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1.不安

高校2年生。になった。


周りが進路やら就職先やらでザワついてる中、私の頭の中はたった1人の友達の事でいっぱいだった。


「千夜ちゃん、おはよ」

「…夏穂。はよ。」


夏川夏穂。黄緑色の髪の毛で、目が大きくいつもにこにこと笑顔を浮かべていて、知らない人からするとクラスのマドンナ的存在のような、キラキラとしているThe・女子って感じだ。先程も朝イチで下級生から呼び出されていた。恐らく告白だろう

実際は私以外は受け付けない、話はするけどそれ以上は広げない。笑顔は浮べるも愛想笑い。

話しかけづらい感じも相まって、いつも私としかつるまない。


「千夜ちゃん、今日のお弁当なんだろうね!千夜ちゃんのおかあさんの作るお弁当、美味しいから楽しみ!」

「今日は唐揚げだぞ。朝起きた時食べた。」

「え!千夜ちゃんだけずるーい!」


ぎゅ、と勢いで私の腕に絡み付く夏穂。

周りからの視線はとうに慣れた。

私の頭の中はこいつでいっぱいだと言うのに、夏穂は気づいていないのか、はたまた気づいてないふりをしているのかそのまま私を引っ張って教室へと入っていく。


私がこいつで悩んでいる理由は、こいつの家庭環境にある。

中学生の時仲良くなり家に遊びに来るものの、いつも帰るのを渋るか夜遅くに渋々といった感じで帰っていった。

段々身なりが汚くなっていき、目の下にクマができるようになり虐待を疑い始めた時に、私の母が思い切って家庭環境の事を聞いたのだ。


「両親はいません。祖父母宅に住所はありますが、色々あって帰れないのでギリギリまで公園とかで寝ています。汚くてすみません」


下を向きながら恥ずかしそうに喋る夏穂に、私は祖父母に怒りが湧き口を開きかけた時、


「千夜は部屋に戻ってろ。ママは夏穂と2人で喋りたい。」

「え、」


普段は人の家庭に興味が無い母さんが、夏穂と2人で話したいと言った時は耳を疑った。

私は部屋に戻り2人を待っていたら、10分後に呼ばれリビングに行くと


「夏穂、今日からうちに住むから。」

「オセワニナリマス……」


色々と聞きたいことはあったが、先程とは違う雰囲気の2人に口をつぐむしか無かった。



その日から一緒に住んでいるが、こいつの家庭について一言も話題に出たことがない。

夏穂は中学生時代とは違い毎日幸せそうに暮らしている。

だが冒頭で述べた通り、私たちにはこれから進路やら就職やら色々と考えないといけない。


こいつの祖父母はこいつの事をどう思っているのだろう。進学するにしろ親族の力が必要になってくるのでは。就職先は?こいつの口から将来の夢とか聞いても、「千夜ちゃんと居れればいいんだよ」としか言わない。


取り敢えず、家に帰って詳しく話さないとな。

私は鞄から教科書を取り出し授業の準備をした。

カタツムリ更新です。

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