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速達配達人 ポストアタッカー 新1 〜ポストアタッカー狩り〜  作者: LLX
6、見習い期間終わったーっ!!
37/56

第37話 パフェ!パフェ!パフェ!

キャピキャピファンシーカフェ


戦時中ではあり得なかった、この辺では珍しいミント色の内装に、所々にぬいぐるみをあしらった、昼は喫茶店、夜はアルコールも扱う店だ。

女性客をターゲットにしていて、本店はデリーにあって、ここは支店となる。

外国帰りの店主がロンドでは絶対見られないような海外で流行ってるメニュー作るので有名になって支店をあちこちに広げている。

店員が2交代で朝から晩まで開いてるので、意外と利便性がよくて清潔感もあるので、最近は若い男性客もたまに見るようになった。

だいたいロンドには若い奴は少ないから、男女問わずの商売しなきゃ客数が見込めないらしい。


内装が滅茶苦茶可愛くて思わず常連になってしまったが、男が中にいるとさすがに目立つ。最初ピンクだった壁紙を、ロンド店がミント色に変えたのはそのせいだ。

だから店名のキャピキャピを外したくて、支店のマスターは本店と交渉中らしい。


「いらっしゃーい!」


カランコロンとドアを開けると可愛い鈴が鳴り、ジンが物珍しくて何度も鳴らした。


ガランゴロンガランゴロンガランゴロン


「あら、サトミちゃん、こんな時間に来るの珍しいわね。今日はお友達も一緒なの?」


ガランゴロンガランゴロンガランゴロン


あーーーーー!!うるせーーーー!!子供かっ!


「うん、角の席借りるよ。ほら、ジン、さっさと来い!」


ガランゴロンガランゴロンガランゴロン


「んー、これクセになるなー。」


角の席までぐいぐい手を引っぱって、角に座らせる。

角に座らせた方が、何かあったら制圧しやすい。


「へえ、お前さ、ここ来るの?すげえギャップだな。ヒヒヒ」


「俺が酒場じゃ断られんだよ、下界は年齢にクソうるせえんだ。」


客の女の子が頬を赤くしてヒソヒソ話してる。

ヤバいヤバい、やめろって。見た目で油断するな。殺られるぞ。

マズい事にこの男は、背が高くて浅黒い肌に白い髪がキラキラして、そして何より顔がいい。


店員の女の子が注文聞きに来るとジンがイラストのメニュー見て、何がどんなのかわからず、とりあえず甘〜いアイスパフェの売り文句に、楽しそうに笑ってこれ2つと指差した。


「あいっ変わらずクソ甘いの好きなんだろ?

よう、サトミ、下界は楽しいか?」


「まあな、慣れるのに苦労してるよ。

この世界はな、えーと、気配りってのが大事なんだ。わかるか?気配りだ。

俺様は通用しねえんだよ。

お前隊長なんだろ?遊んでていいの?」


「遊んでねえよ、仕事で来たんだ。

お前が辞めて、部隊が3つから2つに再編されたんだ。

セカンドが作戦失敗しやがって、目標の自爆食らってほぼ全滅。

人数ごっそり減っちまった。

ファーストの隊長、俺だぜ?ククッ……てめえ、帰ってくるなよ。」


はあ?自爆〜??何だよそのブービートラップは!

なんでそれでほぼ全滅するんだよ!馬鹿かっ!!

隊長は誰だ!聞いてッとイライラするなっ!


「へ、へえ、そうか。

だがな、お前、俺はもう部外者だぜ?喋りすぎだ。」


「まあまあ、そう言うな。久しぶりじゃねえか。

俺はお前よりいい隊長だぜ?お前の時より規律が揃ってる。

ナイフ届いたろ?」


まあ、揃うだろうな、みんな死にたくねえし。


「ああ、サンキューな。助かった。誰だよ、返事いらねーっつったの。

あのレコーダー、俺がもらっとくぜ。」


「仕方ねえだろ?お前の楽しそうな手紙なんて読んだら、叩き潰したくなるじゃねえか。

まあさ、さっきいたお前の周りの奴?あれ、じわじわ殺した方が、お前には効くだろうけどな。クククッヒヒヒヒ」


おやおやおや、言うじゃねえか、クソ野郎。

ニッコリ満面の笑顔で返した。


「そうか、ハハッ!ずいぶんいい気分で、なかなか面白いこと言うじゃねえか。

なあ、ジンよ。


もう一度言ってみろ、貴様の指の先からスライスしてやらあ。」


テーブルに置いていた手を慌てて引っ込め、ジンの顔が微妙に引きつった。


視線に動揺が見える。

サトミが手を動かすと、ビクンと身体が動いた。


「イ……ヒヒヒヒ」


「キシシシシ」


「ヒヒヒヒヒ」


「キヒヒヒヒヒ」


店の角で男2人が牽制し合って奇妙な笑い声流す。


「死にたくねえ……頼むよ、サトミ。」


「ならデカいこと言うな、クソ野郎。マジで刻むぞ。」


ジンが息を呑んで指を噛む。


良くねえ精神状態だ。

横にあるクマのぬいぐるみを、ジンに放った。


「肩から力抜けよ、友達だろ?俺はお前に会えて嬉しいぜ。」


「俺も!俺もサトミの顔が見られて嬉しい!お前ほんと変わってないな!

滅茶苦茶怖くて、俺は嬉しいぜ。」


「ハハッ、ジン君、下界はいい所だろ?」


「お前がいる所はどこでもいい所さ。」


「言うじゃねえか。俺が辞めて泣いたか?」


「泣かねえけど、寂しい。 寂しい、 寂しいよ。」


「そうか」


まあ、ずっと一緒にいたからなあ。

こいつもこんなこと言う様になったか、そうか。


「ヒヒッ、みんなバカみたいに泣いてたぜ、お前辞めて2人自殺しやがった。1人未遂。

面白くねえ。俺が隊長になるの、死ぬほどイヤか。あいつら殺してやりてえ。」


「マジか?! そうか、お前はそう言う奴だからイヤだったんだろうな。

人望ゼロなのに、なんでお前が隊長職やってんだろうなあ。」


「わかんねえ、俺がきっと優秀だからだろ。」


「まあ、そう思うのは自由だ。お前も変わってないわ。

ほどほど慕われる、いい隊長になれよ。」


「そうだな。お前がそう言うなら、そうする。」


ジンがパッと明るい顔で、ニコニコしてぬいぐるみをテーブルに置いた。

こいつはちっとも変わらねえ、まあ、自分以外の命はカスだ。



「お待たせー!アイスパフェでーす!」



「うおっ!なにこれ!!!え?なにこれ?!食い物?」


2人の前に、アイスパフェがきらびやかに並べられた。

美しいパフェグラスに丸い3色のアイスにクリームが絞ってあり、たっぷりとラズベリーソースがかかって、その上に更にきれいにカットしたフルーツと、可愛いクマのクッキーが飾ってある。


夢のような美しさで、こんなの食い物とは信じられない!


「えっへん、こちら当店自慢のフルーツアイスパフェでございまーす!

残す所無く全部食べ物。ああ、グラスはかじったら駄目よ。」


「なんてこった、美味い物全部のせじゃねえかっ!!信じらんねえ!」


「はい、サトミちゃんには甘みサービスにシロップ置いとくわ。

普通はかけないんだけど、お好みでかけてね。

じゃ、ごゆっくりー」


「うん!ありがとう!お姉ちゃん!」


キラキラした目で、サッとシロップ全部かける。

はああっと、ジンと2人でグルグル見回して、ため息付いた。


「何だこれ、すげえきれいだ。」


「く、食えるのかな?ほんとに?滅茶苦茶きれいだ。

これ、これアイスだ。冷たいんだぞ?これ、クリームな。ふわっと、トロッとするんだ。

紫色のドロッとしたのはなんかわかんねえ。

毒物じゃ無いから安心しろ。ここの奴らは信頼出来る。」


「お、おう、じゃ、食うぜ。」


「俺も食うぜ」


プルプル震えるスプーンを、アイスにサクッと入れてひとさじ取る。

2人で同時にパクッと食べた。

2人の目が、キラキラ輝いて、大きく見開く。


「何だこれ!何だこれ!何だコレーーーーー!!!」


「何これ!何これ!何これーーー!!!」


冷たくって、甘くって、なんか美味しい匂いして、ちょっと酸っぱくって、なんと言うか、うまーーーーーーい!!


「んおおおおおお」


駄目だ、この感情を身体で表したい。

2人でかかとを上下してバタバタする。


「「 う、うめーーーーーえっ!! 」」


カチャンカチャンカチャン

カチャンカチャンカチャン

カチャンカチャンカチャン


べーろ、べーろ、ペロペロペロ


「お、俺、もう一個食いたい!」


「俺も!お姉ちゃん!2個追加!いや、4個だ4個!」


「はーい!チョコパフェもあるわよ〜!」


「それも2個追加!」


「はーい!」


と、言うわけで、それからガツガツパフェ食いまくった。

クソッ!何で俺はこんな美味いもの知らなかったんだっ!!

この世の中には俺の知らないものが多すぎる!


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