表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラウ・ファミリア ~正しさよりも、共にある温もりと優しさを~  作者: 言ノ悠
第一話 パーティ結成、そして事件発生
10/41

10

 厚い扉を震わせた衝撃音は一度きりでは終わらなかった。

 続けざまに怒号が響き、甲冑の擦れる音が廊下に満ちていく。


「騎士団長様! 失礼いたします!」

 扉の外から衛兵の切羽詰まった声が飛んだ。


 騎士団長はすぐに立ち上がり、低く命じる。

「入れ」


 扉が荒々しく開かれると、血相を変えた衛兵が駆け込んできた。

「城下で魔物が発生しました! 数も規模も不明ですが、被害が拡大しつつあります!」


 応接室にいた全員の表情が引き締まる。

 静謐な空気は一瞬で消え去り、代わりに戦場の気配が流れ込んでくる。


「突然現れる……状況が前と同じだな」

 ミササギはそれだけを呟いた。


「悪いが、本日はここまでだ。私は現場に向かう」

 騎士団長は勢いよく立ち上がり、報告に来た衛兵と共に応接室を後にした。


「……勝手に帰っていい、ってことだよな?」

 ジンガがぽつりと口にする。


「じゃない? ミササギもジンガも、見には行かないんでしょ?」

 ミレイが肩をすくめて答えた。


 その直後、再び床がわずかに揺れた。

 カタリ、と燭台が鳴る。

 間を置かず、もう一度小さな震動が走り、炎が細く震え続ける。


「う〜ん……」

 その性格ゆえか、ジンガはとても迷ったような表情をしていた。


 その時、外から再び甲高い怒号が響いた。

 今度は複数の声が重なり、甲冑のぶつかり合う金属音が廊下を揺らす。

 床下を伝う震動が続き、まるで戦いがすぐそこまで迫っているかのようだった。


「……先に帰っててくれ」

 ジンガは短くそう告げ、椅子から立ち上がった。

 ためらいを押し隠すように、静かに扉へと歩を進める。


「ジンガ様、お気をつけて」

 エリシアは迷いのない声で告げた。


「……わかってるよ」

 ジンガはその声に応えるように、ほんの一瞬だけ振り返り、そのまま外へと出ていった。


「良かったの?」

 ミレイは隣に座っているミササギに視線を向けた。


「さすがにこの大所帯を置いてはいけないだろ」

 子供三人に、大人三人。一人減って大人二人。

 何かあったときに大人の数が減れば、当然ながら子供たちを守ることはできない。


「私たちなら大丈夫ですよ?」

 レイラは照明に当たって透ける銀髪を揺らしながら、ミササギの顔を下から覗き込んだ。


 ミササギは一瞬だけ視線を外し、わずかに息を吐く。

「……戦い慣れてない子供が言うことじゃない」

 それでも声はどこか柔らかく、彼女を突き放すものではなかった。


「ミササギ、お守り任せてもいい?」

 ミレイが椅子を引き、立ち上がった。


「……まあいいけど」

 ミササギは肩を竦めて受け入れる。


「じゃあ、私はジンガのサポートに回るから」

 ミレイはそう言い残し、開け放たれた扉の向こうへと足を踏み出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ