表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/152

後悔の薊

紅鮭硬貨


【紅鮭伯国】は金属細工で高名な場所である。

数多の細工師達がその地に生まれ数々の作品を生み出していくのであるが、その中で造幣活動で高名な者が多数生まれ今なおその作品が流通しているのである。

元々、この地は交易拠点として栄え【人族連合】と【極北連合】の緩衝地帯として成り立っているのだが【霜降国】より豊富な金属資源を拠出され、近隣群落より燃料なる泥炭その他を受け取る事が出来る地の利を生かし金属細工に高名となるのだが他国より硬貨の鋳造依頼を受けその名を世界に轟かせるのである。

代々の鋳型師の無駄に洗練された無駄に力のこもった無駄のない鋳型により世界通貨の基準とされるのである。


本来ならば色々使い込めばもっと良いものができるのだが制限された中での硬貨鋳造は彼等の変態的技術向上心を刺激するらしく年々無駄に凝った硬貨が生まれるのである。


【紅鮭港】のにおいは魚の匂いのする【寒鱈港】に比べると煙の匂いがする。

久方ぶりの陸に上がった勇者(笑)は同じ港町でも場所によって匂いが違うものだなということを思った。続いて降りてくる孤児っ子達は広く動かない地面で体をほぐすかの如くに大きく伸びをしている。

久方ぶりの陸を満喫している船客達の背後では船員達が地元の荷役夫を使って荷物を降ろしているのである。


「そっちの袋は紅鮭伯の注文の品だ!ひどいことするなよ。明日から俺たちこの街にいられなくなるぞ。」

「わかった、そっちの樽は?」

「それは俺達が飲んだ後だ。空き樽だからそこらの醸造業者に売って小遣い稼ぎだ。」

「ひのふのみの・・・・・・・・どんだけ飲んだんだよ」

「たかが50樽。」

「極北の連中がいれば納得というが飲みすぎだぞ。」

「船の中で別嬪な醸造家の姐さんがいてな、船の中でも醸してくれていたから実質・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・海の兄弟、船の上は暇だからって飲んでばかりいると体に悪いぞ。あと別嬪さんならば俺に紹介しろよ。」

「陸の兄弟お前にだけは言われたくないぞ、一夜一樽なんて無茶呑みするのに・・・・・・・・後、姐さんはあそこで神官様と一緒にいるぞ。」

「おおっ、本当に別嬪さんだな。俺もかかあがいなければ・・・・・・・・・・」

「兄弟、取敢えず賄いに女房がいる事実を認識しておかないと・・・・・・・・・・」

「なんでぇ、そんな当たり前なことをいまさら?」

「後ろを見てみろ・・・・・・・・・・」

背後には荷役夫の女房殿(港湾作業員の賄担当)が・・・・・・・・・・・・・・・・いい笑顔で仁王立ちしていた。

彼に幸あれ。




陸に降りた極北の連中と共に今宵の宿は何処だろうかときょろきょろしている勇者(笑)。宿自体は船乗り酒場のそばに彼等の仮眠所を兼ねた宿が用意されている。聖徒王国の貴族様である人日卿や神官(笑)である勇者(笑)の為に貴賓室というほど立派ではないが個室も用意されている。

船乗り酒場で食事をとって夜はそこで眠る、船団が提携している宿で寄港するときに客達を其処に置いておけば色々面倒がないと・・・・・・・・・・・・・・下手な宿で身ぐるみ剥がされたりとか売り飛ばされたりした日には信用問題にも関わる、あとは宿の手配とか・・・・・・・・・・・・気難しい貴族様なんか下手に雑魚寝させたら首が飛びかねない(物理)


「ところで勇者(笑)だけじゃなくてなんで神官(笑)までつくんだ?」


だって、神官らしいことしているか?後、地の文に(略)


「神官さん地の文に突っ込みいれるのはいけないんだよー」

「話が進まなくなるって怒られるよー」

「孤児っ子達の突っ込みどころってそこっ!」

「だって地の文さん色々突っ込みいれられたってしくしく泣いてうっとうしいんだもん。」

「バカなことやってないで宿に行くよ。」

「はいよ、姐さん。」

地の文談義でバカなことを言い合っている孤児っ子に勇者(笑)を引き連れて姐さんは宿へと向かうのである。港から歩く事暫し、倉庫街やら商業地から少し外れたところにある宿に向かう。

極北戦士達は体がなまっているからと荷役を手伝っている。実際の話、極北からの品物を自ら運んで売りに行っているだけなのであるが。


宿に着くと話が通っていたのかすぐさま部屋に案内される、神官である勇者(笑)に女性である姐さんには個室が与えられ孤児っ子達には大部屋が用意されている。

部屋を確認して街を散策しようと勇者(笑)が受付に向かうと人日卿も宿に到着したようだ。

「すでに宿の用意があるとは・・・・・・・・・」

「騎士様、うちの宿は船団と提携してまして船団が来る予定日にはある程度部屋を空けておくのですよ。船団のお客様だけで十分成り立ちますし・・・・・・・・・・・・そうそう、食事は隣の建物が酒場になってますのでそちらでどうぞ。」

「世話になる。おおっ!勇者(笑)も来てたか。」

「人日卿も用事は済んだんで?」

「とはといっても手紙を出して旅費を用立ててもらうだけなんだがな。」

「旅費を用立て?」

「我が国と付き合いのある商会があるので金を用立ててもらって本国のほうに請求してもらうんだ。まぁ、【極北連合】と【荒野の民】が旅費自体は出してくれるからこっちの個人的な費えを用立ててもらうだけなんだがな。あとは小僧っ子の給金とか諸々」

「やっと給金もらったよ・・・・・・・・・・って、おいらまだ下っ端のまま?」

「若いうちから大金を持つとダメになる。むしろこんなに時間かけて旅していて解雇されないことをありがたく思え。」

「それを言うなら人日卿も・・・・・・・・・・・おいらのせいじゃないし・・・・・・」

「そういうことで騒動は無だからな勇者(笑)。死霊っ子供も街の中では外に出すなよ!」

「えー!横暴だよ!」「無害なのに!」


人日卿の刺す釘に死霊っ子が文句を垂れる。突然現れた死霊っ子に街ゆく人もびっくりとする。

「わかったから姿消しとけ、そこの婆さんが腰抜かしているだろう。」

いきなり現れた死霊っ子に腰を抜かした婆さんに手を貸して立たせてやりながら人日卿が再度釘をさす。

あまり効いていないようだが。


「姐さん姐さん、俺達って死霊っ子がいるのが当たり前だと思っていたけど・・・・・・・・・・」

「世間じゃ死霊が怖いものだと思われていることを覚えておきな。」

「わかった。」

「神官さんほど非常識じゃないから大丈夫。」

「其れよりも街行ってみたい!」

「そうだね、出航が明後日だからぶらついてみるかね。」

孤児っ子達も姐さんも船の中で縮こまった体を伸ばしたいようで散策に向かうようだ。

とは言え、商業地のはずれで商会の現地事務所くらいしかないので見る物がない。絶景奇景の類もなく神殿参りか市場巡り位になるのであるが土地土地の物を見ていると十分に楽しめる物である。【寒鱈港】と文化的に等しい【紅鮭港】であるが【霜降国】から来る種々の素材を基に細工物が有名で【霜降細工】が日常の道具とするならばこの地の細工物は観賞用といえる。この地の細工物を購うだけの金銭は持ち合わせていないが見ているだけでも楽しいものである。商店等を買いもしないのに覗き込むのは不作法なので公開されている神殿で細工見物と洒落込む予定である。

一応は神官である勇者(笑)も土地土地の神殿には挨拶の一つくらいしておかないと・・・・・・・・と言う事で姐さんやら孤児っ子達やらと連れ立って神殿参りと向かうのである。


歩くこと暫し、この世界に来てから歩くことが多くなったなと少し引き締まった体を動かしながら勇者(笑)は神殿へと向かう。所々に細工師達の工房からであろうか金属音が木霊するかのように街の音となっている。

時折工房の見本を見せる為だろうか様々な材質の看板に刻まれた細工は自らの腕を誇るようでもあり街並みに彩を与えているようでもある。

「姐さんこの地は何が有名なの?」

「そうだねぇ・・・・・・あたしも一度道具の買い付けに付き合ったことくらいしかないけど細工物だね。特に金貨銀貨の鋳造技術は見事なもんだよ。」

「そう言えば銀貨にも色々模様があったけどその中のどれかは【紅鮭港】で作られたのかな?」

「ここでお金作っているんだ、すごーい。」

「となるとお金作っているのが一番お金持ちなのかな?」

「そりゃ違うだろ。材料の金を持っているのが一番お金持ちなんだろ。」

「でも、金じゃお腹は膨れないし・・・・・・・・・食べ物?」

「うーん」

「色々な細工のされた金貨を見物してみたいものだな。」

「流石にそれはないんじゃないのかな?金貨の収集なんてどこの大金持ちの趣味よ。」

「でも、金貨の種類知らないと取引で偽物掴まされない?」

「そういう見方もあるか。此処の金貨を手に入れる事ってめったにないからあたしら庶民には関係ないね。」

「一つ手に入れたらとっておいたりしそうだな。」

「姐さん、なんかお金と言うより美術品扱いだね。」

「違いないね。」

「そういえば【紅鮭港】産の銀貨だったらいくつか選別にもらったけど・・・・・・・・」

「赤薊、どんなんだ?」

「酢の実の族長さんがくれたんだけど・・・・・・・・・鎚を振るう極北戦士の絵柄とか跳ね上がっている鮭とか『聖なるかな我等人族』と刻まれているものとか神官さんが給金として呉れたものの中にもあったよ。」

「なんか最後の文字のは【聖徒王国】でよく見かけたやつだったがここで作られていたのか・・・・・・・・俺がくれたやつのどれがそれなんだ?」

「馬に乗った騎士の図柄がそうだよ。なんでも昔々に【北方諸侯連合】の議会設立の為に駆け回っていた【抜かず三発】と呼ばれる騎士様を模したものらしくって・・・・・・・・・・・」

「【抜かず三発】ねぇ・・・・・・何百年も前の偉人じゃないか!」

「ねぇねぇ、姐さん【抜かず三発】ってどんな人なの?」

「うーん、当時の王様を追い払って諸侯議会を設立して初代の議長を務めたくらいしか知らないねぇ・・・・・・通称である【抜かず三発】の理由はわからないね。」

「【抜かず三発】と言えば・・・・・・・・・・・」


勇者(笑)が何か思いついたようだが口にはしなかった。賢明なことである。


流石にそれを口にしたら色々敵に回すことになるだろうし(by節制神)

どんだけ盛んなんだろうか?豪傑というべきか。(by性愛神)

いやぁ、すごいですわ。そんなにされたら壊されそうですわ。(by文芸神)


そこに食いついてくるのか・・・・・・・・・・・・文芸神様・・・・・・・・

何か言いかけたのを察した姐さんだったが口にしなかったことで見逃すことにしたようだ。

そんな雑談しているうちに神殿につく。この神殿は寒の神々に雪の神々を祀る神殿で他の神々の聖印を礼拝所に飾られているがなんかごたまぜの一緒くたである。隣に商館っぽい作りの商業神殿があり、逆隣りには鎚打つ音が絶えない工芸神殿がある。町の規模からしたら大きな気がするが整えられた樹木や綺麗に掃き清められている敷地に人々が出入りしているのを見て町に愛されているのだなと勇者(笑)は判断したようだ。


神殿に入ると神々への礼拝を行う。極北の民である孤児っ子達は多少違う作法に戸惑っているが神官(笑)である勇者(笑)の真似をして祈りをささげる。

神々とは寛大である、多少の作法の違いなど気にも留めず等しく愛しい子等を見守るのみである。祈りの心とその者の行いを神々は愛する。愛が暴走しすぎる神々が多少見受けられるのは突っ込みを入れてはいけない。

「弟妹分に幸いがありますように・・・・・・・・・・・・」

「神様神様、ぼくたちの作るお菓子をつまみ食いする悪い神様がいるんですけど何とかしてください。」

「孤児っ子、それをここで祈るか・・・・・・・・まぁ、子供らが自らの糧として作る菓子を守りたまえ神々よ。」

「小僧っ子、それじゃ一緒だって。神々に願い奉る、力ある神々に願い奉る、理性ある神々に願い奉る。寄る辺ない幼子の菓子を取り上げるような理不尽が世から無くなりますように・・・・・・・・・・・・」


一緒である。

礼拝所で祈りを捧げている勇者(笑)達を異国の神官と巡礼位程度にしか思っていなかった当地の神職に啓示が下りる。彼はその内容に顕わにするのを躊躇うが隠しきれる物ではないと言葉にする。

「異国の者よ。神の御言葉を伝える。『美味しいのだから仕方ないだろう。by大雪神』だそうです。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「そ、そんな冷めた目で見ないで下さいよ!私だってこんな言葉伝えるために・・・・・・・・・・・」


神職殿は信仰の危機に陥ったようだ。彼の魂の導きはどこに求めればよいのだろうか?

「神職さんは悪くないよ・・・・・・・・・・・・これでも食べて元気出して」

孤児っ子がどうでも良い神託を受けて落ち込んでいる神職に対して菓子を差し出す。

「・・・・・・・・・・ありがとう坊や。むぐむぐ・・・・・・・・これはっ!美味っ!」

そこで別の神職が

「神々よりお言葉がありまして『道に惑う我らが子よ、彼等の作る菓子は我等が自制を忘れるほどに美味なのだ・・・・・・・・・・・つまみ食いしても殴るではない。by小寒神』ということです・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


神職達は絶句している。自らの信奉している神々が幼い子供の菓子をかすめ取っているなんて・・・・・・・・

一人菓子をつまんだ神職が

「つまみ食いしたくなるのはわかるが・・・・・・・」

と納得半分呆れ半分の微妙な表情をするのである。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なぁ、赤薊、あたしついてきてとても恥ずかしく思えてくるのはなんだろう。」

「姐さん、俺に言わないでください。」

神々からの言葉というのが情けない内容で祈りの当事者となれば何祈ってやがるンだこいつとばかりの視線を周りから受けて居た堪れないのだろう。


「異国の神官殿、話をお聞かせ願えますかな?」

神殿のお偉いさんと思われる神職が一行の前に現れた。

その後【西の凍らず】での神々の乱行(つまみぐい)が明らかになると

「その件はくれぐれも内密に・・・・・・・・・・」

と重ね重ねお願いされるのである。

「とはいってもいろいろ広まっている気がするけど・・・・・・・・・・・・」

と赤髪薊がいうとお偉いさんは絶句して頭を抱え始めるのである。


神職さん達ガンバっ!(by処暑神)


あなたがそれを言う・・・・・・・・・・・・



取り敢えず綴りあがった所までw



酒が切れたので寝る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ