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死ねない神に終わりはない  作者: 天和 希
第一章 古旧黄金帝国 オーストリア
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第14話 先入観

 げんがライと戦闘を始めた時、その音と強力な気配を察しててんが動き始めていた。

 そして天が廊下を駆けて向かおうとした時立ち向かおうとする影があった。


 「一級戦皇士、テルテスト ラリオス」


 「聖級せいきゅう戦皇士、天凪あまなぎ 天」


 無言の睨み合いの後、伝統に則った名乗り合いをして初めて相手に刃を与えることが許される。


 「天水突てんすいとつ

 

 渾身の突き技で終わらせに来たのは天の方だった。

 時間的余裕がない中で相手は一級戦皇士、自分は聖級戦皇士で自分のほうが格上だ。

 当然の選択だろう。


 が、それをテルテストと言う敵に軽く流されたのは天にとってこれが油断のならない戦いと意識させた。


要は玄のところに駆けつけるのが事実上不可能になったのである。


 「これで終わりか?」


 そう言葉を投げかけてくるのは目の前の青年だ。17,8歳ぐらいだが、それより若い戦皇士が多い皇国人からしたら珍しいものである。

 元々は老将や宿将がいなかった訳では無いが銃の誕生によって遠距離攻撃に慣れてない彼らはほとんどが死亡。そして人手不足の結果、銃に慣れている最初の世代である天や玄らが駆り出され彼らの世代が戦皇士の半分以上を占めるに至ったのだ。


 つまり玄たちの上の世代で生き残っているのは学習能力の高い化け物なのである。


 そういう相手だから決してナメてかかった訳ではないが渾身の突きを止められたのは流石に応え何かをいう気にもならない。

 そんな時に突然


 息が荒くなる。

 

 息が荒くなる。


 今すぐ楽になれそうな空気が流れ、身を任せてしまいそうになる。それと同時に衰弱していくのが感じられる。

 目には見えない毒ガスのようなものだろう。


 天にとっての最大の危機で彼が取れる行動は一つだけだった。


 頸動脈に刀の下の部分を押し付ける。痛みというよりかはくすぐったい感覚が脳を支配する。

 舌を噛むという選択肢もあったがここはあえて痛みが少ない方法を選ぶ。

 その分隙だらけにはなるが相手はただ佇むだけで何もしてこない。


 「こんな小細工をしてくるって思わなかったよ こんな透明な毒ガスみたいなもので」


 体勢を立て直した天が刀を相手に向けて構える。


 「ただ少し名乗っただけで正攻法で来ると決めつけるのはだめだろ?」


 初めとは打って変わって陽気になるその男が天は憎たらしく思えた。

 ただ天は戦いを神聖なものと思うあまり先入観で死にかけたのだ。

 

 まあただ毒ガスを防ぐために隙だらけだった天に剣を突きつけないは、彼に少しばかりのプライドがある証拠だろう。


 天は最も不得意とするタイプの人間とこれから戦うことになる。


 


 

 


 







 


 


 


 


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