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ラウ・ファミリア ~正しさよりも、共にある温もりと優しさを~  作者: 言ノ悠
第一話 パーティ結成、そして事件発生
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 茜に染まる空は、すでに夜の気配を含み始めている。

 街門を抜けると、斜陽を遮り影を落とす馬車の姿が目に入った。ジンガは迷いなく足を進め、ミササギとアストレイもその後に続く。


「おかえりぃ。また黒い服の人が増えるんだね」

 馬車の中から顔を出したミレイが、おどけたように声をかける。ジンガもミササギも漆黒の装備に身を包んでおり、そこへアストレイの黒いローブが加われば、そう言いたくなるのも無理はなかった。


 その後すぐに、ミレイの視線はジンガの腕に抱かれた子供へと移った。

「その子は……連れ帰ってきたってことは、生きてるんだよね?」

 問いかけと同時に、馬車で大人しく待っていたレイラとエリシア、クルスの視線が一斉にジンガへ注がれる。御者の男までもが、その小さな体に釘付けになっていた。


「一応な。生きているようには見えないだろうけど」

 ジンガは肩を竦めて答えた。抱きかかえた子供の顔は青白く、縫合痕の残る頬は痩せ細っている。胸のわずかな上下だけが、生をつなぐ証だった。


「……あの、その……受け取りますか?」

 馬車の前に立つジンガに、手が塞がったままでは乗り込みにくいだろうと察したエリシアが、両手を差し出した。


「お願いしてもいいか?」

「はい、もちろんです」

 エリシアは子供を受け取り、その軽さに思わず目を見張る。小枝のように細い体に驚きが滲んだが、すぐに表情を引き締めた。


「……で、こっちがアストレイ。詳細は帰ってから話す」

 ジンガは簡潔に新顔を紹介し、そのまま馬車に乗り込む。


「乗ってくれ」

 ミササギが短く促すと、アストレイは戸惑いながらも恐る恐る馬車へ足を踏み入れた。


 全員が揃ったのを確かめ、ミササギも静かに後へ続いた。


「御者さんっ! 帰りもお願いしますっ!」

 クルスが元気よく声を張り上げる。


「あいよっ!」

 御者が軽く手綱を鳴らすと、馬がいななき、馬車はきしむ音を立ててゆっくりと動き出した。

 揺れる車体が石畳から土の馬車道へと乗り移り、足もとに広がる振動が一段と荒くなる。夕闇が迫る道に、車輪の音と馬の蹄の響きだけが重なっていった。


 王都からオルガウスト辺境都市までは、馬車で走り続けても一週間はかかる。その長さは行きの道のりで嫌というほど思い知っていた。だから帰りもまた、それなりの時間を要することはわかっていた。


 だが、道のりは行きよりも静かだった。野獣に襲われることもなく、盗賊に絡まれることもない。馬車は最小限の停車だけを挟み、夜を抜け、朝を越え、再び夕暮れを迎えながら、ひたすら王都を目指した。

 空の色が何度も変わり、陽が昇っては沈むたびに、彼らの帰路は確実に縮まっていった。


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