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【本編完結】監視対象のお嬢様にうっかり恋をしたら、高嶺の花すぎた――けど、あきらめたくないので、テッペン目指そうと思います。  作者: 糀野アオ@『落ち毒』発売中
第6章-1 みんなからの祝福、いただきます。~母ちゃん編~

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5話 これはバレるだろ

本日(2023/03/14)は、二話投稿します。


圭介視点です。

 翌日の昼食が終わった後、圭介は珍しく伯父の智之に声をかけられた。

 話があるとのことで、一緒に圭介の部屋に行った。


「その、妃那のことなんだが」と、ソファに座ってから、智之は言いづらそうに切り出した。


 智之は源蔵に似て、いつも厳格な雰囲気を醸し出している。

 恰幅(かっぷく)がいい分、さらに堂々とした印象だった。


 ――が、今の目の前の智之はなんだかもじもじとしていて、いつもと様子が違う。


「あいつ、また何かやらかしたんですか?」


「いや、そういうんではなくてね……ああ、そうだ。君にはお礼を言わなくてはと思っていたんだ」


「お礼?」


「妃那のことを君に聞いて、歩み寄る機会ができた。ずっとしゃべらない娘だったし、いざ話を始めたら、すでに年頃になっている娘をどう扱っていいやらわからない状態だったんだ。

 君のおかげで妃那と時間を持てるようになったし、私自身も楽しく過ごせるようになった。ありがとう」


 そう言って丁寧に頭を下げる智之に対して、圭介は慌ててしまった。


「いえ、そんな。妃那を人間らしくするには、やっぱり父親の愛情が必要だと思っただけですから。

 実際、伯父さんと出かけるようになって、楽しいみたいですし。これからもそんな風に過ごしていければって思ってます」


「うん。君が言う通り、本当に妃那は幼い子供だった。見るもの見るもの初めてで、好奇心に目をきらめかせて、よくしゃべる。娘というのはこんなにかわいいものかと知ったよ」


「けど、あんまりかわいいからって、甘やかしすぎないでくださいね。金持ちのお嬢様でたいていのことが可能な環境なんですから。あんまり言う通りにばかりしていると、わがまま放題の手に負えない子になってしまいます」


 圭介が冗談交じりに言うと、智之は笑った。


「そうだな、気を付けないと。『ほしい』と言われると、つい買ってやりたくなってしまう。喜ぶ顔が見たいからね」


「それで、伯父さん、話ってそのことですか?」


 圭介が聞くと、智之は急に落ち着かない様子に戻った。


「あ、いや……。その、妃那の交友関係について聞きたいと思ったんだが」


「交友関係? 学校でどうしているかっていうことですか?」


「友達とかはいるのかな?」


「それは……微妙なところで。基本的に学校でもおれにベッタリですから。他人にはほとんど無関心で、人を人と思わないところもあって、まず自分からなんて話しかけたりしませんから……。

 ただ、おれのそばにいれば、桜子やその兄弟が一緒にいるんで、その仲間に入っている、といった感じでしょうか」


「そう。特に親しくしている友達は学校にはいないと」


「でも、家族を離れて人の中に入っていくのも社会勉強の一つなので、これから少しずつ変わっていけばいいと思います」


「ここのところ、妃那がよく出かけているようなんだが……。今日も午前中から出かけているし、遅く帰ってくることもあるし……。普通の高校生なら当たり前のことかもしれないが、圭介くんは何か聞いていないか?」


(ヤバい……。そうだよな、気づくよな)


 娘に少し関心を寄せれば、当然出てくる疑問だ。

 圭介は話すべきか、隠し通すべきか迷った。


「これ、妃那に渡したカードの明細なんだが」と、智之が一枚の紙を渡してきた。


 圭介が目を落とすと、かなり頻繁(ひんぱん)に使うのか、ぎっしりと明細が並んでいる。

 毎回1万から多ければ3万くらい。全部合計して、月に30万円ほどになっていた。


「30万!?」と、圭介は目をむいた。


「いや、金額はどうでもいいのだが」


「いやいやいや、どうでもよくないですよ! 高校生がひと月に使う金額じゃないでしょ!?」


「うん、そうなのか? まあ、それはいいとして、問題はその使い道の方で――」


 言われて圭介が改めて明細を見ると、ほとんど全部の支払いが同じところにされている。


「『サン・グループ』?」


「調べたら、ラブホテルだった」


 圭介はガンと頭を殴られたような気分だった。


(あのアホ! カードで支払いしたら、全部バレバレじゃねえか!)


「もちろん人をやって調べることもできるんだが、ただ調べて知ったからといって、どうしたらいいのかわからなくて。せっかく妃那といい関係になってきたのに、デリケートな年頃の娘に話して嫌われるようなことはしたくないしで……。君の方が妃那のことを知っているから、意見を聞きたいと思ったんだが」


(もう、ここまでバレてたら、仕方ないよな)


 圭介は全部話す覚悟を決めた。


「伯父さん、時間はありますか? 長い話になりそうなので」


「今日は1日大丈夫だが」


「前々から話した方がいいと思っていたことがありました。伯父さんが妃那に向き合い始めた今、父親としてやはり知っておいた方がいいと思います」


「なんだね?」


 圭介の深刻な表情に気づいたのか、智之も顔を引き締めた。

次話、この場面が続きます。

お時間ありましたら、続けてどうぞ!

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