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第4章-3 ロミジュリ展開、お断りします。~子離れ編~

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9話 桜子の手料理の前に……

圭介視点です。

 音弥の訪れによって興奮して眠れないと思っていた圭介だったが、いつの間にかぐっすりと眠っていて、久しぶりに朝寝坊となった。


 いつもなら雪乃が起こしに来るところなのだが、今日はゆっくり寝かせてくれたらしい。

 おかげで朝食の時間がとっくに過ぎている。


 腹が減っているわけではないので、わざわざは用意してもらう必要もない。


(そういえば、今日、遊園地に行くはずだったんじゃ……?)


 行くのを楽しみにしていた妃那のことだから、たたき起こしに来てもいいところだ。


 圭介はどうしたのかと思いながら、顔を洗って着替えをしてから妃那の部屋を訪ねてみた。


 部屋の中にいたのはメイドの和代だけで、掃除をしている。


「あれ? 妃那は?」


「朝食の後、大旦那様に呼ばれてお話しているみたいですけれど」


「そう」


 昨夜、音弥が妃那のことを源蔵たちに話して、お仕置きをしてもらうと言っていた。

 どうやら、圭介が寝ている間に始まっていたのかもしれない。


(遊園地は中止か?)


 自分の部屋に戻るとスマホが鳴っていた。

 桜子からだ。


『おはよう、圭介』


 桜子の声がいつになく明るい。

 昨夜、彼女も音弥から話を聞いたに違いない。


「おはよ。なんか、もろもろ片付いたって?」


『知ってるの?』


「ああ。昨日、お父さんが来てそんなようなことを言ってくれた」


『え、圭介、お父さんに会ったの!? お父さん、そんなことひと言も言ってなかったよー!』


「うちに来たついでにあいさつに寄ってくれたんだ」


『お父さん、ずるーい。あたしだって、圭介に早く会いたかったのに、自分だけ抜け駆けして』


「まあ、半分は仕事の話みたいだったし。それより、来週は学校に来られそうなのか?」


『うん、行くつもり。だいぶ記者も減ってきたし、騒ぎも落ち着いてきたから、そろそろ大丈夫かなって』


「よかった。けど、あれだけ顔とかメディアに出まくって、普通に登校なんてできるのか?」


『電車は無理だから、ほとぼりが冷めるまでは車で送ってもらうかも。

 いい迷惑だよね。妃那さんがからんでたって聞いた?』


「そうみだいだな。詳しいことは聞いてないんだけど」


『あの人のせいでこんなことになったかと思うと腹も立つけど、結果よければすべてよしよね』


「婚約も回避できたし、おれも安心した」


『圭介の方もあたしと付き合っていること、もうおじい様に内緒にしなくてもいいんでしょ?』


「何それ? おれ、聞いてないけど」


『そうなの? 圭介の気持ちを無視して妃那さんとの結婚話を進めないように、お父さんがおじい様たちに言ってくれたんだって』


「それで、うちのジイさんたち、納得してくれたのか?」


『お父さんの口ぶりだとそうみたい。これであたしたち、誰にも気にせず付き合えるんだよ。

 そう思ったら、うれしくて昨夜はあんまり眠れなかったー』


 桜子はどんなキラキラした顔で話しているのだろうと思うと、顔を見たくて仕方なくなる。


「すぐにでも会いたいな」


『あたしも会いたいよ』


「外に出てこられないのか?」


『圭介と歩いていたら目立つから、圭介にも迷惑かかるよ』


「おれは別に気にしないけど……」


『あ、それなら、うちにおいでよ。裏口からコソっと入れるし』


「休みで邪魔になるんじゃないか?」


『気にすることないって。お父さんもお母さんも出かけているから、子供しかいないし』


「それなら、お邪魔させてもらおうかな。これから行ってもいいのか?」


『うん。何時でもいいよ』


「じゃあ、これから支度して、昼前には着くと思うけど」


『そういうことなら、お昼ご飯用意して待ってる』


「マジで?」


『あ、でも、あんまり期待しないでね。簡単なものくらいしかできないから』


「おまえの手料理なら何でも食いたい」


『そんな風に言われたら、頑張っちゃうよー』


 桜子はふふふっと笑って、『じゃあ、あとでね』と電話を切った。




(桜子の手料理かあ……)


 前回行った時に食べたケーキもおいしかったので、かなり期待してしまう。


 圭介がムフフとひとり笑いながら出かける準備をしていると、ドアがノックされた。


「どうぞ」と声をかけると、執事の藤原が顔をのぞかせた。


「圭介様、大旦那様がお呼びです」


「え、ジイさんが?」


(まさか、おれにも何かとばっちりがあるのか……?)


 妃那が呼ばれて()()()()された直後の呼び出し。

 はっきりいって、いい話だとは思えない。


(あ、でも、さっき桜子が言ってた、妃那との婚約が白紙になるみたいな話かも?)


 だったらいいなと思いながら、藤原の後に続いて部屋を出た。

次話、源蔵の話とは?

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