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ラウ・ファミリア ~正しさよりも、共にある温もりと優しさを~  作者: 言ノ悠
第二話 パーティの行末、そして日常
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「……未来、か。なんでそう思った?」

 ジンガは小さく息を吐き、問い返した。

 パーティを結成してから今日まで、未来のことを考えなかったわけではない。

 だがしかし、ミササギから指摘されるほど露骨だとも思っていなかった。


「アストレイに、オルトリア。短期間で二人も仲間を増やしていれば、嫌でも伝わるさ」

 最初は六人だけだった。それが、この一月あまりでさらに二人も迎え入れようとしているのだから。


「そこまで深くは考えてないんだけどな」

 ジンガは肩をすくめ、小さく笑みを浮かべた。

 だが、その声音にはどこか言い訳めいた響きが混じっていた。


「少しでも仲間は多い方がいいかなって、そう思っただけなんだよ」

 さらに続いた言葉は軽口のようでいて、どこか切実さを帯びていた。


「……仲間、か。俺たちだけだと不安か?」

 ミササギは欄干に肘をつき、横目でジンガをうかがった。

 声音は淡々としていたが、その眼差しには探るような色が宿っていた。


「不安だよ」

 ジンガは星空から視線を外さず、短く答えた。

 吐き出した言葉はあまりに率直で、夜気に溶けるように静かだった。


「どうしたら、その不安は解消される?」

 ミササギの声音は柔らかさを欠き、真っ直ぐに核心を射抜いていた。

 それは慰めでも同意でもなく、ただ答えを求める問いだった。


「今にあぐらをかかずに、強く在れるように生きるしかない」

 ジンガはそう言いながら、心の奥で「何も失いたくない」と思っていた。

 時が経てば誰かが傷つき、何かが失われていく。それが自然の摂理だとわかっている。

 ――それでも、失いたくなかった。できる限りの幸せと平和を、この手で守り続けたいと願っていた。


「それが仲間を増やすことだって?」

 ミササギは首を傾げた。自分が強すぎるがゆえに、その考えが腑に落ちきらないのだろう。


「俺にとってはな。人と関わるのが好きってのもあるけどさ」

 ジンガは肩をすくめるように笑った。

 彼にとっての強さとは――個人の腕っ節ではなく、多勢に無勢という言葉があるように、いかに多くの人と手を取り合えるかだった。


「なるほどな……」

 ミササギにも理解できる理屈だった。

 だが、それを真に実感したことは、これまで一度もなかった。


「だから、タイミングさえ合えば、仲間はできるだけ増やしていきたいと思ってる」

 強引に誘うつもりはないし、仲間割れを望んでいるわけでもない。

 だが可能性があるのなら、その先へと歩を進めたい――ジンガはそう考えていた。


「ジンガの目的や、見ている先は何となくわかった。だが、この屋敷だけだと……仲間をそんなに増やせないんじゃないか?」

 空き部屋はあと五つほど。

 今のジンガの言葉に感じた温度感にしては、些か余白が足りないように思えた。


「あー……やっぱりそう思う?」

 ジンガは後頭部をかきながら、気まずそうに笑った。


「……なんでそういう所は考えなしなんだよ」

 ミササギは呆れ半分、諦め半分といった顔を見せる。


「いやあ、まだすぐに人がいっぱいになることはないかなぁ……なんて」

 ジンガは苦笑を浮かべ、視線を逸らす。どこか子供のように言い訳めいた声音だった。


「いや、お前。もう二部屋埋まってるんだぞ。その事実を直視しろ」

 ミササギは眉をひそめ、低い声で言い放つ。叱責というよりも、現実を突きつける真剣さがあった。


「……うっ」

 ジンガは言葉に詰まり、口元を引きつらせる。反論できず、肩を小さくすくめるしかなかった。


「どうするつもりだ」

 ミササギは真顔のまま問いかけた。


「正直に言えばさ、まだ話す気は全くなかったんだ」

 ジンガは視線を落とし、苦笑ともため息ともつかない吐息を漏らした。


「だから、全く考えてない。部屋が全部埋まってから話せばいいかな〜くらいにしか」

 肩を竦め、気楽そうに笑う。


「……つまり、考えなしってことか」

 ミササギは額に手を当て、深く息を吐く。眉間には自然と皺が寄っていた。


「今度でいいから、ミレイと三人で話す時間を取ろう」

 ミササギはまっすぐジンガを見据えながら言った。


「そうだな。急ぎってわけじゃないけど、話した方がいいよな」

 ジンガは視線をそらし、少し照れたように笑った。


 それからしばらくの間、本当に他愛もない、どうでもいい話を交わした。

 夜風に揺れる笑い声を残しながら、二人はやがて室内へと戻っていった。


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