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【本編完結】監視対象のお嬢様にうっかり恋をしたら、高嶺の花すぎた――けど、あきらめたくないので、テッペン目指そうと思います。  作者: 糀野アオ@『落ち毒』発売中
第2章-2 『友達』返上、まずは告白してみます。~赤い宝石編~

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18話 切り札を手に入れた、かも?

「ご名答」と言ったきり、薫子は先を続けない。


「……ええと? 『ご名答』言われても、結局、その『第三者』が誰かわからないんだけど?」


「え、わからないのー?」と、薫子はキャハハと電話口で軽快に笑う。


「笑い事じゃねえだろ! 薫子、知ってるんなら吐け!」


「もう、ちゃんと新聞読まないとダメだよー。

 四ツ井グループっていったら、政治家の天下(あまくだ)り先、筆頭(ひっとう)企業(きぎょう)じゃない」


「政治家って……おい、黒幕は貴頼ってことかよ」


「それ以外にいないでしょ。もっとも、シンセン製薬の名前が出た時点で確定だったけど」


「あいつんち、シンセン製薬ともコネがあるのか?」

「ヨリくんのお母さん、シンセン製薬の会長の長女だもん。ていうか、瀬名さん、知らなかったの?」


「知るわけねえだろ……て、ちょっと待て。

 あいつの母ちゃんがシンセン製薬の娘ってことは、おれの母ちゃんは……?」


「当然、シンセン製薬の会長次女。ミュージシャンの瀬名浩介(こうすけ)と駆け落ちしたって、当時はかなりのスキャンダルだったらしいよー」


「嘘だろーっ」と、圭介は往来にも関わらず大声で叫んでいた。


「母ちゃん、そんなこと、一言も言ってねえ……!」


「まあ、あの暮らしぶりを見ても、完全に実家と縁を切ってるみたいだもんね」

「てっきり、母ちゃんの姉ちゃんが玉の輿(こし)に乗ったと思ってたのに……」

「お母さんは乗ってた輿から飛び降りちゃったと」


 圭介は頭の中が真っ白になって、しばらく絶句していた。


「……ちなみに、桜子もこのことを知ってるのか?」

「知るわけないよ。瀬名さんとヨリくんの関係を知らないんだもん」


「薫子、まさかと思うけど、おれとあいつがイトコだって知った時から、『呪い』の正体が貴頼だって気づいてたんじゃないのか?」


「んー、可能性の一つとしては考えてたけど、確信には至らなかったよ」

「けど、さっき、シンセン製薬の名前が出た時点で確信したんだよな?」


「うん」


「てことは、長々と四ツ井グループがどうの、利益がどうのなんて話、する意味がなかったんじゃないのか?」


 薫子は「そうだね」と、あっさりと同意する。


「ちくしょー! この炎天下で、何でこんな長話になってんだよ! おれ、熱中症で倒れるぞ!」


「えー、でもお、せっかくのダーリンのラブコール、すぐに切っちゃうのがもったいなかったんだもーん」


「こーの、ウソつき薫子! おれを右往左往(うおうさおう)させて楽しんでただけだろうが!」


「ま、それは置いといて」と、薫子にあっさりとかわされる。


「この件に関して、確信はあっても証拠がないから、瀬名さん、間違っても早まってヨリくんに問い詰めちゃダメだよ。逆に痛い目にあわされるかもしれないから、気を付けてね」


 確かに薫子の言う通りだった。


 四ツ井グループと杜村家につながりがあるとしても、金の動きが明確になっていないこの状況では、『僕がやったという証拠を見せてみろ』と言われたら終わり。

 貴頼の弱みをつかんで、それをネタに契約解除後も学費くらいは継続して支払ってもらう、などという甘い話は現状ないということだ。


「証拠って、つかめないもんかな……」


 圭介はそれでもあきらめきれずに、思わずつぶやいていた。


「それは限りなく不可能に近いよ。そもそも四ツ井グループが間に入っている時点で、敵対するこっちから裏情報が手に入れられるわけないもん」


「だよな」


「けど、証拠はなくても切り札には変わりないから、上手に使うに越したことはないよ」


「切り札って?」


「このことを桜ちゃんが知ったら、ヨリくんを許すわけないでしょ。この先、ヨリくんがどんなアプローチをしてこようが、桜ちゃんの心は揺れたりしないよ。

 瀬名さん、ライバルが一人減ってよかったね」


「それはある意味、朗報かもしんないけど……ライバルがいくら減ったところで、桜子がおれを選ぶかどうかは別問題だからなあ」


「それは瀬名さんの頑張り次第ってことだから、あたしには関係ありませーん」


 当然のことをさも当然のように言われ、圭介は返す言葉も見つからなかった。


「ともあれ、薫子、いろいろ情報をありがとな。助かった」


「いえいえ、愛しのダーリンの頼みですから。また今度何かおごってくれれば、お礼なんていらないよー」


(何かおごるのは『お礼』とは言わんのか?)


 薫子の理論はどうも凡人には理解しにくくできているらしい。


 圭介は思わずぷっと笑いながら、「了解」と長電話を切った。

次話、圭介の母方の実家についてわかったところで、それは切り札となるか、圭介はもちろん確認してみます!


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