘味はあまり重視されていない風土からか甘味というのはある種ハレの食べ物と言う思われているので其れを大量に出されるのは思い切り非日常的なのだろう。


次の日ご婦人達のお肌に吹き出物ができるのは知ったことではない。因みにニキビと言わないのはご婦人達の大半がうわぁぁっぁぁっぁ・・・・・・・・・・・


(地の文粛清中)


「失礼致しますわね。地の文の分際で私達の年齢について揶揄するなんて・・・・・・・・・・」

「所詮端の分なのですから女性の価値は30からだと言うことに気がついていないのですわ。」

喧々囂々。



「なぁ、地の文。生きて居るか?」

ええ、なんとか。

「なんとも無用心なことだぞ。ご婦人方の年に言及するなんて・・・・・」

不覚を取りました。

って、地の文と普通に会話しないで・・・・・・・



地の文が粛清されている間に侍女さん達の手によって双山プリンが運び込まれる。

白いプリンに木苺の飾り、それが二つ連なっているとなれば誰もが思うだろう。



おっぱいと!!


其れを見た会場の者達はおもった。

「流石に狙いすぎだろう。」


其処には冷たい風が通り過ぎるだけであった。


「これは私達に対する挑戦なのかしら?」

スレンダー(ないちち)な女性からの声が聞こえる。

その二つの山が羨ましいからって・・・・・・


げふっ!


地の文は粛清されました。

粛清するのは勇者(笑)だと思うのだが・・・・・・・・

書いた話がパソコンがフリーズして消えてしまった。

新しい話も菓子の話ばかり。

お菓子い・・・・・・・・・・

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