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【本編完結】監視対象のお嬢様にうっかり恋をしたら、高嶺の花すぎた――けど、あきらめたくないので、テッペン目指そうと思います。  作者: 糀野アオ@『落ち毒』発売中
第5章-2 王太子が相手でも譲りません。~計画編~

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10話 最高の切り札でしょう

本日(2023/01/27)、二話目になります。


【4話 サヨナラのあいさつ】の続きの場面です。


圭介視点に戻ります。

 パーティ会場である大広間を出た圭介は、閉まる扉に寄りかかって大きく息を吐いた。


 目を閉じれば、桜子の泣き顔が浮かんで、めまいがしそうだ。


 自分の想像以上に精神的に参っている。

 胸が締め付けられ、苦しいくらいに切なくなる。


「おれとしては、意外な結末だったけど?」


 圭介はゆっくりと目を開いて、声の主を見た。


 黒のタキシード姿の藍田音弥は、いつになくエレガントでかっこよく見えた。

 そして、今までで一番不機嫌だった。怒りさえ垣間見える。


 その理由はわかっているので、怖いとは思わなかった。


「優先順位の問題です」


「なるほど。君の優先順位はあのお嬢さんが上だったと。桜子は二の次で」


 軽蔑したように見つめてくる音弥の顔を見て、圭介は思わず笑みをもらしていた。


「どっちでもないですよ。おれが1番欲しかったのはこれです」


 圭介は上着のポケットからたたんだ紙を取り出し、音弥に渡した。


「結局、彼女が優先されたということだろう?」


 その文面に目を通した音弥は、紙を叩き返してくる。


「お父さんも桜子のことになると、意外と冷静じゃいられないんですね。

 実はここに書いてある名前の子が自由なら、何とでもなるんですよ。

 お父さん、言っていたでしょう。16歳のおれでは何もできないって。

 何も持っていないおれが何かしようとすること自体、間違ってるって気づいたんです。

 それなら、持ってる奴を頼るというのが、おれの出した結論です。

 ここに薫子が来ているってことは、妃那が動いています。後がどうなるかは知りませんけど……。

 最近あいつ、おれに頭をなでてほしくて頑張っていたんで、悪いようにはならないと思います」


 音弥はくっと笑ったかと思うと、腹を抱えてさらに笑い出した。


「誰でも手に入れたいと思う最高の切り札を、ちゃっかり手なずけて手に入れているとは」


「それは、たまたまですよ。偶然の重なった結果です」


「今ある手の中で最高の一手を出す。やっぱり君は桜子の選んだ男だね。部下にするより、『お父さん』になりたいよ」


「それはおれにとって最高の誉め言葉です。おれが受かりたいのは『役員面接』じゃなくて『お父さん面接』なんですから」


 音弥は笑いを収めて、目をきらりと光らせた。


「では、おれは泣いている桜子をなぐさめて、王太子ともいずれ幸せが見つかるよ、とやさしく言ってやればいいのかな?」


「お願いします。おれの演技、かなり陳腐(ちんぷ)だったんで。王太子にバレるんじゃないかとヒヤヒヤしました。

 ほんと、もう、泣いている桜子を見てるのはつらくて……。おれの一世一代の大芝居でした」


「藍田に来たらそんな機会いくらでもある。将来は大俳優だよ」


 じゃあね、と音弥は涼しげな流し目を送りながら広間に入っていった。


(で、お父さん? 結局、あなたの場合は、どれが演技でどれが本当なんですか?)


 聞いてみたかったが、いずれ聞くことはできるだろう。

 それとも、もしかしたら間近で見続けるうちに、わかる時が来るのかもしれない。


 そんな日が来ることが楽しみだった。

とりあえず、圭介の一発逆転ですかね?

次回は妃那が用意してきたこれからの計画。

さて、どんなものなのか。

二話同時アップ、お楽しみに!


続きが気になると思っていただけたら、ぜひブックマークで。

感想、評価★★★★★などいただけるとうれしいです↓

今後の執筆の励みにさせてくださいm(__)m

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