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速達配達人 ポストアタッカー 新1 〜ポストアタッカー狩り〜  作者: LLX
6、見習い期間終わったーっ!!
36/56

第36話 俺の歓迎会!タダ飯食える!

仕事が終わって、みんなでシロイ亭に繰り出す。

研修期間で逃げ出す奴が多いアタッカー業、研修終わってようやく歓迎会というわけだ。

サトミ以外みんな酒で、サトミはオレンジジュース。


もちろん俺の分はニンジン抜きだ!

で、ガイドがまずは一言。


「えー、大変な時だけど、よく来てくれた。ちょっと心配だけど〜、あ〜」


「あーもういいじゃんガイド、早く飲もうぜ。」


「うっせえ、リッター。つか、もう飲んでるじゃん。」


「うるせえダンク、飲んでねえよ!味見しただけ。」


「それ飲んだって言うんだよ!待ても出来ないのかよ、大人のくせに!」


何だか険悪に仲良く喧嘩を始めた。


「おいおい、主役の僕の為に争わないでくれねえかなー、ラブリーだと辛いなー」


「何が僕だ、てめえ、いい加減に猫かぶるのやめろ。つか、オレンジジュースにそれ以上砂糖入れるのやめろ!何でこんなとこまで砂糖持ち歩くんだよ!」


パンパンパン、いきなりキャミーが手を叩く。


「はいはいはい、血の気が多いのはよろしい。

でもリーダーが話してる時は静かにしようね、坊やたち。

ほんじゃ腹減ったから!


サトミ!来てくれてサンキュー!カンパーイ!」


「カンパーイ!」


「あーー!俺のセリフ……まあいいや、よく頑張ったな。

まあ、まだ個別配送が怪しいけど、その内慣れるさ。」


「うん、だいぶ文字に慣れた。名前の読み方がわかってきたし。」


「勉強したい時は局長に言えば教会に紹介してくれるよ。

余裕が出来たらした方がいい。」


「うん、そうする。」


やっぱ教会か〜。見た事ねえけど、入隊する前通ってたのも教会だったんだろうなあ。

学校って言ってたけど。


「なあなあお兄様よ〜」


ダンクがちびちび飲んでは隣のリッターに絡んでいく。

どうやら妹とはまだ正式に彼女じゃ無いようだ。


「なあ、セシリーちゃんと付き合ってもいいだろ〜?もう俺、寂しい!」


「誰がてめえの兄ちゃんだ。お前、あいつの要求クリアーしたの?」


「まだ。この間トライしてひっくり返った。」


ヒャハハハハ!リッターが大笑いしてひっくり返りそうになる。

ダンクはばつが悪そうだ。


「要求ってなに?」


サトミがガイドに尋ねると、ガイドが両手を広げて何か抱っこするマネをする。


「付き合う条件が自分をお姫様抱っこしてくれる人、だとさ。」


「くっっそおおお!!セシリーちゃん、ちょっと重量級なんだよおおお……

何で?同じの食ってて何で??アニキは鶏ガラなのに!

でもそのふっくらが柔らかくていいんだけどさっ。

下敷きになった時はフカフカあったかくて、バターの匂いして気持ちよかった。」


ウフフフと、不気味に笑う。

キャミーがダンクの背中をポンポン叩いて力づけた。


「仕方ないわ〜、セシリーって好きな物が超高カロリーだもん。

冷蔵庫にこんなでっかいバター入ってんの。

お昼ご馳走になった時、激甘砂糖たっっぷりバターシュガー載せたトーストご馳走になったけど、パンよりバターの方が厚いんだもん。

いやーあれはねー、サトミのコーヒーといい勝負だわ。」


「へえ、バターシュガーか、バターって何だっけ?美味そうだな〜

そうか、バターってのに砂糖混ぜてパンに塗るのか。」


「お前はやめろ。いいな、ぜったいやるなよ。」


ガイドの目がつり上がっている。

つまり、ケンコーに悪いのか……ケンコーに悪い=美味い。


「でもさ、リッターは?食ってるんだろ?」


リッターは、なんか遠い目してそうっと首を横に振る。


「あれはもう、食い物じゃねえし。飲み物だし。

俺の主食は酒だし、ガイドの家でたまに食ってるし、ま、俺はテキトーにギリで生きて行くさ。」


「そうそう!ガイドの奥さん料理上手よねえ。姐さん女房っていいわあ。」


「アネさん女房ってなに?」


「年上の奥さんさ。ガイドは危険な仕事だからって、終戦まで家族作らなかったんだよ。

奥さん高齢出産で、ガイドすげえ取り乱してんの、ヒャハハハ!!」


酔っ払いのリッターが馬鹿笑いして、ガイドに殴られた。

ガイドもまさか自分の話になるとは思わなかったので、渋い顔だ。


「子供は諦めてたんだがな、まだ3つだから俺が死ぬわけには行かない。

子供ってのはいいもんだ、ダンクも鍛えてさっさと家族作れ。

アニキはアル中だけどな。」


「うるせー、まだアル中にはなってねえよ。」


ダンクがヨシと肉を食う。


「俺が一番がんばらなきゃな。とにかく好きな女いたらすぐ結婚したい!

いざとなったら邪魔なアニキは追い出せばいいし。」


「俺は出て行かねえからな。弟よ、俺の老後は任せた。」


「お兄ちゃん、頼むから自立して。」


ダンクの声遠く、リッターはそこそこ食べると酒飲んでばかりだった。



翌日デリー行きもあるので、早々にお開きになってキャミーはガイドが送っていった。

店を出ると、リッターはまた家と反対方向に行く。

気分がいいので一人二次会らしい。

あれだけ飲んだのに、本当に飲んだくれだ。

通りを歩いていると、声をかけられ店に消える。

ダンクが大きくため息付いて、見送りながらぼやいた。


「夜の知り合いの多さは、飲む量と関係すると思うんだわ。

俺、あいつにちょっと憧れてる感じ。」


「ははっ、女一人抱えて言えよ。」


「バーカ、マジで彼女は重いんだ。

初めて会った時からどんどんふっくらして、きっと寂しいんだと思うから、早く支えてやりてえ。

じゃ、明日な。」


「おう、じゃあな。」


ダンクらしい言葉だ。優しい奴。


あーー、女かーー、女と付き合うってどんなんだろう。

1人、部隊に結婚までこぎつけたアレがいるけど、もうすでにただの金づるだからなあ。

夢も希望もねえ見本になっちまってるし。


うん、まだ俺は刀振り回してる方が面白えや。


ダンクと別れ、一人家へと足を向ける。

しばらく歩いて足を止めた。


「クソったれ、なんでここにいやがるんだよ。なんで俺の家、知ってんだよ!」


ため息付いて、思い切り振り返る。


「ヒャッホー!サートミー!来ちゃった〜!」


グレーのスーツ着崩して、両手を挙げてニッコニコのモデルみたいな男に、ムキーッと歯を剥く。

通行人の女が、微笑ましい美青年にポッと頬を染め、微笑んだ。


「クッソーーー、一番来てほしくねえ奴が来やがった!

酒場には入れねえし、家には入れたくねえ!」


バッと、横にあるキャピキャピファンシーカフェを指さす。

ジンがニッコリ笑って、両手で大きく丸を作った。


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