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【本編完結】監視対象のお嬢様にうっかり恋をしたら、高嶺の花すぎた――けど、あきらめたくないので、テッペン目指そうと思います。  作者: 糀野アオ@『落ち毒』発売中
第5章-2 王太子が相手でも譲りません。~計画編~

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203/320

14話 予定通りの展開になってます

本日(2023/02/03)、二話目になります。

(なんだか、全部あの人の予想通りだよな……)


 泣いている薫子を見ながら、彬は思い出して、薄気味悪くさえ感じていた。


 まるで未来予知を見てきた気分だ。


 薫子をどうしてパーティに行かせたのかを聞いた時もそうだった。


 圭介の電話を切った直後、薫子に電話をかけさせた。

 つまり、あの時点で、妃那は今夜のパーティで圭介が桜子に別れを言うことを確信していたのだ。


 彬が納得いかずに聞いてみると、妃那の答えは「『あと少し時間がある』と圭介が言っていたでしょう」だった。


 確かに圭介は電話を切る直前、『あと少し考えてみる』と言っていた。


 彬は別に気にも留めなかったことだが、妃那は違ったらしい。

 圭介もまたその情報を妃那に伝えるために、わざわざそう言ったのかもしれない。




「王太子と一緒にいて、()()()()で会場に行くのなら、その近くにいるということでしょう。

 その時間までに結論を出せと言われているのなら、そのままパーティの席で別れを言わせるということ。王太子はそのまま婚約発表。

 あの人の性格を見れば、それくらいは予想できるわ」


「ええー……」


(そんなの予想できないよ……)


「パーティの出席者名簿を見たら、家族は父親だけだった。

 他の出席者との関係から推察するに、父親は周りの目を気にして、そういう場で娘を助ける可能性は低い。

 桜子が孤立した状態で圭介から別れなど切り出されたら、自殺騒ぎ、警察沙汰、殺人未遂、全部合わせて高確率で何かが起こるわ」


「ええー……。姉さん、さすがにそこまでやるかな?」


「絶対とは言っていないわ。高確率。80パーセント以上ということ」


「天気予報と同じか」


「あなた、弟のわりに桜子のことをあまりわかっていないみたいだわ。

 あれは圭介を失ったからといって、自暴自棄(じぼうじき)になるタイプではないの。

 だから、その中でも自殺未遂騒ぎというのは可能性が1番低い。

 桜子という人間は、そもそも圭介を失うことを許さないのだから、どんな手を使ってでも圭介を取り戻そうとする。

 パーティの場で何らかの事件を起こして、警察沙汰になる可能性は考えるべきだわ。

 殺人未遂、傷害等、警察に捕まる事態となれば、さすがに王太子の妃にはなれないでしょう。婚約などあっさり白紙。

 一方、圭介ならそんな桜子をなぐさめることはあっても、自分から去っていくことはない。

 それこそ刑務所から出てくるまで待っている。

 だいたいにおいて、あなたの家くらいなら、殺人でない限り、たいていの罪は示談(じだん)で済まされるでしょう。

 それこそ、桜子は罪に問われることなく、圭介とハッピーエンド」


「……あ、うん、それ、最近の姉さんならわかるかも。

 圭介さんのこととなると見境のないことを始めるから、それくらいやっちゃっていたかも……」


 彬も納得せざるを得なかった。

 ついこの間も、王太子を婦女暴行未遂犯に仕立てようとしたばかりなのだ。


「でしょう? ところが、わたしの計画は二人を元の関係に戻すことなのに、桜子が事件を起こしてしまったら、戻らなくなってしまうわ。

 だから、そういう確率を少しでも下げるために、騒がしい薫子を入れておいたのよ」


「……薫子はいつも通りにギャンギャン騒げばいいと?」


「桜子の味方でしょう? 桜子が何か言えなくても、薫子がかばって代わりに何か言うはずだもの。

 桜子も落ち着いて変なことを考えられないでしょう。だから、保険と言ったのよ」




 妃那の予想通り、薫子は騒いでくれたようなので、こうして桜子は何事もなく家に戻ってきている。


 ――が、桜子は何かしでかす前に、泣いているばかりだ。


(泣くのが止まったら、要注意だよな……)


 こんな状態がしばらく続くのかと思うと、もう少しいい計画にならなかったのかと、彬は後ろめたかった。

次回はこの計画を圭介が聞く番になります。

三話同時アップで、【計画編】完結です。

どうぞお楽しみに!


続きが気になると思っていただけたら、ぜひブックマークで。

感想、評価★★★★★などいただけるとうれしいです↓

今後の執筆の励みにさせてくださいm(__)m

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