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速達配達人 ポストアタッカー 新1 〜ポストアタッカー狩り〜  作者: LLX
7、殺られる前に殺るしかないだろ!
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第40話 勝負は森を超える3 minutes

すでに一週間、荒野渡りが2人組になって例の強盗が出なくなった。

いや、もう強盗じゃ無いだろ。


なんとなくみんなの気分が緩み出す。

こう言うときが一番危ない。


「俺なら、そろそろ動くと思うけどな。頃合いだろ。」


夕方帰宅前、サトミが白いコーヒー飲みながらキシシシと笑う。

明日はリッターたちが当番だ。


「まだやる気があるのか、動きがわかればいいんだがな。」


ガイドが無精髭をザリザリこする。


「動きねえ……酒場で情報無いか聞いて来る。」


リッターは、情報屋へのパイプが太いようだ。

早出前日の酒は禁止になっているのに、ガイドはうなずいて止めなかった。


「明日朝早いぞ!飲み過ぎ厳禁だ!置いていくぞ!」


「了解!」リッターは、彼に手を上げて先に帰っていった。




そんなこんなで翌日。

その日、空はグレーの雲が流れ、天気予報は曇りだ。

早朝、ガイドが早めに出勤すると、珍しいことにリッターが先に来て馬に荷物を積んでいた。


「よう、早いな。どうだった?」


「大した情報はなかったかな。」


「そうか、雨、大丈夫かな?」


「雨具、持って行くよ。まあ気休めだけどな。」


「アハハ!ほんと局の雨具はクソったれだよなあ。」


着ても雨が合わせや縫い目からどんどん漏れるという、濡れる雨具は局員から総スカン食らっている。

が、買った物は仕方ない。裏からテープで目止めしても気休めでしか無い。

おかげで外回り組は、みんな着替えを家並みにロッカーに置いている。


「今度軍から色違いで装備が来るってさ、防弾もある奴。

ほら、デリーはもう導入してるだろ?あのダークグリーンの戦闘服って奴?

完全防水じゃ無いけど、サッと乾くんだってさ。

ただ、サトミが嫌がるかもしれんなあ。」


「ちぇっ、なんで人数少ないこっちが後回しなんだよ。」


「ははは、ド田舎だから仕方ねえ。

水、積んだか?装備オッケーだな?よーし、行こうか。」


「おう!」


二人、デリーへと走り始める。

2人組で行くようになって、1日おきは確かにキツいが気分的にはラクになった。

緊張感でどうかなりそうだったけど、休憩も背中合わせで喋っていると死角が無い。


リッターがいつも休む道路脇の草地の1本木へ着くと、ガイドと休憩を取る。

だいたい例のポイント前で一度休むのが常だ。

二人、休憩ポイントは違うので、来るたびに交互に変えることにした。

ガイドが水を飲んで時間を見る。まあ定刻だ。

リッターが、少し深刻な顔でガイドの後ろに背中合わせで立った。


「先週、ヤバい奴が人集めてるって言ったろ?」


「軍人じゃないかって奴か、まだ敵か味方かわからねえって言ってたな。

どうなった?」


「橋向こうで、素人集めて訓練してるって噂があるらしい。

近くで1人遺体が見つかったってさ。なんでも首が無かったって話し。

逃げたんじゃないかってよ。もうそれ聞いただけで、敵だろ?」


「首狩りか〜、どっかで聞いた話だな。味方じゃねえなあ、はあ〜」


「そいつらが、昨日消えてたらしいんだわ。」


「消えた??」


「消えたんだと。」


「消えちゃったか、マズいな。」


「だろ?それでさ、仕掛けてくるならどこだと思う?

強盗みたいに馬で追ってくると思う?

俺、アジトにいた時は、後方支援っての?時々させられてた。でも、逃げることしか頭になくてさ、真面目にやってなかったからな。」


「そりゃあ、ガキにやらせる事じゃねえ。サトミはその辺ちょっと変わってるよな。」


「ありゃあ、15じゃないだろ。中身4,50のおっさんじゃねえの?」


「全くだ、俺は付き合いきれねえ。さて……

素人使うならやっぱり森だろうな。勝負は森を超える3ミニッツ(3分)かな。

森で片を付けないと、腕のいい奴に追われたらマズい。

軍人なら、武器はなんだと思う?また機関銃かな?勘弁してくれよ。」


「なんだろ、ピン抜いて飛ばす毒入りリンゴ??」


「ははっ、最悪だね。俺達一般人だぜ?なんで郵便運んでて命狙われるんだ?」


「まったくだよ。まあ、今日来るかどうかはわかんねえけどさ。」


「だな。とりあえずは……無い頭絞るか。」


2人、顔を合わせる。

2人は、軍に入った経験が無い。

ガイドは戦前からアタッカーで、リッターは4年半前に17才でゲリラから逃げてきた所を妹と供にガイドに保護され、18になってアタッカーになった。

リッターとダンクは、同じようにガイドに保護された身だ。

だから、この3人は繋がりが深い。


足でガリガリ地面に描いて話し合い、結論が出たら消してガイドが背負ってるM27にスコープを付け、マガジンベルトいっぱいにスペアのマガジンを増やす。


「弾切れサポート頼む。」


ガイドに、リッターが声をかけた。


「了解、近づきすぎるなよ。反動で落馬するな、アウトだぞ。」


「わかってる!誰に言ってるよ、もうガキじゃ無いんだぜ?!」


「ははっ、あん時はいい話の種になったけどな。」


ガイドが懐かしそうに笑った。


「森過ぎたら俺がケツを守る。」


「わかった。互いにどちらかが脱落したら振り返らず逃げろ。」


「ヤーヤー、駆け抜けろ!前に進め!」


2人が互いの右手で手を叩き、拳を合わせた。


「 行くぞ 」「 オーライ 」


リッターはM590の弾を確認すると、シェルホルダーのベルトを2本、腰とたすきに巻いて馬に乗り込んだ。

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